異世界街道爆走中〜転生したのでやりたい仕事を探します。

yuimao

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第三章 悩める剣士との出会い

閑話 フブキの心配と黒い影

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「ここで間違いだろうな」
「ハッ!合流地点で間違いありません」
「ではこれはどういう事だ?」
「・・・私には何者かに襲われたかとしか・・・」
「それは見ればわかる」
「失礼しました」

 ここは妖魔の森から少し入った開けた空間。

 扉が破られた檻。
 ボロボロにされた馬車の残骸。
 あちこちに散らばる血痕のついた剣や折れた弓。
 そして破れている自分が着ているのと同じ服の一部。
 さらに大型と思われる魔獣であろう死骸の一部。

 全身黒で統一された集団のリーダーはその現場を細く鋭い目で見ていた。
 部下の当たり前の報告に苛立ちを隠せず冷たい声を出してしまう。

 部下が白竜族の第一王女ユキナールの誘拐に成功したと報告に来たのは二日前。
 たまたま、ミルフィーユ王国の側にいた自分が合流するように命令された。

 年に一度しか姿を見せない白竜族。それも扱いやすい子どもの王女を手に入れたのはまさに幸運。
 これも黒の精霊様のお導きだと喜び、急いで現場に赴いてみると、ユキナールの姿どころか部下も見当たらなかった。

「これはデビルウルフか・・・」

 リーダーはユキナが浄化したグレートデビルウルフの死骸に残っている黒い体毛を確認しながら呟く。

「デビルウルフに襲われたのでしょうか?だとしたら王女はもう・・・」
「しかし、魔石もなく浄化した跡もある・・・どういう事だ?」
「白竜族は浄化のブレスを吐くと言われております」
「自分で浄化のブレスを吐いて倒したというのか?」
「報告では封魔の首輪を着けたと言っておりました。白竜の姿に戻るのは不可能かと・・・」

 ユキナールや部下がデビルウルフに襲われただけなら分かるが、不可解な事が多すぎる。

「隊長!これをご覧ください」

 部下の一人が報告した方を見ると、馬車の車輪の跡が確認できた。真っ直ぐザリオン街道の方へ向かっていることが分かる。

「これは、何者かが助け出し、馬車でユキナールを連れ去ったと見るべきだな・・・」

 リーダーは車輪の跡を見ながら推測していると

「・・・ッ!!誰か来る!総員!ユキナールを追うぞ!」
「はっ!」
 日が落ち始めた妖魔の森に黒い影が散っていった。

 ・・・・・・・・・

「この辺りにユキナの魔力の痕跡があるな・・・」
「こんな遠いところまでユキナ様が・・・」
「フブキ様こちらをご覧ください」

 ガンテツから手紙を貰ったフブキたちは、すぐにミルフィーユ王国へ向かって妖魔の森を進んでいた。

 本来の白竜の姿になればすぐに追いつけるが、人族の集落も近く騒ぎになるし、ユキナの無事も確認できている事で、部下数人とユキナの痕跡を探しながら徒歩でこの開けた場所にを入った所だ。

「ここでユキナはデビルウルフに襲われたのか・・・それでワタルとか言う奴に助けられたと・・・しかし、なんでユキナは浄化のブレスを吐いたんだ・・・?」

 浄化のブレスの残滓が残るデビルウルフの死骸を見つめるフブキ。

「ここでワタルに助けられ、その見返りに無理やりユキナ様と契約を・・・ウウッ・・・」
「泣くなリッカ・・・攫ったやつもワタルも許せん・・・」
「申し訳ございませんフブキ様。ユキナール様があまりにも不憫で・・・」

 盛大に勘違いしているフブキたちは誘拐犯とワタルに怒りをつのらせていく。

「この先に集落があるようです」
「よし。その集落にユキナが寄ったのかも知れない。すぐに向かうぞ」
「ハッ!」

 ・・・・・・・・・

「これより人族の集落に入るので少人数での行動とする!」

 トカリ村の入口が見える所まで来たフブキ一行。さすがに鎧姿で剣を着けている集団では目立ちすぎるので、人化の魔法で人族の服に変えて聞き込みをすることにした。

「さて・・・俺と組むやつは誰がいいか・・・それじゃお前で・・・」

 部下たちを見回すフブキ。一人の男の部下に決め指を差した時。

「私が良いと思いますフブキ様!」
「おう・・・リッカか。まぁ副官なら安心か。でも気合入っているな」
「ハッ!ユキナール様の捜索に命をかけてますので!」
「いい心がけだリッカ!」

 こうしてフブキは副官であるリッカと共にトカリ村に入っていった。

「・・・・・・しかし、その格好はどういうことだ?」
「ハッ!これはミルフィーユ王国で流行しているごく一般的な人族の服であります」
「そうなのか?逆に目立つような気がするが・・・」
「違うのであります!人族に溶け込むには最適な服であります!けして私の趣味ではありません」

 黒いズボンに白いシャツ、茶色いベストを着たフブキは高身長に加えてスラッとした長い足、切れ長な金色の瞳、短めの白銀の髪でワイルドなイケメン。

 その横には、丈の長い白いワンピースを腰で絞り、ワンポイントを施した編み上げのサンダルを履き、ツバの広い帽子を被ったリッカが立っている。
 どう見ても勝負服で、王都の一般的な女性の服装ではない。

(な、なんてお美しいお姿・・・鎧姿や王族衣装も素敵だけど、人族の格好もお似合いになる・・・)

「団長!提案がございます!」
「なんだ?」
「我々が人族の集落で自然と振る舞うのには、目立つ事は避けなければなりません!」
「いや、リッカの服は目立っている気がするが・・・」
「そこで、団長と私の関係を問われた時に偽装する必要があります」
「まぁそうだな。旅の途中でこの村に寄ったことにしようか」
「それだけでは弱いのであります!けして我々が白竜族とバレないためにも・・・」

 急にモジモジし始めたリッカを不思議そうに見るフブキ。

「ふ、ふ、ふ、・・・」
「おい!大丈夫か?」
「夫婦という設定でいきましょう!」
「はぁ?」
「これはけして私の意見ではなく、作戦遂行のために仕方ない事であります。万が一我々の正体がバレてしまえばユキナール様の捜索に支障がでかねません。私とフブキ様がふ、夫婦という設定ならば怪しまれることなく、自然と人族として溶け込める事は間違いないでしょう。つまり仕方ないことなのです」

 目をギンギンに見開き、一息で説明するリッカ。

「すごいしゃべるなリッカ・・・こんなやつだったけ?・・・うーんまぁ偽装なんだからそれでもいいが・・・」
「ありがとうございます!ありがとうございます!不肖リッカ・ユグナス!全力でフブキ様のつ、つ、妻として努めさせて頂きます!」
「いや偽装の設定だから・・・」

 トカリ村でユキナの捜索は始まったばかりだ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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