異世界街道爆走中〜転生したのでやりたい仕事を探します。

yuimao

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第三章 悩める剣士との出会い

第59話 エルフの膝枕

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 久しぶりに昔の夢を見た。
 ハルカに白いぬいぐるみをあげた時の夢だ。

 あのぬいぐるみはどうしたのだろうか?年頃になったハルカの部屋に入ることを控えていたため分からない。

 結婚が決まってから旦那さんと住むために引っ越していったハルカ。
 狭いと思っていた賃貸の住まいも、母さんが亡くなり、親父が行方不明、ハルカが結婚して出ていき、広く感じるようになった。

 夢の後半は良く覚えていない。
 結婚式に来ていた幼馴染のレイカが出てきたような気もするし、ハルカが俺の事を馬鹿にしていた気もする。

「ん・・・・・・」
「おはよう!ワタルの寝顔も可愛かったわ」
「ん?・・・ここは・・・」

 ゆっくりと焦点が俺を見つめている人物に合っていく。
 上から見つめている耳の長い白髪の人。歳の頃は20代後半ぐらいだろうか。
 下から見上げる形になっている俺は状況が理解できない。

「たまに女の子の膝枕もいいでしょ?」

 ガバッ!

「膝枕!?なんで!膝枕!?」
「お腹いっぱいになったら眠ってしまったのよ。だから膝枕してあげたの」

「す、す、す、すいませんでした!俺は初対面の人になんてことを!」

 急いで離れた俺は、その衝撃的な事実に90度の謝罪の礼をする。

「いいの気にしないで。私も久しぶりに若い子の頭を乗せられて嬉しかったわ」
「このお詫びは後ほど必ず!今はお金持ってないので・・・」
「うふふ・・・それじゃまた会ってくださる?」
「ええ。呼ばれれば必ず伺います!」
「良かった。手紙を出すわ」
「はい!それでは失礼します」

 ダダダダ!バタン!

「ふぅー焦った。後でちゃんと謝りに来ないと・・・」
「どうしたんですか?ワタルさん。そんなに慌てて」
「エルザさん!」
「一日商業ギルドマスターが何かご迷惑をかけたのかしら?」
「いえむしろ俺が迷惑をかけたと言うか・・・えっとウェンディは?」
「だいぶ前に起きて飛び出して行きましたよ。私の顔を見て・・・失礼な妖精です」

 俺がロードさんと会っている間、最初の部屋で寝ていたウェンディはどこかに行ったようだ。

「はい!これはあなたの商業ギルドのギルド証です。身分証にもなりますので大切にしてください」
「おお!これがギルド証・・・」
「これでワタルさんも無職卒業ですね!おめでとうございます」
「ありがとうございます。このギルド証・・・やけに光っていますね。これが普通なんですか?」

 エルザさんから貰ったギルド証は金色でピカピカしている。
 こんなに高そうだと盗まれそうだ。

「これは、商業ギルドがある街ならどこでも使えて、人頭税も無料になる最上級のギルド証です。これを持っていれば一目置かれる存在となるでしょう」
「は?俺はまだ何も仕事してないですが・・・普通ので良かったのに」
「駄目です。一番下のギルド証なんか渡したら私が一日商業ギルドマスターに怒られます。諦めてください」
「ロードさんはそんなに権力を持っているんですか?まぁエルザさんがそう言うなら持っていますけど・・・」

 結局ロードさんとは、ご飯を頂き、膝枕してもらっただけだ。
 俺は一体何をしに来たのだろうか?

「あと・・・これを渡しておきます。全部ではないですけど、ワタルさんの知りたいことが書いてあります」
「そうですか。ありがとうございます」

 エルザさんは手紙の入った封筒をくれた。ウェンディに見せたらまた気絶するな。

「最後に妖精とホイホイ契約するのは控えてください。すでにワタルさんは特別な存在であると自覚するようにお願いします」

 ニコッ

「は、はい。善処致します」

「それでは素敵な異世界ライフをお楽しみください」
「はい・・・あの親父が迷惑かけていると思うので謝っておきます。それからいつも助かってます。エルザさんもバカンスを楽しんしでください」
「はい。そうします」
「それでは失礼します」

 商業ギルドの建物を出ると、すでに日が暮れていた。手紙は屋敷に戻ってから確認しよう。それにしてもウェンディはどこにいったのだろうか?

 ・・・・・・・・・

「ワタルさんは行きましたよ。サツキ様」
「そう・・・無理言ってごめんなさいねエルザ。おかげでワタルと過ごす時間ができたわ」

 エルザが部屋に入ると、ロードことサツキは背を向けて去っていくワタルを見ていた。

「やっぱり母親は子供にたくさんの食事を与えるのですね」
「そうね・・・親は子供がお腹を減らしているのを見ると耐えられないものなのよ。エルザも子供ができればわかるわ」
「まだその予定はありませんが・・・」

「そうだ!私が食事係としてワタルについていこうかしら!それがいいわ!」
「駄目に決まってます!過保護も大概にしてください。伝説の聖女が同行したら国中がパニックなります」
「そ、そうね。ワタルの就職どころではなくなるわね」
「食事なら定期的に精霊馬車の収納ボックスに入れておきます」
「分かったわ・・・色々ありがとうエルザ・・・少し一人にしてくれる?」
「・・・はい」

 パタン!

 ・・・ウッ・・・ワタル元気で・・・

 扉を閉めたエルザの耳にサツキの嗚咽が聞こえてきた。

「まぁバカンスを返上する価値はあったかな・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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