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呪い1ー14

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確かに、セイラの今の見た目は酷かった。
薬物と絶食に寄って酷くやせこけたその躰は、正に生けるミイラの様、誰が見ても『よく生きてるな』と驚きそうな酷い外見になっていた。
アヤは少し首をかがめてセイラの首筋に鼻を寄せた。
狼の髭がセイラの首筋を擽る。
「うゎ、何?くすぐったいよ」
ムズがるセイラに構わず匂いをかいで、
「良い匂いだ」
「うそつけ、臭いだろう?だって僕暫くまともにお風呂に入ってないよ」
最後の方は、体が動かず、体が洗えないでいたら、犯しに来た奴らがお尻だけ乱暴に洗ってから使ってた。
「汚れは昨日俺が全部舐めとったろう。良い匂いだ、ずっと探していた。この匂いを十三年間」
「そんなに!?」
驚くセイラにアヤが鼻を鳴らして頷いた。
「言っておくが、お前が後悔すべき所はそもそも俺から離れた事だからな!」
ちょっと拗ねた声で、かなり真面目にそういった。
「・・・ん?」
「俺から離れて何してたのかと思えば、番探しだと!?見つかるわけないだろうが、それは俺だ!番になる約束まで承諾しておいて!浮気じゃないか!俺は二股は許さん!」
「いやそれは・・・」
それは、人違いだというのにと言いたいがアヤの勢いに負けて言葉が出ない。
「おまけにおかしな人間に捕まってこんなにボロボロになって!死んだら取り返しつかないじゃないか!俺を本当に置いてくつもりか?!そんなの絶対許さないからな!」
アヤの声はだんだん駄々を捏ねてるみたいになって、また鼻をセイラの首筋に擦り着けた。
「生きてて良かった」
「アヤ・・・」
「本当に、生きてて良かった」
アヤの瞳が静かにセイラを見つめた。
「肉なんか、ちょっとずつ着けてけば良いんだ。
 薬が抜ければもうちょっと位、心も落ち着くだろう。嘆く必要は無い」
「・・・僕の躰、傷跡だらけだろう?薬?」
「傷跡は時と共に消える物もあるだろう、俺は別に気にしないがな。
 セイラの体内、特に直腸付近にはかなり薬が色々しみ込んでるんだ。
 お前がいま妙に性欲が強くなったり、心が不安定なのはその薬のせいも有ると思うぞ、何を飲まされたり使われたんだ?」
「わかんない、たくさん」
沢山飲まされて、色々突っ込まれた。
飲むと何にも分からなくなって楽だから、セイラも自分からせがんでいた。
「俺は、セイラの躰から薬が抜けた後も態度が変わらない事を祈って止まないよ」
言いながら、昨夜と同様にアヤはセイラを自分の腹に抱き込んだ。
「がっかりなんてするものか!
 山の主になってまでお前を探していたんだぞ!
 会いたかった。生きててくれて、本当に良かった!
 そればっかりだ」
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