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人食い湖の住人2-18
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「二百年以上前の事だからね、作者はもうとっくに亡くなってると思うよ。
私は失敗作として捨てられたから、彼らの末期がどうなったかなんて、知らないけどね」
そう言った海月は優しい微笑みを浮かべてたのに、何だか悲しそうな表情に見えた。
「私が気持ち悪いかい?」
海月がセイラに問いかけた。
「いいえ」
セイラは素直にそれを否定出来た。
海月に纏わり付く人間達は、三人の会話なんてお構いなしに行為を続けている。セイラはそれを目の当たりにしているのに、何故かその光景にすら嫌悪感を抱けなかった。
時折彼らを撫でる海月の手が、余りに愛情が籠って見えたせいか、海月自体が美しかったせいか、何か清らかな行為を見ている気すらした。
(まるで、何か神聖な儀式でも見ている気分だ)
ちょっと見惚れそうになる位だった。
セイラとの会話に飽きたのか、海月は会話の相手をアヤに戻した。
「一回しか合って無くて、それから十年以上も経っているのに、よくこの人だと言い切れるね」
「間違えるワケ無いだろう。匂いで分かるさ」
「鼻の良い事だね」
その会話に、セイラの心がチクリと痛んだ。
アヤの本当の思い人は自分じゃない、でも
(ぼくは、ちゃんと人違いだって最初に言ったからね)
心の中でだけ言い訳した。
海月が、腕の中の男を愛おしそうに撫でながらアヤに問いかけた。
「それで、その子が君の番いなのは分かったけど、今日はどうして連れて来たんだい?
態々報告しに来たわけでも無いのだろう?
色々拘らない私相手にそんな美味しそうな子見せびらかしに来たわけでも無いだろうし」
そう言いながら、海月はセイラをつま先から頭のてっぺんまで舐める様に何度も見た。
私は失敗作として捨てられたから、彼らの末期がどうなったかなんて、知らないけどね」
そう言った海月は優しい微笑みを浮かべてたのに、何だか悲しそうな表情に見えた。
「私が気持ち悪いかい?」
海月がセイラに問いかけた。
「いいえ」
セイラは素直にそれを否定出来た。
海月に纏わり付く人間達は、三人の会話なんてお構いなしに行為を続けている。セイラはそれを目の当たりにしているのに、何故かその光景にすら嫌悪感を抱けなかった。
時折彼らを撫でる海月の手が、余りに愛情が籠って見えたせいか、海月自体が美しかったせいか、何か清らかな行為を見ている気すらした。
(まるで、何か神聖な儀式でも見ている気分だ)
ちょっと見惚れそうになる位だった。
セイラとの会話に飽きたのか、海月は会話の相手をアヤに戻した。
「一回しか合って無くて、それから十年以上も経っているのに、よくこの人だと言い切れるね」
「間違えるワケ無いだろう。匂いで分かるさ」
「鼻の良い事だね」
その会話に、セイラの心がチクリと痛んだ。
アヤの本当の思い人は自分じゃない、でも
(ぼくは、ちゃんと人違いだって最初に言ったからね)
心の中でだけ言い訳した。
海月が、腕の中の男を愛おしそうに撫でながらアヤに問いかけた。
「それで、その子が君の番いなのは分かったけど、今日はどうして連れて来たんだい?
態々報告しに来たわけでも無いのだろう?
色々拘らない私相手にそんな美味しそうな子見せびらかしに来たわけでも無いだろうし」
そう言いながら、海月はセイラをつま先から頭のてっぺんまで舐める様に何度も見た。
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