159 / 223
春のススキと白い息4ー1
しおりを挟む
それは十三年前の春の夜。
山の雪も溶けて無くなり、小川の氷も張らなくなって、山菜もあちこちで採れる様になった頃の事。
セイラはその春、就職の為に実家を出る事になっていた。
子供の頃から住むその町では、子供の頃、散々同年代にイビられた経緯もあってか、セイラに友人はあまり出来なかった。
セイラも特に今更この町で友達なんか作るつもり無かった。
普通、子供の頃とは云え、散々仲間外れだの嫌味だの言い、時には暴力まで振るった相手なんて、分別付いてからでは、バツが悪くて仲良くなんて出来ない、来たらその人の心のあり方を疑った方がいい、大体病んでる。少なくともまともな思考回路は持っていないと思った方が良い、そして何よりそっとフェードアウトするべきだ。
付き合っても絶対面倒臭い事になるだけだ。
少なくともセイラの所に来た人たちは、宗教にはまってるか、詐欺集団の手先か、変な政治家に傾倒して病んでるかどれかだった。
家を出るその頃には、セイラ自身には、最早、友人というものに執着は無かった。
大なり小なり差は有れど、セイラの人生で、セイラを裏切らなかった友達なんて一人もいなかった。
セイラは昔から孤独で、一人でいるセイラの所に物好きにも来た人間の全ては、自分も仲間外れにされた者か、もしくは親切顔して自分よりも可哀想な人間を探してる変な人間しかいなかった。
セイラは特に積極的に友達を探しているわけでは無かったから、有る意味時々適当に喋って楽しい時間を過ごすだけの軽いその関係は、理想的と言えば理想的だった。
だから黙認した。彼らの嘘も裏切りも。
最初から信用していなかったから心も痛まなかった。
山の雪も溶けて無くなり、小川の氷も張らなくなって、山菜もあちこちで採れる様になった頃の事。
セイラはその春、就職の為に実家を出る事になっていた。
子供の頃から住むその町では、子供の頃、散々同年代にイビられた経緯もあってか、セイラに友人はあまり出来なかった。
セイラも特に今更この町で友達なんか作るつもり無かった。
普通、子供の頃とは云え、散々仲間外れだの嫌味だの言い、時には暴力まで振るった相手なんて、分別付いてからでは、バツが悪くて仲良くなんて出来ない、来たらその人の心のあり方を疑った方がいい、大体病んでる。少なくともまともな思考回路は持っていないと思った方が良い、そして何よりそっとフェードアウトするべきだ。
付き合っても絶対面倒臭い事になるだけだ。
少なくともセイラの所に来た人たちは、宗教にはまってるか、詐欺集団の手先か、変な政治家に傾倒して病んでるかどれかだった。
家を出るその頃には、セイラ自身には、最早、友人というものに執着は無かった。
大なり小なり差は有れど、セイラの人生で、セイラを裏切らなかった友達なんて一人もいなかった。
セイラは昔から孤独で、一人でいるセイラの所に物好きにも来た人間の全ては、自分も仲間外れにされた者か、もしくは親切顔して自分よりも可哀想な人間を探してる変な人間しかいなかった。
セイラは特に積極的に友達を探しているわけでは無かったから、有る意味時々適当に喋って楽しい時間を過ごすだけの軽いその関係は、理想的と言えば理想的だった。
だから黙認した。彼らの嘘も裏切りも。
最初から信用していなかったから心も痛まなかった。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる