闇夜の星 暗闇の燈火(やみよの ほし くらやみの ともしび)

すずひも屋 小説:恋川春撒 その他:せつ

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暗闇の灯火

◆◆◆◆23

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シェルは血相を変えてロモソルーンの方へ駆け寄ろうとしたが、ロモソルーンの金色の目が、それを止めた。
その間にも、ロモソルーンの体は、物騒な音と共に瞬く間にぼこぼこと変形していった。
(ロモソルーン!!)
シェルの両手は、知らず祈りの形を作っていた。
シェルは、信仰なんて持っていないも同然な人間だけれど、一心に誰だか分からない相手に向かって祈っていた。
(お願いだから)
何に向かって祈っているのかなんて、どうでもよかった。
ただ、他に出来る事なんか無いから祈っただけだった。
(お願いだから、僕からロモソルーンを取り上げないで)
ベキィ!
物凄い大きな、何かが折れる音がして、ロモソルーンの背中が、あり得ない方向に真っ二つに折れた。
見物人達の中から、キャーッと悲鳴がいくつも上がった。
ロモソルーンに掛かった無数の魔法陣だけが、変わらず、それぞれバラバラの速さで、音もなく回転していた。
ロモソルーンの体が動くと、魔法陣も追従して、同じだけ動いていた。
シェルの両面からはもう大粒の涙が止めどなく流れ落ちていた。
(ロモソルーンが勝算の無い事する分けがない。ロモソルーンが勝算の無い事する分けがない!)
シェルは、ひたすら両手を組んで祈りながら、一心に歌い続けた。
ガァァァアッ
ロモソルーンがまた絶叫を上げた。
地に轟くほどの絶叫だった。
大木が軋み折れる様な音がしてロモソルーンの体が半分の大きさになった。
(ロモソルーン!)
シェルは歌を中断して叫び出しそうに成るのを必死で堪えて歌い続けた。
ロモソルーンに掛かっている魔方陣は、煌々と光を放って回転している。
魔法が作用している証拠だ。
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