闇夜の星 暗闇の燈火(やみよの ほし くらやみの ともしび)

すずひも屋 小説:恋川春撒 その他:せつ

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暗闇の灯火

◆◆◆◆24

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今や黒い塊にしか見えなくなってしまったが、ロモソルーンは生きている。
生きているのだ。
なら、シェルはロモソルーンの成功を信じるしかない。
(僕を抱き締めるのにちょうど良い体が欲しいと言ってくれた)
ロモソルーンはもう叫び声も上げられない位原型を止めていない。
(僕が信じなくてどうするんだ)
余りの状態に、目をつぶってしまいそうになるのを必死でこらえた。
(しっかりと見ないと)
絶対大丈夫。そう、思うと同時にこれがロモソルーンの生きている姿を見れる最後の時かもという怯えも拭い切れなかった。
それでも、だからこそ、
(後悔の無い様に、この目で見ないと)
人生で最初で最後に愛した男の姿を、ロモソルーンが何を成し遂げたのかを。
千年もの時間を、自分一人を愛すると言ってくれた男だからこそ。
たとえこの魔法が上手くいって、長く一緒の時を過ごせて、その内その言葉が嘘になったとしても、シェル自身に後悔が無い様に。
魔方陣は相変わらず目映いばかりに輝いている。
くるくると回転し、魔術を発動させている。
ロモソルーンの体がまた、ボコリと激しくうねって、形を変えた。
(どうなるにせよ、最後の瞬間、その時まで、僕は絶対にこの目を逸らさない!)
ロモソルーンの体がまた蠢いて、体積が小さくなった。
ギョロリ、と、金色の目玉が一つ現れた。
ロモソルーンの体は、今やどんな動物の体型からも遠い形の、ただの黒い塊になっていた。
最早その黒い塊が何某なにがしかの動物だったとして、その大きさには不釣り合いな大きな金色の目玉は、キョロキョロと滑稽とも思える不器用な動きで辺りを見回して、シェルの姿を捉えた。
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