傲慢エルフと変態キメラ Vo1

◇マヤ

教会１１

呆れるガルフに宣教師が捲し立てる。
「何ですか？ヴィオモラの客の癖に道徳でも説くつもりですか？
　違法な事は何一つ行ってませんよ？参加者はみーんな有志ですしね。
　ここで集まる金がどれ程重要か分かりますか？
　過疎化の進んだ町には子供を育てられるほどの余裕は無いんですよ。
　そして、田舎に行くほど厄介で危険な大人は狡猾になるのです。
　宣教師一人では絶対に勤まらない。
　まともな住人のマスクを被った獣が普通に暮らしている。
　そいつらは罪とも考えずに最もらしく『人の怖さを教えてやるんだ』とか気違いじみた理屈を振りかざして、保護者のいない子供を狙って魂ごと踏み荒らす。
　他国では国の支援が得られない所も有る。
　そんな所を守る為にここで集めた金は配金されるのです。
　どんなに集めて多すぎるという事は無い、宣教師自ら体を売る事さえ有る程にね。
　どんな金でも通貨が同じ種類なら買えるモノの量は変わらないんですよ。」
その言葉は嫌に重みが有る言葉だった。
セイレーンの血が混ざった人型だ、子供の頃はさぞや苦労したに違いない。
あるいはこの宣教師も地方の孤児院の出身なのではないだろうか・・・。
ガルフはなんとなくそう思ったがそこをつつくのは止めた、好みのタイプの男でもなし、下手につついて泣かれても慰めるのも面倒だ。
「お宅の宗教のやり方に文句をつけるつもりはねぇよ。俺は無神論者な上に仲間に『ヤリチン』とか言われる位の絶倫だしな。赤ずきんには一番世話になるタイプの男だ。どうこう言う積もりはねぇ。」
そう言ったガルフに宣教師は『オヤ』と表情を緩める。
「俺はオタクの宗教は世界でも三本の指に入る程マトモな宗教だと思っている。宗教施設の運営に関わった事こた   ぁネェし子供を保護する施設で働いた事もねぇ。だが本当の苦労は経験しているヤツにしか分からねえ事位は分かる。」
世界を旅するには時として教会に世話になる事も有る。