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1. はじまった
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焦る焦る焦る。
黒い空間に放り込まれた海斗は己の体の変化を凝視していた。
電子的に分解されていく四肢。
―――飲み込まれてたまるか。
* * *
汗だくで目を開ける。
黒く、知らない天井が目の前に広がっていた。
夢を見ていたような気がするが、内容は思い出せない。
怒り、焦り、絶望する夢だった。
「ここは…」
起き上がった高橋 海斗はあたりを見渡した。
知らない部屋だ。
ベッド、机、カーテンで仕切られた向こうはトイレらしい。
四畳半程度の小さな部屋に押し込まれていた。
記憶にある自分の部屋とは似ても似つかない。
窓はないが、閉じられた扉の向こう側から人の話し声がした。
「なんだよ、お前も覚えていないのか」
「なんでこんなところに集められないといけないのか」
知らない声だ。
小さな部屋にいても何も変わらない。
海斗は扉を開いた。
「あ、誰か出てきたよ!」
出た場所は大きなアリーナで、その中央に人々が集まって、コンテナから出てきた海斗を見た。
小さな部屋だと思っていたのは、白いコンテナだったらしい。
「…ども…」
「こんにちは~」
一番近くに集まっていた人々の中から、一人の女性が手を振って挨拶してきた。
「私、さくら。渡辺さくらっていうの。あなたのお名前は?」
「高橋…海斗…」
コミュニケーションお化け。
海斗は苦手なタイプだ。
すぐにプライベートスペースに入ってきて、こっちの気も知らずに去って行く人。
どれだけそれで人間関係を失敗してきたか。
「高橋くんね。ここ、どういう状況か知ってる?」
さくらに言われて、改めて見渡す。
コンテナは三十前後、空間を取り囲むように円形に配置されている。
コンテナがない部分には巨大モニターが置かれていた。
まだ何も映し出されていない。
「何も知りませんが…」
「おいさくらぁ。そんな陰気なやつに聞いても、知ってるわけねぇだろ?」
さくらの後ろからがたいのいい男が会話に入ってくる。
「麻琴くん!」
麻琴と呼ばれた男は、金色のネックレスとブレスレットをつけており、胸元からは刺青が垣間見える。
どう見ても、普通の会社員ではない。
「こんなやつより、いざとなれば俺が壁ぶち壊して出してやるよ」
「でも、できれば穏便にここから出たいよねー」
睨みをきかせる麻琴を気にしない様子でさくらが海斗に微笑んだ。
「そ、そうですね…」
あまり関わりたくないかもしれない。
海斗は逃げるように周りに目を渡らせた。
コンテナの扉にはテープが貼られていて、一度中から開くと、破れるようになっていた。
それを確認していくと、全ての扉が開いていた。
開いた扉から見たコンテナの中は同じ構造。
それ以外に出口と思われる扉は見当たらない。
『ギーンゴーン』
「な、なんだっ⁈」
「どうした⁈」
「何の音?」
突然のチャイムがアリーナ全体に響いた。
それと同時に、巨大スクリーンが煌々と白く輝いた。
黒い空間に放り込まれた海斗は己の体の変化を凝視していた。
電子的に分解されていく四肢。
―――飲み込まれてたまるか。
* * *
汗だくで目を開ける。
黒く、知らない天井が目の前に広がっていた。
夢を見ていたような気がするが、内容は思い出せない。
怒り、焦り、絶望する夢だった。
「ここは…」
起き上がった高橋 海斗はあたりを見渡した。
知らない部屋だ。
ベッド、机、カーテンで仕切られた向こうはトイレらしい。
四畳半程度の小さな部屋に押し込まれていた。
記憶にある自分の部屋とは似ても似つかない。
窓はないが、閉じられた扉の向こう側から人の話し声がした。
「なんだよ、お前も覚えていないのか」
「なんでこんなところに集められないといけないのか」
知らない声だ。
小さな部屋にいても何も変わらない。
海斗は扉を開いた。
「あ、誰か出てきたよ!」
出た場所は大きなアリーナで、その中央に人々が集まって、コンテナから出てきた海斗を見た。
小さな部屋だと思っていたのは、白いコンテナだったらしい。
「…ども…」
「こんにちは~」
一番近くに集まっていた人々の中から、一人の女性が手を振って挨拶してきた。
「私、さくら。渡辺さくらっていうの。あなたのお名前は?」
「高橋…海斗…」
コミュニケーションお化け。
海斗は苦手なタイプだ。
すぐにプライベートスペースに入ってきて、こっちの気も知らずに去って行く人。
どれだけそれで人間関係を失敗してきたか。
「高橋くんね。ここ、どういう状況か知ってる?」
さくらに言われて、改めて見渡す。
コンテナは三十前後、空間を取り囲むように円形に配置されている。
コンテナがない部分には巨大モニターが置かれていた。
まだ何も映し出されていない。
「何も知りませんが…」
「おいさくらぁ。そんな陰気なやつに聞いても、知ってるわけねぇだろ?」
さくらの後ろからがたいのいい男が会話に入ってくる。
「麻琴くん!」
麻琴と呼ばれた男は、金色のネックレスとブレスレットをつけており、胸元からは刺青が垣間見える。
どう見ても、普通の会社員ではない。
「こんなやつより、いざとなれば俺が壁ぶち壊して出してやるよ」
「でも、できれば穏便にここから出たいよねー」
睨みをきかせる麻琴を気にしない様子でさくらが海斗に微笑んだ。
「そ、そうですね…」
あまり関わりたくないかもしれない。
海斗は逃げるように周りに目を渡らせた。
コンテナの扉にはテープが貼られていて、一度中から開くと、破れるようになっていた。
それを確認していくと、全ての扉が開いていた。
開いた扉から見たコンテナの中は同じ構造。
それ以外に出口と思われる扉は見当たらない。
『ギーンゴーン』
「な、なんだっ⁈」
「どうした⁈」
「何の音?」
突然のチャイムがアリーナ全体に響いた。
それと同時に、巨大スクリーンが煌々と白く輝いた。
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