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転生したら賢者ポジだったけど魔王激推し《Sideジーク後編》2
「ありがとう。さっそく今日からいいかな。」
俺の言葉に淡々と返して、ヤツはそそくさと席を立った。
ここで俺とダラダラ話してるくらいならさっさと練習したいんだろう。
キッチンに立って道具を並べ始めた。
「退屈だろう?部屋に戻っていてもいいよ。出来たら呼ぶ。」
何もせず見ている俺を不審に思ったのか、アイツが声を掛けてきた。
「めんどい。」
「でも君制服のままじゃないか。」
何だ。自分から誘っておいて厄介払いしたいのか。
母親みたいなこと言いやがって。
でも、アイツが立ってる位置は俺の部屋のドアに近い。
今は開けない方が無難だろう。
「じゃあ脱ぐ。」
上着を乱暴に脱いでソファーの背もたれに引っ掛け、シャツも脱いでアンダーシャツ1枚になった。
ヤツは呆れてるのか無表情でじっとこちらを見ている。
「何だよもう着てないだろ文句あるのか?」
真面目なヤツのこと。だらしない格好よりは制服でいいと言うだろう。
「……ズボン。」
「っ……今から脱ぐとこ」
意外な売り言葉に買い言葉でベルトを外してズボンも脱ぎ、下はブライズ1枚になる。
ガシャンとキッチンから音がしたので見てみれば、アイツがボウルを床に落としていた。
ミスがショックだったのか胸の前で十字を切っている。
どこまでも真面目なヤツだ。
ボウルを拾ったアイツが作業台に向き直って包丁を持つ。
その横顔を盗み見た。
途端に、透き通るようだった静かな白い肌に血色が巡って頬が真っ赤になった。
そればかりか、紅潮した顔でへにゃっと緩んだ笑顔すら浮かべている。
その様子に釘付けになった。
あの日部屋で盗み見たときと同じ。普段と真逆で人間味があって抱きしめたくなる。
「なあ……」
思わず話しかけていた。
その顔を俺に向けて欲しくて。
「何だい?」
けど、ヤツの顔は俺を向くなりまたすっといつもの無表情に戻っていた。
豹変ぶりに身体がこわばる。
「っ……さっさとしろよな。」
何も言うことが浮かばなくて悪態だけついた。本当俺って嫌な人間だ。
「うん。すまない待たせて。」
「待ってない。」
自分に向けられる冷たい表情を見ていたくなくて、身体をアイツから背けて座り直す。
背後からカチャカチャと作業音がし始めた。
今どんな顔してるんだろう。
俺には向けないあの可愛い表情を、好きな相手のことを思ってまたしてるんだろうか。
騒つく感情を紛らわすために小さく舌打ちした。
しばらくして出来上がった料理は、初めて見るものだった。
挽肉を丸めて焼いて黒いソースを掛けたもので、ハンバーグと言う名前らしい。
実家でも挽肉の塊を焼いたよく似たメニューを料理人が出してくることはあるが、ハンバーグの方がふわふわで断然美味しかった。
「おいしいかい?」
一口食べた後あまりの美味しさに無言になった俺にアイツが淡々と聞いてくる。
反射的に美味い、と言い掛けてすぐに思い直した。
俺がここで美味しいって言ったら、コイツは自分が好きな相手にもこれを振る舞うだろう。
そして、あの可愛い顔で「おいしい?」なんて聞かれれば相手は一発で骨抜きになるに違いない。
許せない。
誰かもわからない相手にどす黒い殺意が湧いてくる。
「……別に。フニャフニャしてて、いまいち。」
思ってもいない事を口にする。
作ってもらっておいて最低な発言だ。
「そうか。確かにパン粉が多すぎたかもしれない。食感も大事だからな。次は粗挽き肉を混ぜてみよう。」
アイツは気にする事なく改善点を挙げていく。
その熱心な様子にまたチクリと心が痛んだ。
それでも美味しい料理をガツガツ食べて全部胃に収める。
その間もアイツは無表情でこちらを見ていた。
俺の言葉に淡々と返して、ヤツはそそくさと席を立った。
ここで俺とダラダラ話してるくらいならさっさと練習したいんだろう。
キッチンに立って道具を並べ始めた。
「退屈だろう?部屋に戻っていてもいいよ。出来たら呼ぶ。」
何もせず見ている俺を不審に思ったのか、アイツが声を掛けてきた。
「めんどい。」
「でも君制服のままじゃないか。」
何だ。自分から誘っておいて厄介払いしたいのか。
母親みたいなこと言いやがって。
でも、アイツが立ってる位置は俺の部屋のドアに近い。
今は開けない方が無難だろう。
「じゃあ脱ぐ。」
上着を乱暴に脱いでソファーの背もたれに引っ掛け、シャツも脱いでアンダーシャツ1枚になった。
ヤツは呆れてるのか無表情でじっとこちらを見ている。
「何だよもう着てないだろ文句あるのか?」
真面目なヤツのこと。だらしない格好よりは制服でいいと言うだろう。
「……ズボン。」
「っ……今から脱ぐとこ」
意外な売り言葉に買い言葉でベルトを外してズボンも脱ぎ、下はブライズ1枚になる。
ガシャンとキッチンから音がしたので見てみれば、アイツがボウルを床に落としていた。
ミスがショックだったのか胸の前で十字を切っている。
どこまでも真面目なヤツだ。
ボウルを拾ったアイツが作業台に向き直って包丁を持つ。
その横顔を盗み見た。
途端に、透き通るようだった静かな白い肌に血色が巡って頬が真っ赤になった。
そればかりか、紅潮した顔でへにゃっと緩んだ笑顔すら浮かべている。
その様子に釘付けになった。
あの日部屋で盗み見たときと同じ。普段と真逆で人間味があって抱きしめたくなる。
「なあ……」
思わず話しかけていた。
その顔を俺に向けて欲しくて。
「何だい?」
けど、ヤツの顔は俺を向くなりまたすっといつもの無表情に戻っていた。
豹変ぶりに身体がこわばる。
「っ……さっさとしろよな。」
何も言うことが浮かばなくて悪態だけついた。本当俺って嫌な人間だ。
「うん。すまない待たせて。」
「待ってない。」
自分に向けられる冷たい表情を見ていたくなくて、身体をアイツから背けて座り直す。
背後からカチャカチャと作業音がし始めた。
今どんな顔してるんだろう。
俺には向けないあの可愛い表情を、好きな相手のことを思ってまたしてるんだろうか。
騒つく感情を紛らわすために小さく舌打ちした。
しばらくして出来上がった料理は、初めて見るものだった。
挽肉を丸めて焼いて黒いソースを掛けたもので、ハンバーグと言う名前らしい。
実家でも挽肉の塊を焼いたよく似たメニューを料理人が出してくることはあるが、ハンバーグの方がふわふわで断然美味しかった。
「おいしいかい?」
一口食べた後あまりの美味しさに無言になった俺にアイツが淡々と聞いてくる。
反射的に美味い、と言い掛けてすぐに思い直した。
俺がここで美味しいって言ったら、コイツは自分が好きな相手にもこれを振る舞うだろう。
そして、あの可愛い顔で「おいしい?」なんて聞かれれば相手は一発で骨抜きになるに違いない。
許せない。
誰かもわからない相手にどす黒い殺意が湧いてくる。
「……別に。フニャフニャしてて、いまいち。」
思ってもいない事を口にする。
作ってもらっておいて最低な発言だ。
「そうか。確かにパン粉が多すぎたかもしれない。食感も大事だからな。次は粗挽き肉を混ぜてみよう。」
アイツは気にする事なく改善点を挙げていく。
その熱心な様子にまたチクリと心が痛んだ。
それでも美味しい料理をガツガツ食べて全部胃に収める。
その間もアイツは無表情でこちらを見ていた。
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