8 / 12
8
しおりを挟む声が大きいのと、外見が一目を引くのとで広場の何人かがチラチラとアマネに視線を送ってくる。
それを一切気にした風もなく、アマネは愛想良く笑いながら俺たちのところに来た。
「アマネっ、何でここが?ってか、今は福岡じゃ……」
俺が少し前に本人から聞いていた予定について訪ねれば、アマネが更ににっこり笑う。けど、何か、顔は笑ってるのにちょっと怖い。
な、何で怒ってるように感じるんだろう。
「もー。俺たち位置情報共有アプリお互いに入れてるじゃん。予定が変わって昨日東京に戻ってきたんだ。それで、この近くで会合してたんだけど、終わってみてみたらノリちゃんが近くにいたから来てみた。」
位置情報共有アプリ?なんだそりゃ、聞いたこと無い。
「はぁ?あのさあ……」
「それよりノリちゃん、服も髪も可愛いね!いつも可愛いけど、それもすごく似合ってる。」
上東さんの前だから彼氏の演技をしているのかもしれないけど、俺の今日の出で立ちを誉めてきた。
「あぁ、ありが……」
「まさか、今日のためのおしゃれじゃないよね?」
「えっ、あ……ちが……」
上東さんの手間、とっさに嘘を吐く。
「そうだよね!違うよね!彼氏と会う時よりただの知り合いと会うときの方が気合い入ってるわけないもんね!」
アマネが畳みかけるように言って上東さんを見た。
「あのさ、僕嫉妬深いんだよね。ノリちゃんのことは信じてるけど、あんたのことは知らないし。あんたの友達に僕たちのこと話した時隣にいたよね?何で人の彼氏とサシで遊べんの?クソすぎね?」
アマネが見せた態度にに上東さんが息を呑んだ。
「おい!やめろって。上東さん怖がってるだろ。彼女には俺たちが付き合ってないこと言ってあるから演技しなくても大丈夫だよ。」
慌ててアマネにフォローすると、信じられないという表情をする。
「は?」
「あ、いや、上東さんの方が最初に俺たちが付き合ってないこと見抜いたんだよ。前話したじゃん、ほら。で、お前もせっかく来たんだし一緒に遊ぼうぜ。上東さん、お前と仲良くなりたいんだと思う。」
言外に上東さんが前にアマネが言っていた彼女にふさわしい条件の持ち主だと示す。
上東さんが好きなのは多分アマネなんだから。
アマネは驚きすぎたのか無表情のままだ。
「佐竹君、失礼だけど……ちょっと鈍すぎるかも?私全然そんなこと思ってない。むしろ、もう帰りたいもん。」
上東さんが遠慮がちに言った言葉が予想外でびっくりした。
「えっ……?でも、ポムカの練習は?」
「えぇ……この状況で……?佐竹君は多分鷹槻君とよく話した方がいいと思うよ。鷹槻君、」
上東さんがアマネに話しかけた。
「私の好きな人がポムカ好きで、共通の話題が欲しくて佐竹君に教えてもらってたの。その人、12歳の近所の男の子なんだよね。だから、やましい気持ちないの信じてほしいって言うか……」
今上東さんとんでもないこと言わなかったか。
「私はどんなに都合良くいってもあと6年くらいどうにもならないけど、鷹槻君はそんな事ないじゃん。なら、ちゃんと気持ち伝えたらいいんじゃない?」
「うるさい。余計なお世話。クソ女って言って、すみませんでした。」
上東さんの言葉にアマネがぶっきらぼうに返す。一応謝ってるから、大丈夫かな?上東さんも気にしてない感じだし。
それにしても上東さん、そっか……そうなんだ……。
結局その後すぐにシートを片づけて上東さんとは別れた。
俺はといえばアマネに手を繋がれたまま都心の有料公園から郊外にある大学近くのアマネのアパートまで連行された。
アマネの容姿と男同士で無言で手をつないでいる異様な光景のせいで、道中は視線を感じまくって地獄だった。
89
あなたにおすすめの小説
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる