エデンの園を作ろう

春秋花壇

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東京都区部では、2018年に5,513件の孤独死が発生し、そのうち約7割が65歳以上の高齢者でした。2020年には4,238件の孤独死が発生し、前年より302件増加しています。

身罷った人は1月以上放置されることも多く、特殊清掃の需要もうなぎ上りに増えていた。

何よりも問題なのは、死に行く人たちには『受援力』が乏しい。

健康を維持するための努力はそれぞれ行っているのだが、

四季はある日突然訪れるのであろう。

お金が有り余っていれば、有料老人ホームに入って見守りの中を安全で楽しい老後が送れるのだろうが、東京の有料老人ホームの値段は、一時金2000万円。月々20万円。

とても、年金の支給で補えるようなものではなかった。

それに年を取って、新しい環境になじんでいくのも酷な話だ。

ここなら、嫌ならテレポートして元の住んでいた場所に戻れる。

気楽にキャンプ感覚で遊びに来れるのだ。

まさに、老人のための『エデンの園』なのである。

運営する側も、ここに来る人は孤独死予定100日以内の方なので、

異常に責任を感じて、過剰な設備投資をしなくても済む。

終(つい)の住まいだけど、大自然の中なのである。

広々とした田んぼ。

コイやフナが跳ねている池。

蛙や蝉やバッタやこおらぎ。

のどかにトンビも円を描く。

そんなところで、仮に死因が突然死でも余命を過ごせたらと毒子は日夜努力しているのである。

ただ問題は、せっかく親しくなっても100日以内にみんな死んでしまう。

それは慣れない人なら、本当にうつ病になるほど悲しく重い経験だった。

毒子は、自分の計画に取り組みながらも、その限界や課題にも直面していた。彼女は孤独死予定者たちにより良い最期を提供することを目指していたが、それは容易なことではなかった。

孤独死予定者たちとの関わりは短期間であり、彼らとの絆を深めることが難しかった。毒子は彼らが安らかな最期を迎えるように努める一方で、彼らの孤独や苦悩に寄り添うことも心掛けていた。

プラムボットたちも彼女の取り組みをサポートし、高度な介護や精神的な支援を提供していた。彼らは人間の介護者とは異なる視点から、孤独死予定者たちに寄り添い、彼らの最期をより快適なものにするために努力していた。

しかし、孤独死予定者たちの多くは毒子やプラムボットたちとの関わりを受け入れることが難しく、自らの孤独や絶望に打ち勝つことができなかった。彼らの最期は悲しいものであり、毒子もその現実に心を痛めていた。

それでも、毒子は諦めることなく、孤独死予定者たちに寄り添い、彼らが安らかな最期を迎えられるように努め続けた。彼女のエデンの園は、孤独死予定者たちにとって最後の安息の場所であり、彼らの尊厳を守るための場所でもあった。

毒子の計画はまだ始まったばかりであり、課題や困難が山積みであったが、彼女はその使命を果たすために全力を尽くし続ける決意を持っていた。彼女の活動は地域社会に希望と勇気を与え、孤独死予定者たちにとって新たな可能性を切り開くきっかけとなることを願っていた。





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