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はなさかじいさん
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昔々、ひとつの小さな村に「はなさかじいさん」と呼ばれる不思議な老人が住んでいました。彼は村人たちに親しみを込めて「花さかじいさん」とも呼ばれていました。その名の通り、彼の周りには美しい花々が咲き誇り、その魔法のような庭園は多くの人々を引き寄せていました。
一月は、蝋梅、水仙、胡蝶侘助
二月は、梅、椿、寒木瓜(かんぼけ)、青文字、油瀝青(あぶらちゃん)
三月は、連翹(れんぎょう)、白木蓮、黄梅、紫木蓮、枝垂柳(しだれやなぎ)、三又、さんしゅゆ、花蘇芳(はなずおう)、まんさく、猫柳、檀香梅、やしゃぶし、黒文字、藪椿、片栗、菜の花
四月は、雪柳、花水木、土佐水木、木瓜、辛夷(こぶし)、山吹、接骨木(にわとこ)、虫狩、錨草、宝鐸草(ほうちゃくそう)、貝母(ばいも)、五色散椿
五月は、大手毬、利休梅、白雲木、空木、山紫陽花、山法師、山藤、一輪草、延齢草、姫しゃが、しゃが、苧環、海老根、けまん草、都忘れ、菖蒲、鉄線花、杜若、あまどころ、風車、浜昼顔、矢車草、ちご百合、紫蘭、スイカズラ、黒花蝋梅
つづり尽くせないほどの様々な花々で大地が覆われていきました。
人々は、自分の好きな花の苗や種をおじいさんから分けてもらって、自分の家に持って帰り、丁寧に植えて、お世話をしたのです。おじいさんの庭園は、どんどん広がって「花咲く里」と、近隣の人が見物に来るくらいになりました。たくさんの旅人が、その里にお金を落としてくれるので、どんどん豊かな場所になりました。
様々な実のなる草木も植えて、溢れるほどの食物に里の人も訪れる旅人も花咲く里を「地上の楽園」と呼ぶほどになったのです。
人々は、神を敬い、毎日、神に感謝して愛の溢れた場所になっていきました。
ところが、それを見ていた悪魔は面白くありません。
「人間に神に従うよりも、悪魔に魂を売った方が楽でいい」
と、言い始めたのです。
それでも、里の人は、誘惑に負けず、土地を耕しては、植物の世話をしました。
怒った悪魔は、雲が現れると強い風を吹かせて吹き飛ばしてしまいます。
だんだん、その地には雨が降らなくなりました。
ある日、村には長い間続いた干ばつが訪れました。水不足で庭園の花々も次第にしおれ、人々の心にも重い雲が立ち込めていきました。村人たちは困り果てていたが、ひとりの少年が花さかじいさんのもとへ駆け込んできました。
「おじいさん、どうか助けてください。村の水不足が続いて、庭園の花たちも元気を失ってしまいました。」
花さかじいさんは少年の顔を見つめ、やがて深いため息をつきました。しかし、その瞳には奇跡を起こす力が宿っているような輝きがありました。
「君、私とともに川へ行こう。そこに答えがあるだろう。」
少年と花さかじいさんは手を取り合い、村を出発しました。途中で二人は美しい川に辿り着きました。花さかじいさんは手招きすると、川の水が不思議な形で舞い上がり、雲となって空に広がりました。
「これが『雨の花』と呼ばれる魔法だ。川の水が花に変わり、その花が雨となって大地に降り注ぐ。」
すると、空にかかっていた重い雲が一瞬で晴れ、やがて小雨が村に舞い降りました。庭園の花々は元気を取り戻し、村は再び緑豊かな姿となったのでした。
花さかじいさんは村人たちに感謝されながらも、静かに村を後にしました。その後も彼のことばや魔法のような庭園の伝説は語り継がれ、村は「はなさかじいさん」の奇跡によって幸せな未来を手に入れたのでした。
この浮世は一つの鏡である。
この鏡には皆自分の姿が映る。
だから君が
額に八の字を浮かべて鏡に向かえば、
鏡も八の字を寄せて君を睨み返し、
君が微笑みを浮かべて鏡に対すれば、
鏡も微笑みをもって君に応える。
そうです。人は楽しむために生まれ、笑うために生きていくのです。
一月は、蝋梅、水仙、胡蝶侘助
二月は、梅、椿、寒木瓜(かんぼけ)、青文字、油瀝青(あぶらちゃん)
三月は、連翹(れんぎょう)、白木蓮、黄梅、紫木蓮、枝垂柳(しだれやなぎ)、三又、さんしゅゆ、花蘇芳(はなずおう)、まんさく、猫柳、檀香梅、やしゃぶし、黒文字、藪椿、片栗、菜の花
四月は、雪柳、花水木、土佐水木、木瓜、辛夷(こぶし)、山吹、接骨木(にわとこ)、虫狩、錨草、宝鐸草(ほうちゃくそう)、貝母(ばいも)、五色散椿
五月は、大手毬、利休梅、白雲木、空木、山紫陽花、山法師、山藤、一輪草、延齢草、姫しゃが、しゃが、苧環、海老根、けまん草、都忘れ、菖蒲、鉄線花、杜若、あまどころ、風車、浜昼顔、矢車草、ちご百合、紫蘭、スイカズラ、黒花蝋梅
つづり尽くせないほどの様々な花々で大地が覆われていきました。
人々は、自分の好きな花の苗や種をおじいさんから分けてもらって、自分の家に持って帰り、丁寧に植えて、お世話をしたのです。おじいさんの庭園は、どんどん広がって「花咲く里」と、近隣の人が見物に来るくらいになりました。たくさんの旅人が、その里にお金を落としてくれるので、どんどん豊かな場所になりました。
様々な実のなる草木も植えて、溢れるほどの食物に里の人も訪れる旅人も花咲く里を「地上の楽園」と呼ぶほどになったのです。
人々は、神を敬い、毎日、神に感謝して愛の溢れた場所になっていきました。
ところが、それを見ていた悪魔は面白くありません。
「人間に神に従うよりも、悪魔に魂を売った方が楽でいい」
と、言い始めたのです。
それでも、里の人は、誘惑に負けず、土地を耕しては、植物の世話をしました。
怒った悪魔は、雲が現れると強い風を吹かせて吹き飛ばしてしまいます。
だんだん、その地には雨が降らなくなりました。
ある日、村には長い間続いた干ばつが訪れました。水不足で庭園の花々も次第にしおれ、人々の心にも重い雲が立ち込めていきました。村人たちは困り果てていたが、ひとりの少年が花さかじいさんのもとへ駆け込んできました。
「おじいさん、どうか助けてください。村の水不足が続いて、庭園の花たちも元気を失ってしまいました。」
花さかじいさんは少年の顔を見つめ、やがて深いため息をつきました。しかし、その瞳には奇跡を起こす力が宿っているような輝きがありました。
「君、私とともに川へ行こう。そこに答えがあるだろう。」
少年と花さかじいさんは手を取り合い、村を出発しました。途中で二人は美しい川に辿り着きました。花さかじいさんは手招きすると、川の水が不思議な形で舞い上がり、雲となって空に広がりました。
「これが『雨の花』と呼ばれる魔法だ。川の水が花に変わり、その花が雨となって大地に降り注ぐ。」
すると、空にかかっていた重い雲が一瞬で晴れ、やがて小雨が村に舞い降りました。庭園の花々は元気を取り戻し、村は再び緑豊かな姿となったのでした。
花さかじいさんは村人たちに感謝されながらも、静かに村を後にしました。その後も彼のことばや魔法のような庭園の伝説は語り継がれ、村は「はなさかじいさん」の奇跡によって幸せな未来を手に入れたのでした。
この浮世は一つの鏡である。
この鏡には皆自分の姿が映る。
だから君が
額に八の字を浮かべて鏡に向かえば、
鏡も八の字を寄せて君を睨み返し、
君が微笑みを浮かべて鏡に対すれば、
鏡も微笑みをもって君に応える。
そうです。人は楽しむために生まれ、笑うために生きていくのです。
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