生きる

米国で宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」がアカデミー賞受賞、専門家が語る意義

米国で宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」がアカデミー賞受賞、専門家が語る意義
1. 戦争の影、時代に問いかける傑作

米映画界の最高峰、アカデミー賞を受賞した宮崎駿監督（83）の長編アニメ「君たちはどう生きるか」。太平洋戦争中に火事で母親を亡くした少年の心の葛藤を描いた作品が、世界で戦争が続く中、大きな評価を得ています。

米国でジブリ作品を研究する第一人者の米タフツ大のスーザン・ネイピア教授（68）は、「困難で激動の今の時代に対し、強く問いかける傑作だ」と評し、世界で戦争が続く中での受賞を「痛切な意義がある」と語りました。

2. 複雑なメッセージへの不安

日英のアカデミー賞や米ゴールデン・グローブ賞などにも輝いた「君たちはどう生きるか」は、事前から「本命」との呼び声が高かった。しかし、一部には「米国人にはメッセージが複雑で難解」といった不安も出ていました。

3. 光と闇、複雑さをありのまま描く

ネイピア氏は宮崎作品を、「ハリウッド的な善悪や、基本的にハッピーエンドのディズニー作品とは一線を画し、人間の光と闇、複雑さをありのまま描いている」と評価します。戦中生まれで空襲を経験した宮崎監督の生い立ちを踏まえ、「今回は自伝的な作品。彼は戦争というテーマから絶対に逃げない」とも語りました。

4. 9.11で価値観に異変、複雑なリアルが共感を呼ぶ

「単純な解決策を与えてくれない作品に、いら立ちを覚えた米国人も多かったはずだ」。ネイピア氏はそう語りつつ、2001年9月11日の米中枢同時テロ後の価値観の変化を指摘します。「残念だが、世の中はハッピーエンドでは終わらない、善人が勝つとは限らないという大きな警鐘になった」。9.11以降、宮崎監督が描き出す複雑で矛盾に満ちたリアルな世界観が若者を中心に共感を呼んでいるという。

5. 戦争と若者へのメッセージ

ジブリ作品の「千と千尋の神隠し」が米アカデミー賞をとった03年は、米国がイラク戦争に突き進んだ時期。今はロシアのウクライナ侵攻とイスラエルとパレスチナの戦闘で、子どもを含めた多くの市民が犠牲になっています。

「二つの作品の受賞が戦禍の時代と重なったのは、偶然ではないと思いたい」。ネイピア氏は「邦題の『君たちはどう生きるか』は年下に対する表現だ。『闇が覆う時代を乗り越えてほしい』という若者へのメッセージが込められている」と受け止めました。

6. 時代を超えて語りかける普遍的なテーマ

宮崎監督の「君たちはどう生きるか」は、戦争という悲劇を背景に、生きる意味や人間の尊厳を問いかける作品です。複雑なメッセージを込めた作品ですが、米国でも多くの人の心を捉えました。戦禍の時代にこそ、強く問いかける作品と言えるでしょう。

7. 宮崎監督の今後の作品

現在83歳となる宮崎監督は、今後どのような作品を生み出すのでしょうか。世界中の人々が注目しています。

8. まとめ

米国で宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」がアカデミー賞を受賞。専門家が語る意義についてまとめました。

その他

記事では、ネイピア教授のインタビューを中心に、「君たちはどう生きるか」の受賞が持つ意義について論じています。
戦争というテーマや、米国における価値観の変化など、現代社会に深く関わる内容となっています。
宮崎監督の今後の作品にも注目が集まります。