マッチ売りの少女

『マッチ売りの少女：火は、まだ消えていない』

登場人物紹介

登場人物紹介

◆ リナ（10歳 → 18歳）

《炎が消えなかった少女》

幼い頃に祖母を亡くし、父の借金で家を失い、
吹雪の夜にマッチを売っていた少女。
感情を押し込める癖があり、
「迷惑をかけないように」と自分を責めながら生きてきた。

しかし——
あの夜、成島に拾われ、生かされたことで、人生が再び動き出す。

里親の内山家で「怖がってもいい」「泣いてもいい」と教えられ、
“お金＝恐怖”という価値観からゆっくり抜け出していく。

複利・投資・世界経済を学び、
「お金は未来を育てる火」と知り、
18歳の誕生日にこう誓う。

「私は、大人になったら“誰かの寒さを見逃さない人”になる」

象徴：
消えなかった火／渡す灯り／未来を育てる手

◆ リナの祖母

《最後の愛をくれた人》

貧しい暮らしでも、リナに愛情だけは欠かさなかった人。
マッチの炎に、何度も幻影として現れ、
リナを支え続ける“心の火”となる。

死後も、リナの人生の道しるべ。
祖母の温度は、リナの選択の中で静かに燃えている。

象徴：
失われたはずの愛／炎に宿る記憶／帰れる場所

◆ 成島（なるしま）／清掃員の男性（50代）

《倒れていたリナを“拾った人”》

吹雪の夜、路地裏で倒れていたリナを見つけた唯一の大人。
手袋越しに触れたリナの冷たさに震え、
「もっと早く気づけよ……」と泣きながら救急車を呼んだ。

社会の隙間で働いているが、
“見落とされがちな存在だからこそ、見えない子どもに気づく”。

17歳のリナと再会し、涙を流す。

「……生きててよかった……」

象徴：
見落とされた善意／世界の片隅の光

◆ 内山 花（はな）／里親の妻

《リナに“泣いていい”を教えた人》

ふんわりとした優しさで、
リナの恐れや怯えを包み込むように寄り添う女性。

「怖かったら言ってね。泣いても怒らないから」

その一言が、リナの世界を変えた。

贅沢を知らなかったリナに、
「これは贅沢ではなく、安心して生きるための部屋」と教え、
生活の基盤だけでなく、心の土台を作る。

象徴：
包む光／泣くことを許す声

◆ 内山 省吾（しょうご）／里親の夫

《“お金”の魔法を教えた人》

明るくて、冗談ばかりで、
空気を軽くするのが得意なタイプ。
だが、本質はとても誠実で緻密。

家計簿ノートを使い、リナにこう言った。

「お金は“敵”じゃない。扱い方を知ると味方になるよ」

そして毎年50万円を、
“リナの未来”に積み立てることを決めた人物。

複利、インデックス投資、世界とのつながり——
リナの価値観を根底から変えた恩師のような存在。

象徴：
未来を灯す火種／知識としての温度

◆ ミリエル（祖母の形見の人形）

《リナの“心の芯”》

古びた布人形。
片腕がとれていたが、美弥子に縫い直してもらう。

その修復は、
リナの“壊れていた心が縫い直される瞬間”の象徴。

成長してもずっと机の上に残り、
リナの未来を見守りつづける。

象徴：
つながれた心／失ったものと、これからの橋渡し

◆ 美弥子（みやこ）／施設職員

《“初めての信頼”をくれた人》

リナの人形ミリエルの腕を縫い直し、
「壊れても、直して、また一緒に行けるよ」と言った女性。

あの瞬間——
リナの胸に初めて“信じていい大人”が生まれた。

象徴：
修復の手／心のはじまり

◆ アヤ（リナの同級生）

《“世界の普通”を教えた子》

「そのセーターかわいい！」
「複利すごいよね！」
無邪気さでリナの殻を割っていく友達。

リナにとって、
“普通の家庭”“普通の会話”“普通の学校生活”という
未知の世界の案内人。

象徴：
日常の光／あたたかな普通

◆ 児童養護施設の子どもたち（複数）

《昔のリナの影と希望》

夕暮れの施設で、
「おねえちゃん、手あったかいね」
とリナに言った子。

リナが“火を渡す人”へと成長した証であり、
過去の自分をもう一度抱きしめる存在。

象徴：
渡された火／次の未来へつながる光