『家の中の、いちばん遠い場所で』

春秋花壇

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登場人物紹介

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登場人物紹介

『家の中の、いちばん遠い場所で』**

**◆ 佐伯 章夫(さえき・あきお)62歳

 ――沈黙に逃げ込んだ元サラリーマン**

■ 外見・雰囲気

・背は170cmほど。猫背ぎみ。
・白髪が耳の横に多く、昔は気にして染めたが、今は放置している。
・部屋着はいつも同じグレーのジャージ。
・近づくと、かすかに“古い書類とコーヒー”の匂い。

■ 性格

・本当は気が弱く、優しい。
・だが、その優しさを表に出すのが極端に下手。
・プライドが高く、自分の弱さを認められない。
・言葉で説明するより、黙り込んでしまうタイプ。

■ 背景

・定年後、再雇用で月給が半分になり、
 “必要とされていない感”に強いショックを受ける。
・若い上司に怒られた日の夜、誰にも話せず、
 その沈黙が家庭でも続くようになった。

■ 弱点

・「ありがとう」「ごめん」が言えない。
・孤独を恐れながら、自分から距離を取ってしまう。

■ 口癖

「……俺なんて、どうせ」
「別に。問題ない」

**◆ 佐伯 理恵(さえき・りえ)56歳

 ――静かに傷つき続けた妻**

■ 外見・雰囲気

・小柄で柔らかい雰囲気。髪は肩までのボブ。
・香りはいつも柔軟剤の“白い花の匂い”。
・職場の制服と、家でのエプロン姿がよく似合う。

■ 性格

・我慢強く、感情を押し込めがち。
・本当は明るく笑う女性なのに、
 章夫の沈黙の前ではその光が曇っていく。
・相手の気持ちを先に考えてしまう優しさ。

■ 背景

・子どもは独立し、夫婦二人暮らしに戻った途端、
 章夫の“沈黙の壁”に閉じ込められるようになった。
・昼は事務パート。帰りの商店街の灯りだけが心の支え。

■ 弱点

・「寂しい」と言えない。
・自分の幸せを後回しにしすぎる。

■ 口癖

「……大丈夫よ、私は」
「怒ってない。ただ、疲れただけ」

**◆ 佐伯 なお(さえき・なお)34歳

 ――夫婦の橋渡しを願う娘**

■ 外見・雰囲気

・よく笑うが、両親の前では気を遣いすぎて眉が下がる。
・仕事は看護師。相手の表情を読むのが得意。

■ 性格

・姉御肌でしっかり者。
・両親の不仲を察し、心配して家に顔を出す。
・しかし“親の問題には踏み込めない”葛藤に苦しむ。

■ 弱点

・母を守りたいのに、強く言えない。
・父の寂しさも理解できてしまう優しさ。

■ 口癖

「お父さんたち……大丈夫なの?」

**◆ 三好(みよし)さん 78歳

 ――章夫が心を動かされる近所の老人**

■ 外見・雰囲気

・杖をつき、ゆっくり歩く。
・笑うと目尻のしわが深くなる。
・家の前には季節の花がいつも飾られている。

■ 性格

・人の弱さを責めず、静かに寄り添うタイプ。
・ちょっとしたことで「ありがとうねぇ」と言う人。

■ 物語上の役割

・第8話で倒れ、章夫が助けることで
 「自分も誰かの役に立てる」という感覚を取り戻させる。
・章夫の“再生”のきっかけになる存在。

**◆ 西村(にしむら)美沙(45歳)

 ――理恵の職場の同僚**

■ 性格・役割

・明るくて少し毒舌。
・理恵の唯一の相談相手。
・彼女の言葉が理恵の背中を押すことも、揺らすこともある。

■ 口癖

「理恵さん、あんた優しすぎるよ?」

補足:物語のキーワード

・沈黙の重さ
・湯気の向こうの距離
・閉まるドアの音
・冷めた味噌汁
・“ありがとう”の欠落
・夫婦の再生
・ゆっくりと戻る食卓

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