お金がない

トー横キッズ

トー横キッズ

新宿の喧騒から一歩外れた路地裏に、トー横キッズと呼ばれる若者たちの集団がいた。彼らは日々、生活の厳しさと戦いながらも、絆を深めていた。

主役の一人、悠太は幼い頃から孤独な日々を過ごしてきた。両親は不仲であり、家庭は常に揺れ動いていた。やがて、高校を卒業した悠太は、家を飛び出し、トー横キッズの仲間たちと共に路地裏で生活することになった。

彼らはお金がないことに悩まされながらも、助け合いながら生きていた。日中は近くの公園で過ごし、夜は路地裏の一角で仲間たちと話し合い、食事を共にした。時にはお互いの心情を語り合い、支え合うことで、彼らの絆はますます深まっていった。

ある日、悠太は仲間たちと共に路地裏で昼食を取っていると、通りすがりの店主から厳しい目で睨まれた。彼らはお金がないため、普通の店で食事をすることができなかった。しかし、その店主は優しい笑顔で彼らに声をかけ、無料の食事を提供してくれた。その善意に触れた悠太は、涙ぐみながら礼を述べた。

その出来事をきっかけに、トー横キッズは新たな可能性を感じ始める。彼らはお金がなくても、助け合い、支え合うことで生き抜いていけることを学んだ。お金がないからこそ、心の豊かさや絆の大切さを知り、それを財産として生きていくことを決意したのだった。

時には困難が訪れるかもしれないが、彼らは互いに手を取り合い、前に進んでいく。トー横キッズの絆は決して壊れることはなく、彼らは共に困難を乗り越えて、明るい未来を切り拓いていくのであった。

あれから、53年の年月が流れた。

当時、17才だった悠太ももうすぐ70歳を迎える。

あの時、親切にしてくださった店主の方、ごめんなさい。

僕たちは、朝方近く、そのお店の中で寝泊まりさせてもらった。

なのに、僕はそのお店のお金が入っている籠から、小銭をいくらか盗んだのである。

その時、ご主人は悲しそうな顔で

「悠太、お前はダメだ」

と、たった一言言われた。

してあげたことは忘れろ!

してもらったことは倍返し!

ってできたらかっこいのにな。


『恩を仇で返す』

俺は人としてやってはならないことをしてしまったのだ。

そして、人は忘れても自分はいつまでもそのことをはっきりと鮮明に覚えているのだ。

棚のどのあたりあったかごだったのかさえ覚えている。

アルツハイマーが始まって、ずいぶんいろんな記憶が途切れていく中で今でも、はっきりと……。

ほんとうに、すみませんでした。