お金持ちごっこ

春秋花壇

文字の大きさ
上 下
1 / 152

デパートの魔法

しおりを挟む
デパートの魔法

『美しさは、あなたがあなたらしくいると決めた時に始まる』

鏡に映る私は、まるで別人のようだった。

デパートの化粧品売り場で、プロのメイクアップアーティストにフルメイクしてもらったのだ。

普段はノーメイクか、せいぜいファンデーションとリップクリームくらいしかしない。

自分のお誕生日にどうしても、口紅が欲しくて立ち寄った。

だから、こんなに丁寧にメイクしてもらったのは初めてだった。

しかも、あの有名なココマークのフルメイク。

(いっぱい買わされたらどうしよう。お金足りるかな?)

喜びと不安のジェットコースターに乗っているようだった。

メイクアップアーティストは、私の顔のパーツを一つ一つ丁寧に分析し、私に似合うメイクを施してくれた。

ベースメイクは、私の肌の色にぴったり合うファンデーションとコンシーラーで、肌を均一に整えてくれた。

アイメイクは、私の目の形に合ったブラウン系のシャドウで、自然なグラデーションを作った。

そして、仕上げに鮮やかなピンクのリップを塗って、華やかさをプラスしてくれた。

メイクが終わって鏡を見た私は、思わず声を失った。

そこには、いつもとは全く違う、美しい女性が映っていた。

まるで、魔法にかかったような気分だった。

「まるで別人のようですね!」

メイクアップアーティストにそう褒められて、私は照れ笑いを浮かべた。

デパートを出ると、私はそよそよと吹く風に髪をなびかせながら、街を歩いた。

いつもとは違う自分に変身したことで、周りの景色も違って見えた。

まるで、自分が映画の主人公になったような気分だった。

デパートのショーウィンドウに映る自分の姿を見て、私は思わず立ち止まった。

そこには、自信に満ち溢れた美しい女性が映っていた。

私は、その女性が自分であることを信じられなかった。

お金持ちごっこだったとしても、この瞬間は本物の幸せだった。

私は、この幸せをいつまでも忘れないように、しっかりと心に刻み込んだ。

そして、いつかまた、この魔法のような体験をしたいと願った。

その後
お金持ちごっこは、ほんの一瞬の夢だった。

しかし、その夢は私に、新しい可能性を与えてくれた。

私は、もっと自分自身を大切にして、もっと美しくなりたいと思うようになった。

そして、その夢を実現するために、努力を始めた。

メイクの勉強を始めたり、スキンケアに力を入れたり、ダイエットをしたりした。

努力の甲斐あって、私は少しずつ理想の自分に近づいていった。

そして、いつの日か、お金持ちごっこではなく、自分の力で美しい女性になることができた。

あのデパートでの経験は、私の人生を大きく変えてくれた。

私は、あの日、自分自身を信じる勇気と、夢を叶える力を手に入れたのだ。


『美しさは、あなたがあなたらしくいると決めた時に始まる』
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

孤独なまま異世界転生したら過保護な兄ができた話

BL / 連載中 24h.ポイント:56,183pt お気に入り:3,467

竜帝と番ではない妃

恋愛 / 完結 24h.ポイント:177pt お気に入り:328

女王特権で推しと結婚するなんて、はしたないですか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:844pt お気に入り:16

カラダラッパー!

児童書・童話 / 完結 24h.ポイント:276pt お気に入り:0

やらないでください

ホラー / 完結 24h.ポイント:1,661pt お気に入り:0

学校の人気者は陰キャくんが大好き 

BL / 連載中 24h.ポイント:1,313pt お気に入り:29

処理中です...