お金持ちごっこ

ソラとアキラのお金持ちごっこ

お金持ちごっこ
1. 公園

陽だまりの公園で、5歳のソラは砂遊びに夢中。小さな手で型を作り、そこに水を注いで川を作っていた。その横で、7歳の兄アキラは葉っぱを集めて秘密基地作りに励んでいる。

「ねぇねぇ、見て見て！」

ソラは、完成した川に小さな船を浮かべ、得意げにアキラを呼んだ。

「わぁ、すごいね！まるで本物の川みたい！」

アキラは感嘆の声を上げ、ソラの作った川を真剣に見つめる。

「ねぇ、アキラ、お金持ちだったらどんなことしたい？」

ソラは突然、そんな質問を投げかけた。

「えーっと…うーん、美味しいものいっぱい食べたり、大きなお家に住んだり、かっこいい車に乗ったり…」

アキラは目をキラキラさせながら、夢を膨らませる。

「私もね、大きなお姫様のお城に住んで、毎日ケーキを食べたい！」

ソラは目を閉じて、想像の世界に浸る。

「でも、お金持ちって大変そう…」

アキラは少し不安そうな顔をする。

「どうして？お金持ちだったら何でもできるでしょ？」

ソラは首を傾げ、アキラの言葉を理解できない様子。

「だって、お金持ちはいつも忙しそうだし、悪い人に狙われたりすることもあるんだ…」

アキラは、テレビで見たニュースを思い出して話す。

「うーん、でも…お金持ちだったら、みんなを幸せにできると思う！」

ソラは、自分の夢を譲らない。

「そうだね！ソラが幸せになるなら、お金持ちになるのもいいかもしれないね！」

アキラは、ソラの笑顔を守るために、どんなことでもしようと決意する。

2. 夢の中

その夜、ソラは夢を見た。夢の中では、ソラはお金持ちのお姫様になっていた。大きなお城に住み、毎日美味しいもの食べ放題、好きな服を着放題、行きたいところへどこでも行ける。夢のような生活だった。

しかし、夢の中では、ソラはどこか孤独だった。お金持ちの友達はみんなお金持ちのことで頭がいっぱいで、ソラとは話が合わない。お金持ちの家族はいつも忙しくて、ソラと遊んでくれない。

ソラは、お金持ちになっても、本当の幸せは手に入らないことに気づいた。

3. 公園

次の日、ソラはアキラと一緒に公園で遊んでいた。

「ねぇ、アキラ、昨日の夢の話聞いてくれる？」

ソラは、昨日の夢のことをアキラに話した。

「やっぱり、お金持ちになるよりも、みんなと一緒に遊ぶ方が楽しいよね！」

ソラは、アキラと手を繋ぎ、満面の笑顔で話す。

「うん、そうだね！お金よりも大切なものは、友達と家族との絆だよ！」

アキラも、ソラの言葉に深く頷く。

ソラとアキラは、お金持ちごっこを忘れて、公園で思いっきり遊ぶ。泥だらけになりながら、笑い合い、追いかけっこをする。

ソラは、お金では買えない本当の幸せを、心から感じた。

4. 未来

ソラとアキラは、大人になっても、公園で遊んだあの日のことを忘れない。お金持ちになるために必死に働くのではなく、大切な人たちと時間を共有することこそが、人生で一番大切なことだと信じていた。

そして、二人で月に一度老人ホームのボランティアをしている。

「情けは人の為ならず」

ソラとアキラは、それぞれの道を歩みながら、お金持ちごっこで学んだ大切な気持ちを胸に、今日も幸せに生きている。