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15.王子観察のお供
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「これはなーに?ドウリア」
「ララ様の観察のお供をするものです」
ドウリアがお供だと差し出したそれは、人ではなく手のひらサイズの一匹の赤毛のミニ猿だった。このミニ猿は迷子防止ペットとして子供がいる家庭で大流行している。飼い主が迷子になっていると必ず家まで連れ帰ってくれるし、賢いうえに大人しいのでやんちゃな子供に与える親が続出していた。そうどこの家庭でもやんちゃな子供には手を焼いているのである。
「ねぇドウリア、お供は元忍びではなかった?」
「はい、その通りです」
どう見ても元忍びではないただのミニ猿だ、それは南の辺境地で育ったララルーアでも分かることだった。騙されるもんかと、ララは鼻息を荒くしてドウリアを問い詰める。
「でもこれはただのミニ猿よね?元忍びじゃないもん!」
「ララ様、忍びにも種類がございます。人は忍者、犬は忍犬、そしてミニ猿は忍猿です。このミニ猿は幼少期忍びとして活躍していたので元忍びに間違いはありません。それともララ様は忍びの種族差別をするのですか?」
「…し、しないもん」
このミニ猿は絶対に元忍びじゃないし、ただの迷子防止ペットだとララには当然分かっていた。けれどもミニ猿は話せないから問い詰める事も出来ないし、ドウリアを問い詰めてもさらりとかわされてしまうだろう、忍びに種類があるかどうか知らないララには悔しいが反論できない。
ドウリアが『ほら、ララ様のところに行きなさい』とミニ猿をララの肩の上にちょこんと乗せる。ミニ猿はララが気に入ったようでスリスリと自分の顔をララの頬につけてくる。
ララはお供が元忍びではない事に納得いってないが、もともと動物は大好きだ。ミニ猿の可愛い姿に思わず和んでしまって、『可愛い子ね、赤毛の猿ちゃん』とミニ猿の頭にチュッとキスを落とした。ドウリアはその様子を満足げに確認しララに話し掛ける。
「ではいいですね。このミニ猿とチームにんにん頑張ってください」
「うん、頑張る…」
『チームにんにん』がララとミニ猿で強引に決定した瞬間であった。元忍びでない事に不満はあるが、決まったことをいつまでもウジウジしないのがララの良いところである。
ミニ猿に『にんにん』と名前をつけて『にんにん、今日から私達は仕事するのよ。頑張ろうねー』とご機嫌に話し掛けている。にんにんも背筋を伸ばし右手を額の上で斜めにして敬礼ポーズで応えている。…もしかしたら元忍びなのは本当なのか?
ララは肩掛け鞄にノートとペンとドウリアが作ってくれたおやつを入れ、肩にお供のにんにんを乗せ王子観察に出発しようとする。
「お待ちください。ララ様、忘れものですよ」
ドウリアは一枚の紙を出発しようとしていたララに手渡す、それは王子の今日のスケジュールが書かれた予定表だった。午前は誰とどこで何をしているのか詳細に書かれているし、ベスト観察スポットまで手書きで書き加えられている。さすがスーパー侍女は仕事が丁寧である。
「うぁー、有り難う!これで仕事が格段に楽になるわ」
「ウッキッキー」
ララとにんにんが二人でドウリアに感謝を伝える。---なんかにんにんがミニ猿なのに完璧過ぎる、元忍び説が捨てられない。
とりあえず、王子観察に出発ー!
『ウッキッキイー!』
「ララ様の観察のお供をするものです」
ドウリアがお供だと差し出したそれは、人ではなく手のひらサイズの一匹の赤毛のミニ猿だった。このミニ猿は迷子防止ペットとして子供がいる家庭で大流行している。飼い主が迷子になっていると必ず家まで連れ帰ってくれるし、賢いうえに大人しいのでやんちゃな子供に与える親が続出していた。そうどこの家庭でもやんちゃな子供には手を焼いているのである。
「ねぇドウリア、お供は元忍びではなかった?」
「はい、その通りです」
どう見ても元忍びではないただのミニ猿だ、それは南の辺境地で育ったララルーアでも分かることだった。騙されるもんかと、ララは鼻息を荒くしてドウリアを問い詰める。
「でもこれはただのミニ猿よね?元忍びじゃないもん!」
「ララ様、忍びにも種類がございます。人は忍者、犬は忍犬、そしてミニ猿は忍猿です。このミニ猿は幼少期忍びとして活躍していたので元忍びに間違いはありません。それともララ様は忍びの種族差別をするのですか?」
「…し、しないもん」
このミニ猿は絶対に元忍びじゃないし、ただの迷子防止ペットだとララには当然分かっていた。けれどもミニ猿は話せないから問い詰める事も出来ないし、ドウリアを問い詰めてもさらりとかわされてしまうだろう、忍びに種類があるかどうか知らないララには悔しいが反論できない。
ドウリアが『ほら、ララ様のところに行きなさい』とミニ猿をララの肩の上にちょこんと乗せる。ミニ猿はララが気に入ったようでスリスリと自分の顔をララの頬につけてくる。
ララはお供が元忍びではない事に納得いってないが、もともと動物は大好きだ。ミニ猿の可愛い姿に思わず和んでしまって、『可愛い子ね、赤毛の猿ちゃん』とミニ猿の頭にチュッとキスを落とした。ドウリアはその様子を満足げに確認しララに話し掛ける。
「ではいいですね。このミニ猿とチームにんにん頑張ってください」
「うん、頑張る…」
『チームにんにん』がララとミニ猿で強引に決定した瞬間であった。元忍びでない事に不満はあるが、決まったことをいつまでもウジウジしないのがララの良いところである。
ミニ猿に『にんにん』と名前をつけて『にんにん、今日から私達は仕事するのよ。頑張ろうねー』とご機嫌に話し掛けている。にんにんも背筋を伸ばし右手を額の上で斜めにして敬礼ポーズで応えている。…もしかしたら元忍びなのは本当なのか?
ララは肩掛け鞄にノートとペンとドウリアが作ってくれたおやつを入れ、肩にお供のにんにんを乗せ王子観察に出発しようとする。
「お待ちください。ララ様、忘れものですよ」
ドウリアは一枚の紙を出発しようとしていたララに手渡す、それは王子の今日のスケジュールが書かれた予定表だった。午前は誰とどこで何をしているのか詳細に書かれているし、ベスト観察スポットまで手書きで書き加えられている。さすがスーパー侍女は仕事が丁寧である。
「うぁー、有り難う!これで仕事が格段に楽になるわ」
「ウッキッキー」
ララとにんにんが二人でドウリアに感謝を伝える。---なんかにんにんがミニ猿なのに完璧過ぎる、元忍び説が捨てられない。
とりあえず、王子観察に出発ー!
『ウッキッキイー!』
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