あなたの『番』はご臨終です!

矢野りと

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34.美少女現る…その②

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目の前の美少女に平手打ちされてもトカタオは、真っ裸の美少女から目を離すことが出来なかった。

パリンッ!ビシャーー。

にんにんがお茶会で使用していた中身が入っているティーポットをトカタオの頭に迷うことなく振り落とした。
トカタオは頭への衝撃と液体の熱さに驚き一瞬美少女から目を離したら、いなくなっていた…、あの真っ裸が。
その代わりに侍女ドウリアによってシーツを巻かれた美少女はいた、かなり怒っていたが。

「普通乙女の裸をガン見する?しないわよね!そんな事するのは変態だからねー!」
「いや、俺が問題にしたいのはそこじゃないんだが…」
「なに言い訳してるの!それ以外になにがあるっていうのよ。誤魔化されないもん!」

ララもかなり混乱しているようだ、自分が人型になっているのに気づかず、人型の真っ裸だけを問題にしている。ララにとって誕生50年目にして初変化だからそれも仕方がないことだろうが、それにしても竜人のくせして鈍すぎる。

「ララ様、変態王子はほっといてください。それより重要な事をお知らせします」
「うん?なあにドウリア」
「ララ様は今竜体ではありません。人型になっております」
「……ひ、と、が、た?」

ララはドウリアの言葉を繰り返し、自分の身体をしげしげと見てみた。お尻には自慢の尻尾がない、肌に鱗がない、髪の毛がふわふわ生えている、お腹がへこんでいる。---いやいや、最後のは竜体の特徴と関係ない。
ララは体に巻き付けたシーツを引きずりながら鏡の前に移動をする。鏡にはどこかで見たことがあるような顔をした美少女があほな表情で写っている。

「………これは誰かな?」
「ララ様でございます。竜体同様とても見目麗しいお姿ですよ」
「ウッキーイ!ウッキッキー♡」

ドウリアとにんにんがララの人型を褒めるが、ララからはなんの反応も返ってこない。

「おい、ララ大丈夫か。初変化だから驚いてるようだが、竜人には当たり前のことだ。安心しろ」

トカタオも放心状態のララを落ち着かせようと優しく声を掛けてみる。

「フフフ。私、分かっちゃったもんね。この顔どこかで見たと思ったのよ、これお兄様の顔だわ!お兄様女装して鏡の中に入ってドッキリを仕掛けているのね~。騙されないわよ、アハハ…」

ララが錯乱している…。女装して鏡に入れる竜人なんてどこを探しても見つからないのに、いる設定になっている。

にんにんがララに巻き付いているシーツをよじ登り、肩の上にちょこんと座る。そしてララの肌を傷つけないように完全に爪をしまってから、おもいきりララの頬っぺたを引っ張った。

ムギュゥギュゥーー。

「痛っーいー!にんにん止めてよ~」
「ウッキウッキ、ウッキウキウ、マオウキキウウウイイー」
「えっ、鏡の中にお兄様はいないの?本当にドッキリじゃない?!」
「ウキー!」
「こんな可愛い美少女見たことない…。私って、人型でもい、け、て、る…」

フラフラ、キュー、バッタン…。

ララルーア㊗初変化♪
だが自画自賛したあとに失神してしまった。それは変化のショックからなのか、それとも自分の美少女っぷりへの驚きだったのか…。

『あまりに可愛いからちょっと驚いただけだもん!でも私、本当は竜人じゃなくて天使なのかも…?』byララ

いいえ、あなたは正真正銘の竜人です!
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