悲恋の恋人達は三年後に婚姻を結ぶ~人生の歯車が狂う時~

矢野りと

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18.困惑

「何故ですか!降嫁後にはタオ伯爵息女との再婚を認めると約束されましたよね?まさか国王様が認めたことを宰相である貴方様が反故にされるのですか!」

リデックは宰相の執務室に約束もなく乗り込み、大声を上げていた。本来なら警護の騎士につまみ出されるところだが宰相が『大丈夫だ、さがっていろ』と命令したので、リデックはその場に留まることが許された。

「いきなり入ってきてどういう事だ。タチアナ様の結婚相手じゃなかったらたたき出しているところだぞ」

宰相は興奮しているリデックを落ち着かせようと、座ったまま落ち着いた声で話し掛けた。
だがリデックは先ほどより落ち着きを取り戻してはいたが、その表情は怒りに満ちていた。

「どうもこうもありません!先ほど再婚の手続きをしに行ったら、『認められない』と言われたんです。理由を問うても教えられる立場にないと、これはどういう事ですか!約束が違うじゃないですか。それとも正妻になったタチアナが裏で手を回したんですか!」

「不敬な事を申すな。お優しいタチアナ様がそんな事をするはずないだろうが!それに私もこの件に関与はしておらん」

「では、まさか…。国王様自ら約束を破ったのですか…」

そういうとリデックは力尽きたようにその場に崩れ落ち、『なぜ…』と繰り返していた。

「いや国王様も関係ない」

「では一体何が…」

「リデック・バウアーよ、あの時の話を覚えているか?お前には『条件をタオ伯爵息女が承知した場合再婚を認める』と国王様は申したはずだ」

----勿論覚えている!だからこそ、再婚の手続きに来たのだ。生まれた子も女の子だったので、娘と認め引き取ってもなんの問題も無いはずだ。それなのに…!

「ええ覚えています。だからこそ再婚の、」

「タオ伯爵息女から事前に連絡があった。『再婚の条件を拒絶する』とな。だから再婚の手続きが出来ないだけだ。誰も圧力や横やりなどしていない、本人の希望を優先した結果だ」

「ま、まさかハンナが…。そんなはずない、そんなはずないんだ!」

リデックは宰相から言われた事が信じられなかった。それもそのはず、二人で話し合い離縁を受け入れ再婚することにしたのだから。

---ハンナも再婚を望んでくれていたはずだ、これはきっと何かの間違いだ。そうだ、俺が上手く説明しなかったからハンナが何かを勘違いしてしまっただけなんだ。

青白い顔をしたリデックは宰相に礼を失した言動を謝ることなく部屋を飛び出し、その足でタオ伯爵家へと急ぎ向かった。
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