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19.ハンナから見たリデック・バウアー①
リデック・バウアーという男のことは政略結婚が決まる前から知っていた。
金髪碧眼の美丈夫な騎士のうえ、タチアナ王女の恋のお相手とくれば貴族社会では注目の的だ。直接面識が無くても、夜会での噂話やお茶会で仕入れた情報は私に必要以上の知識を与えてくれていた。
その結果辿り着いた答えは、『盛っても中の上程度の私には一生関係のない相手』だということだった。
そんな私が彼と政略結婚することになってしまった。
タチアナ王女の元恋人という肩書の騎士を独身のままにしておきたくない王家からの打診だったので、伯爵位の我が家にとっては王命も同然であり断る選択肢などなかった。
両親には『断れなくて済まない』と謝られたが、私も貴族として生まれ育ったので政略結婚は覚悟していたので、ショックを受けたりしなかった。
ただあの可憐なタチアナ王女の次なのは大いに抵抗を感じたが、私なりに『良い夫婦』になれるように頑張るつもりだった。
そう私は淑女と程遠いかなり前向きな性格なので、この時はまだ『なんとかなるでしょう』くらいに思っていた。
だが正式に婚約が決まり短い婚約期間には自分の考えが間違っていたことが分かった。
少しでも相手の事を知りたいと思い何回か手紙を出したが返事は一回も来なかった。それに父から『一回くらいは会えないか』と申し込んだが『忙しい』とあっさり断られた。
いかにも使用人が選びましたというような無難な花束などが送られてきたが、カードの一枚も付いていなかった。
悲恋の恋人達の片割れは自分の悲劇に酔っている馬鹿な男だった。
貴族ならば政略結婚は当たり前、みんな自分の恋心をそっとしまって義務を優先するのにリデック・バウアーはそれが出来ない幼稚な男のようだ。
---私だって淡い恋心を封印したのに~、美形ならなんでも許されると思ったら大間違いよ!
ああ、これは本当にハズレくじだな。どうせ政略結婚するなら見た目より中身が良い男と結婚したかったな~。
私は毎日『リデック・バウアー、ハゲになれ~。つるっぱげ~』とお祈りしていたが、結婚式当日本人と会いその効果がなかったことにがっかりしてしまった。
だが結婚するのだから歩み寄ろうと淑女の仮面を被りしおらしく話し掛けた。
「リデック様、不束者ですがどうぞよろしくお願い致します」
「………」
返事はなかった。
彼にはどうやら私の存在はその辺の石ころと同じようだ。
---決めた!私もコイツを石ころと思って接しよう!
そう思えば無言も苦ではなかった。だって石は喋らないのだから問題はないはずだ。『うん、これで問題解決よ』と一人で納得し結婚式も無事済ませることができた。
そんな前向きな私を更に追い打ちをかける出来事があった。
それは初夜だった…。
金髪碧眼の美丈夫な騎士のうえ、タチアナ王女の恋のお相手とくれば貴族社会では注目の的だ。直接面識が無くても、夜会での噂話やお茶会で仕入れた情報は私に必要以上の知識を与えてくれていた。
その結果辿り着いた答えは、『盛っても中の上程度の私には一生関係のない相手』だということだった。
そんな私が彼と政略結婚することになってしまった。
タチアナ王女の元恋人という肩書の騎士を独身のままにしておきたくない王家からの打診だったので、伯爵位の我が家にとっては王命も同然であり断る選択肢などなかった。
両親には『断れなくて済まない』と謝られたが、私も貴族として生まれ育ったので政略結婚は覚悟していたので、ショックを受けたりしなかった。
ただあの可憐なタチアナ王女の次なのは大いに抵抗を感じたが、私なりに『良い夫婦』になれるように頑張るつもりだった。
そう私は淑女と程遠いかなり前向きな性格なので、この時はまだ『なんとかなるでしょう』くらいに思っていた。
だが正式に婚約が決まり短い婚約期間には自分の考えが間違っていたことが分かった。
少しでも相手の事を知りたいと思い何回か手紙を出したが返事は一回も来なかった。それに父から『一回くらいは会えないか』と申し込んだが『忙しい』とあっさり断られた。
いかにも使用人が選びましたというような無難な花束などが送られてきたが、カードの一枚も付いていなかった。
悲恋の恋人達の片割れは自分の悲劇に酔っている馬鹿な男だった。
貴族ならば政略結婚は当たり前、みんな自分の恋心をそっとしまって義務を優先するのにリデック・バウアーはそれが出来ない幼稚な男のようだ。
---私だって淡い恋心を封印したのに~、美形ならなんでも許されると思ったら大間違いよ!
ああ、これは本当にハズレくじだな。どうせ政略結婚するなら見た目より中身が良い男と結婚したかったな~。
私は毎日『リデック・バウアー、ハゲになれ~。つるっぱげ~』とお祈りしていたが、結婚式当日本人と会いその効果がなかったことにがっかりしてしまった。
だが結婚するのだから歩み寄ろうと淑女の仮面を被りしおらしく話し掛けた。
「リデック様、不束者ですがどうぞよろしくお願い致します」
「………」
返事はなかった。
彼にはどうやら私の存在はその辺の石ころと同じようだ。
---決めた!私もコイツを石ころと思って接しよう!
そう思えば無言も苦ではなかった。だって石は喋らないのだから問題はないはずだ。『うん、これで問題解決よ』と一人で納得し結婚式も無事済ませることができた。
そんな前向きな私を更に追い打ちをかける出来事があった。
それは初夜だった…。
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