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23.真相④
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「普通、魔術を行う場合自分の体内にある魔力が使われる。他人の魔力を使うなんて今まで聞いたことはなかった。
本当ならあり得ないんだ。
だが高い魔力の持ち主が君のことを心から心配していたからか、その魔力が君の周りに漂っていた。これが正しい表現かは分からないが、感覚としてはそういう状態だったと推察される。
乱雑な魔術ゆえにその魔力を糧にする形となって、最悪の奇跡が起こった。
そしてその魔力の持ち主はルーシー・ゲート、君の妹だ」
『ルーシー』の名前がここで出てくるなんて思ってもいなかった、まさか私の可愛い妹がこんな形で巻き込まれているなんて…。
感情が追いつかない。
妹の名を聞くまでは、魔力を提供した者にそのつもりがなかったと分かっていても、その相手に怒りまではいかなくても良い感情は持てなかった。
…なんでなの、その人さえいなかったら。
こんなことにはならなかったのに…。
勝手な八つ当たりだ、でもそう思わずにはいられなかった。
『ルーシー・ゲート、君の妹だ』
ルカ様の言葉が何度も頭の中で繰り返される。
私の大切な大切な妹。
まさかあの子も巻き込まれているなんて…。このことを知ったら、ルーシーはどう思うだろうか。
優しいあの子のことだから、自分に責任はないと分かってもきっと苦しむ。
幼い頃からよく泣く子だった。
『お姉さま…』と泣きながら私にぎゅっと抱きついて離れなかった。
私はその小さな背中をずっと撫でてあげた。
優しいけど気の弱いあの子に頼られるのが、守ってあげられるのが、姉として嬉しかった。
守るべき大切な妹。
ルカ様から真実を聞いたことで、私は強くなれた。
元に戻りたい気持ちは変わらない、でも大切な人達も守りたい。
どちらも譲れないことだった。
「ルカ様、真実を教えてくれて有り難うございます。ただ妹にこのことは知られたくありません、知る必要はないことですから。今回の調査に関わってくれた人達がこのことを口外することはないと思っていますが、重ねてお願いします。妹が巻き込まれたことは絶対に外に漏れないようにお願いします」
ルカ様が公にするとは思っていない。
でもお願いをせずにはいられなかった、あの子を守る為に。
勝手に魔力を使われた妹はただの被害者でしかない、魔術が解けたあと余計な苦しみを与えたくはない。
「ルーシー嬢のことは公にするつもりはないし、今回の魔術自体も秘密裏に処理するつもりだ」
彼の言葉に『ルカ様、有り難うございます!』と笑みを受かべてお礼を言う。
安堵していた、これで妹を苦しめずに全てが解決すると。
そんな私に彼は残酷なことを告げてきた。
「私は君に話しをする前に『術を解く為にしてもらわなければならないことがある。その為には知る必要がある』と言っただろう?
公にはしない、だがルーシー嬢だけには伝えなければならないんだ。魔術を解くためには絶対に…」
本当ならあり得ないんだ。
だが高い魔力の持ち主が君のことを心から心配していたからか、その魔力が君の周りに漂っていた。これが正しい表現かは分からないが、感覚としてはそういう状態だったと推察される。
乱雑な魔術ゆえにその魔力を糧にする形となって、最悪の奇跡が起こった。
そしてその魔力の持ち主はルーシー・ゲート、君の妹だ」
『ルーシー』の名前がここで出てくるなんて思ってもいなかった、まさか私の可愛い妹がこんな形で巻き込まれているなんて…。
感情が追いつかない。
妹の名を聞くまでは、魔力を提供した者にそのつもりがなかったと分かっていても、その相手に怒りまではいかなくても良い感情は持てなかった。
…なんでなの、その人さえいなかったら。
こんなことにはならなかったのに…。
勝手な八つ当たりだ、でもそう思わずにはいられなかった。
『ルーシー・ゲート、君の妹だ』
ルカ様の言葉が何度も頭の中で繰り返される。
私の大切な大切な妹。
まさかあの子も巻き込まれているなんて…。このことを知ったら、ルーシーはどう思うだろうか。
優しいあの子のことだから、自分に責任はないと分かってもきっと苦しむ。
幼い頃からよく泣く子だった。
『お姉さま…』と泣きながら私にぎゅっと抱きついて離れなかった。
私はその小さな背中をずっと撫でてあげた。
優しいけど気の弱いあの子に頼られるのが、守ってあげられるのが、姉として嬉しかった。
守るべき大切な妹。
ルカ様から真実を聞いたことで、私は強くなれた。
元に戻りたい気持ちは変わらない、でも大切な人達も守りたい。
どちらも譲れないことだった。
「ルカ様、真実を教えてくれて有り難うございます。ただ妹にこのことは知られたくありません、知る必要はないことですから。今回の調査に関わってくれた人達がこのことを口外することはないと思っていますが、重ねてお願いします。妹が巻き込まれたことは絶対に外に漏れないようにお願いします」
ルカ様が公にするとは思っていない。
でもお願いをせずにはいられなかった、あの子を守る為に。
勝手に魔力を使われた妹はただの被害者でしかない、魔術が解けたあと余計な苦しみを与えたくはない。
「ルーシー嬢のことは公にするつもりはないし、今回の魔術自体も秘密裏に処理するつもりだ」
彼の言葉に『ルカ様、有り難うございます!』と笑みを受かべてお礼を言う。
安堵していた、これで妹を苦しめずに全てが解決すると。
そんな私に彼は残酷なことを告げてきた。
「私は君に話しをする前に『術を解く為にしてもらわなければならないことがある。その為には知る必要がある』と言っただろう?
公にはしない、だがルーシー嬢だけには伝えなければならないんだ。魔術を解くためには絶対に…」
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