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23.婚姻の儀~竜王視点~②

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ですか…、同感ですな。あそこは竜王様が通っていない間に国中の腐敗と繋がるようになっているようですから。
今までは見逃していましたが、状況が変わりました。

ですから通ってもらわねばなりません。

番様が見つかったと後宮に報告をしたところ女狐達は神妙な顔で『番様の為に後宮の解体の先延ばしを』と言ったようです。
きっと分不相応な野心でも抱いたのでしょう。

このまま後宮を解体しては質の悪い女狐が番様を逆恨みし、繋がっているところを利用し害する可能性もあります。
どうか女狐狩りをお願い致します」

不正に加担している後宮の女達を処分するのは賛成だが、私があの女達に関わるつもりはない。
優秀な家臣達で十分だろう。

「ふんっ、そんな事はお前達でも出来るだろう」

「確かに出来るでしょう。
…ですが満身創痍の竜王様がやる方が良いかと。

女狐狩りと一緒にそれに繋がる腐敗の大元の駆除も行えばそれなりに時間も掛かるでしょう。そうなれば番様と会えない10年の歳月も少しは短く感じるかもしれません。

それに人間である番様はか弱い存在です。
少しでもこの機会に危険な目を摘んで、正式に妃となった時も狙われるのを少なくしたほうが安心でしょう。

そうしたら…番様と結ばれた後、心置きなく蜜月を楽しむことも出来ますよ、竜王様。

やって頂けますよね…」

臣下なのに有無を言わさぬ雰囲気を醸し出している。
そして歪になっている私の指と切り傷が絶えない身体を見つめる視線は臣下としてではなく、長い付き合いのある友人のそれだった。

 
 つまり自傷で気を紛らわすくらいなら激務で気を紛らわせろか…。
 こんなに心配させるなんて。
 王として情けないにもほどがあるな。
 私はまだまだ未熟だ…。


宰相のさり気ない優しさが有り難かった。

それに彼の言っていることは正論で国全体の腐敗の根絶にも繋がるなら一石二鳥といえる。

10年後に表舞台に立つ番の為にも今、安全な環境を整えておきたいとも考えていたところだ。



わたしは宰相の進言を採用することにした。気が向かない後宮通いも仕事だと思えば耐えられた。

後宮に巣くう質の悪い女狐を秘密裏に炙り出しそれに繋がる膿を次々と処分していく。この作戦は思っていた以上に効果があり10年掛けて国内は随分きれいになった。


愛おしい番を正式に妃として迎え入れる準備も環境もすべて整った。

そして今日、なんの憂いもなく婚姻の儀を迎えることが出来る。
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