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13.記憶の喪失④〜エドワード視点〜
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「ジョン、ジョン、大丈夫?これは夢よ、夢だから。もう大丈夫よ、私はここにいるわ」
叫びながら目覚めた俺のそばには誰かが…ではなく、優しく話し掛けるラミアがいた。そして俺の伸ばした手はいつものように空ではなく彼女の手をしっかりと掴んでいる。
自分とは違う柔らかい手。
温かいな…、なんだかホッとする…。
……離したくない。
ぼんやりしていた意識がはっきりしてくる。
どうして彼女がここにいるのだろう。
付きっきりの看病の必要がない俺は一人で部屋で寝ていたはずだった。
「どうしてここにいるんだい…?ラミア」
俺はそう問い掛けた。
「あなたが毎晩のようにうなされていることは廊下に声が漏れていたから知っていたの。
でも今晩はうなされながらジョンが私の名を呼んでいたのが聞こえてきた。
『ラミア』って叫んでいたわ。
だからあなたを助けたくてなかに入ったのよ。
ジョン、私はここにいるから。いつでもそばにいる、どこにもいかないわ」
彼女はそう言いながら俺に掴まれている手をギュッと握り返してくる。
『ラミア、ラミア…』と心のなかでその名を繰り返す。自分が呼んでいた名のような気がした。
「ラ・ミ・ア…と俺は呼んでいたのか…?そうか君だったのか…」
俺の呟きに、彼女は『ええ』と静かに言う。
暗闇を彷徨いながら自分がいつも呼んでいた名は彼女の名だったことを知った。
なぜ彼女の名を呼んでいたのかは分からない。
だが記憶を失っている俺にとってはそれは希望であり、前進にだった。
離してはいけない…のか。
離したらあの暗闇に戻る…?
またあそこへ…一人で……空っぽのまま。
これ以上は失えないと思った。
記憶がないのに、掴みかけた何かを手放すなどしたくない。
考える間もなく身体が動いた。
俺は掴んだままの彼女の手を引き寄せ、その身をきつく抱きしめ…いや、縋り付いた。
深い意味なんてなかった。
どうしてそんなことをしたのかさえ分かっていなかった。
伝わってくる温かさに心が落ち着いていく。
彼女は幼い子供をあやすように俺の背を何度も優しく撫でてくれる。
慈愛に満ちた彼女の動作になぜか無性に愛おしさと懐かしさのようなものを感じて、眠気が襲ってくる。
「ありがとう、ラミ…ア……」
「ジョン、眠って。ここで見ていてあげるからもう大丈夫よ」
そう優しく告げられると得体のしれない不安が和らいでいく気がした。
『俺が求めていたものはこれだった…のか…』と思いながら眠りに落ちていくのを止められなかった。
その晩は悪夢を見ることなく、久しぶりに穏やかな朝を迎えることが出来た。
叫びながら目覚めた俺のそばには誰かが…ではなく、優しく話し掛けるラミアがいた。そして俺の伸ばした手はいつものように空ではなく彼女の手をしっかりと掴んでいる。
自分とは違う柔らかい手。
温かいな…、なんだかホッとする…。
……離したくない。
ぼんやりしていた意識がはっきりしてくる。
どうして彼女がここにいるのだろう。
付きっきりの看病の必要がない俺は一人で部屋で寝ていたはずだった。
「どうしてここにいるんだい…?ラミア」
俺はそう問い掛けた。
「あなたが毎晩のようにうなされていることは廊下に声が漏れていたから知っていたの。
でも今晩はうなされながらジョンが私の名を呼んでいたのが聞こえてきた。
『ラミア』って叫んでいたわ。
だからあなたを助けたくてなかに入ったのよ。
ジョン、私はここにいるから。いつでもそばにいる、どこにもいかないわ」
彼女はそう言いながら俺に掴まれている手をギュッと握り返してくる。
『ラミア、ラミア…』と心のなかでその名を繰り返す。自分が呼んでいた名のような気がした。
「ラ・ミ・ア…と俺は呼んでいたのか…?そうか君だったのか…」
俺の呟きに、彼女は『ええ』と静かに言う。
暗闇を彷徨いながら自分がいつも呼んでいた名は彼女の名だったことを知った。
なぜ彼女の名を呼んでいたのかは分からない。
だが記憶を失っている俺にとってはそれは希望であり、前進にだった。
離してはいけない…のか。
離したらあの暗闇に戻る…?
またあそこへ…一人で……空っぽのまま。
これ以上は失えないと思った。
記憶がないのに、掴みかけた何かを手放すなどしたくない。
考える間もなく身体が動いた。
俺は掴んだままの彼女の手を引き寄せ、その身をきつく抱きしめ…いや、縋り付いた。
深い意味なんてなかった。
どうしてそんなことをしたのかさえ分かっていなかった。
伝わってくる温かさに心が落ち着いていく。
彼女は幼い子供をあやすように俺の背を何度も優しく撫でてくれる。
慈愛に満ちた彼女の動作になぜか無性に愛おしさと懐かしさのようなものを感じて、眠気が襲ってくる。
「ありがとう、ラミ…ア……」
「ジョン、眠って。ここで見ていてあげるからもう大丈夫よ」
そう優しく告げられると得体のしれない不安が和らいでいく気がした。
『俺が求めていたものはこれだった…のか…』と思いながら眠りに落ちていくのを止められなかった。
その晩は悪夢を見ることなく、久しぶりに穏やかな朝を迎えることが出来た。
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