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11.この手に
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まだ回復をしていないサラになにが起こったのか確認すると、突然知らない男たちが屋敷に侵入し薬を使って意識を奪ったらしい。サラは混乱していたが、子供と両親と使用人達の事を心配し訊ねてきた。
数少ない使用人達は無事でに助け出されていたので事実を伝え、両親の死も隠さずに伝えた。ただ子供については嘘を吐いた。火事から助け出し俺が保護しているとした。
サラは両親の死を聞き泣き崩れていたが、子供の無事が分かるとホッとして神に感謝をし、俺にも感謝してくれた。
サラに残された家族は子供と隣国に留学している弟だけになった。サラの両親は本当に良い人達だったので俺もその死を心から悔やんだ、痛ましい事だった。
しかし俺はこのチャンスを無駄にしない事を決めた。こんな結果は本意ではないが、起こった事は変えられないのだから、有効利用するだけだ。
俺は情けを捨て、失った幸せを取り戻すことだけを考え動き出した。
まずはサラが入院中に全ての問題を片づける事から始めた。子爵家を襲うために父が雇った者達は全員秘密裏に処分し、公爵夫妻は突然不幸な事故にあい二人揃って亡くなってもらった。そして子爵家放火の件は迷宮入りとなった。すべてを闇に葬り、俺が新しい公爵家当主となった。
サラを迎い入れる邪魔をする者はもういない。だがまだ足りない。サラが自分から俺の元に戻るように仕向けなくては。俺は隣国に留学しているサラの弟の存在に目を付けた。彼は優秀だが子爵家出身なので後ろ盾がない。子爵夫妻が亡くなり屋敷も失った状況では、留学費用も早々に底をついてしまうだろう。そうなればどんなに優秀でも留学を続けられない、サラは家族を大切にしているので弟の将来を潰すような道は絶対に選ばないはずだ。
『これがあればサラは俺の元に自ら戻ってきてくれる』
二週間後、まだ入院しているサラの見舞いに行った時、弟の話題をさり気なく振ってみた。
「彼はこのまま留学を続けられるのかい?それともこちらに戻り子爵家を継ぐのか?」
「私は留学を続けてもらいたいけど、難しい状況で…。きっと近いうちに子爵家を継ぐと思うわ」
サラが沈んだ様子で答えている、やはり弟の将来を心配しているのだろう。このまま好成績で留学を終えたら彼は隣国で高級官僚に登用が決まっているのだから。
「サラ、彼は優秀だと聞いている。このまま留学を続けた方が彼の将来は明るいだろう。俺が力になるから彼の留学を続けさせてあげよう」
「………続けさせてあげたいけど、無理なのよ」
「お金なら俺が援助をするから心配いらない。義弟を助けるのは当然な事だ。そうだろ、サラ」
「えっ……」
サラは驚いた表情で俺を見ている、聡い彼女なら俺の言いたいことなど分かっているのだろう。きっとサラは今なら落ちてくれるはずだ。
「サラ、俺と結婚しよう。預かっている子供も俺に懐いているし、あるべき姿に戻ろう。本物の家族になるんだ。それがみんなにとって最善な道だよ、サラなら分かるだろう」
俺はサラに選択肢を与えなかった。弟のためにサラが選ぶ道は決まっていたから。
『これでいい。とりあえずはサラと子供が手に入ればいい。心は後からでも構わない、俺の手の中に落ちてきてくれ。サラ、愛しているんだ』
数少ない使用人達は無事でに助け出されていたので事実を伝え、両親の死も隠さずに伝えた。ただ子供については嘘を吐いた。火事から助け出し俺が保護しているとした。
サラは両親の死を聞き泣き崩れていたが、子供の無事が分かるとホッとして神に感謝をし、俺にも感謝してくれた。
サラに残された家族は子供と隣国に留学している弟だけになった。サラの両親は本当に良い人達だったので俺もその死を心から悔やんだ、痛ましい事だった。
しかし俺はこのチャンスを無駄にしない事を決めた。こんな結果は本意ではないが、起こった事は変えられないのだから、有効利用するだけだ。
俺は情けを捨て、失った幸せを取り戻すことだけを考え動き出した。
まずはサラが入院中に全ての問題を片づける事から始めた。子爵家を襲うために父が雇った者達は全員秘密裏に処分し、公爵夫妻は突然不幸な事故にあい二人揃って亡くなってもらった。そして子爵家放火の件は迷宮入りとなった。すべてを闇に葬り、俺が新しい公爵家当主となった。
サラを迎い入れる邪魔をする者はもういない。だがまだ足りない。サラが自分から俺の元に戻るように仕向けなくては。俺は隣国に留学しているサラの弟の存在に目を付けた。彼は優秀だが子爵家出身なので後ろ盾がない。子爵夫妻が亡くなり屋敷も失った状況では、留学費用も早々に底をついてしまうだろう。そうなればどんなに優秀でも留学を続けられない、サラは家族を大切にしているので弟の将来を潰すような道は絶対に選ばないはずだ。
『これがあればサラは俺の元に自ら戻ってきてくれる』
二週間後、まだ入院しているサラの見舞いに行った時、弟の話題をさり気なく振ってみた。
「彼はこのまま留学を続けられるのかい?それともこちらに戻り子爵家を継ぐのか?」
「私は留学を続けてもらいたいけど、難しい状況で…。きっと近いうちに子爵家を継ぐと思うわ」
サラが沈んだ様子で答えている、やはり弟の将来を心配しているのだろう。このまま好成績で留学を終えたら彼は隣国で高級官僚に登用が決まっているのだから。
「サラ、彼は優秀だと聞いている。このまま留学を続けた方が彼の将来は明るいだろう。俺が力になるから彼の留学を続けさせてあげよう」
「………続けさせてあげたいけど、無理なのよ」
「お金なら俺が援助をするから心配いらない。義弟を助けるのは当然な事だ。そうだろ、サラ」
「えっ……」
サラは驚いた表情で俺を見ている、聡い彼女なら俺の言いたいことなど分かっているのだろう。きっとサラは今なら落ちてくれるはずだ。
「サラ、俺と結婚しよう。預かっている子供も俺に懐いているし、あるべき姿に戻ろう。本物の家族になるんだ。それがみんなにとって最善な道だよ、サラなら分かるだろう」
俺はサラに選択肢を与えなかった。弟のためにサラが選ぶ道は決まっていたから。
『これでいい。とりあえずはサラと子供が手に入ればいい。心は後からでも構わない、俺の手の中に落ちてきてくれ。サラ、愛しているんだ』
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