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「ライのばかー!この女ったらしの口悪男っー!ライなんて、ライなんて…もう知らない。絶対に口を聞いてあげないんだからねーーー」
自分の部屋に籠もって、お気に入りの枕相手に自分の気持ちを思いっ切りぶつける。
でも気持ちは全然スッキリしない。
それどころか着飾った令嬢達に囲まれてにやけていたライアンの顔が頭から離れず、イライラは募っていく。
ライアンは幼馴染なのに本当に酷いと思う。
まだ婚約者も恋人もいない私を助けるふりをして、まさか自分が更にチヤホヤされようと企んでいたなんて、思いもしなかった。
むうぅ…、許すまじライアン・グレシャム。
もし私が魔女とかそんな類いだったら、確実にライアンの息の根は止まっているだろう。
だが残念なことに私は侍女だから、どんなに憎くいと思ってもライアンは元気いっぱい生きているはずだ。
うー、悔しいわ。
こんなに腹立たしいのに…。
憎んでいるのに……。
うん??に・く・ん・で・い・る…のかな?
ちょっと待って、私は彼に対して本気で怒っている。
それは間違いない。
でも憎んでいるのかと問われれば、それはなんか違う気がするのだ。
あんなに酷い扱いをされたのだから、憎んでもおかしいことはない。むしろ憎んで当然だと思う。
でも彼のことを憎めないでいる自分に気づく。
私って…どうかしている。
幼馴染の情というやつだろうか。
幼い頃からいつも隣には彼がいるのが当然だった。
そんな当たり前を私は疑問に思うこともなく、受け入れていた。
そう、嫌じゃなかった。
全然嫌じゃなかった、むしろ彼の隣は心地よかった。
うん…?ううん…??
これって、もししや私はライが好きなの??
首を傾げて持っている枕に尋ねてみるが、当然無言を貫いている。
「ねえ、なにか言ってよー」
枕を両手で持ってガクガク揺らしてみるが、結果は同じだった。
『枕は話しませーん』と自分でツッコミを入れたあと、ひとり沈黙が続く。
…………。
私はかなり焦っていた。
自分の気持ちに初めて気づいたからだ。
どうしよう、私ってライのことが好きだったんだ!?
よくよく思い返せば、いつだって私はライアンのことを目で追っていた。
それに私の話には、彼のことが出てくることが昔から多かった気がする。
『ケイレブ、聞いて。今日はライがね、木から落っこちたのよ』
『それは大変でしたね。
ライアンは大丈夫でしたか、姉上』
『大丈夫だったわ。すぐに起き上がって、全然泣かなかったのよ、凄いでしょう!
焦ったから目から汗が出てるけど平気だからなって、ライを心配して泣いている私を慰めてくれたのよ』
『…へぇ、目から汗ですか…。それはある意味すごいですね』
『そうよ、ライは最高にかっこいいのよ!ケイレブもライみたいになれるといいわね』
『…なれる気がしません』
『ふふ、確かにライは特別だからね♪』
毎日のように弟のケイレブにライの勇姿を話して聞かせていた。
今考えると恥ずかしくなる。
だけど私の気持ちには、私だけでなく周りも全然気づいていなかった。
それだけが救いだ。
両親や弟が鈍くて本当に良かったと安堵する。
とにかく気持ちを落ち着かせて、これからの対応を考えていこう。
息を深く吸い込み、心を落ち着かせてから、気持ちと事実を整理してみる。
私はライアンのことが好き。
でも彼は私のことは好きではない。
……はい、終了。
ものの数秒で整理出来てしまった。
つまりは私は詰んでいるということだ。
打つ手なしとはまさにこの事だろう…。
気づけば涙が頬を濡らしていた。
いつもなら私が泣いているとライアンが『ハンカチ持ってないから、これで我慢しろよっ』って自分の袖で拭いてくれていた。
衛生的にはかなり問題があるのは分かっている。結膜炎に何度も罹っているから。
でも今は、それでも彼に拭いてもらいたいと願ってしまう。
きっともう二度とそんな機会はないだろうと思うと『うっうぅ……、ライ…』と声を上げて泣いていた。
ガッゴン!!
物凄い音とともに扉が見事に破壊された。
「ケティ、どうしたー!!」
叫びながらライアンが私の部屋に飛び込んできた。
「扉が壊れた…」
思わずそう言ってしまった。
誰だって自分の部屋の扉がバキバキに壊れたら、言わずにはいられないだろう。だから私は…悪くない。
「…すまん。とりあえず今は一旦扉のことは忘れろ。ケティ、どうしたんだ?誰に泣かされたっ?」
ライアンはまずは小さな声で謝り、また大きな声で聞いてきた。
自分の部屋に籠もって、お気に入りの枕相手に自分の気持ちを思いっ切りぶつける。
でも気持ちは全然スッキリしない。
それどころか着飾った令嬢達に囲まれてにやけていたライアンの顔が頭から離れず、イライラは募っていく。
ライアンは幼馴染なのに本当に酷いと思う。
まだ婚約者も恋人もいない私を助けるふりをして、まさか自分が更にチヤホヤされようと企んでいたなんて、思いもしなかった。
むうぅ…、許すまじライアン・グレシャム。
もし私が魔女とかそんな類いだったら、確実にライアンの息の根は止まっているだろう。
だが残念なことに私は侍女だから、どんなに憎くいと思ってもライアンは元気いっぱい生きているはずだ。
うー、悔しいわ。
こんなに腹立たしいのに…。
憎んでいるのに……。
うん??に・く・ん・で・い・る…のかな?
ちょっと待って、私は彼に対して本気で怒っている。
それは間違いない。
でも憎んでいるのかと問われれば、それはなんか違う気がするのだ。
あんなに酷い扱いをされたのだから、憎んでもおかしいことはない。むしろ憎んで当然だと思う。
でも彼のことを憎めないでいる自分に気づく。
私って…どうかしている。
幼馴染の情というやつだろうか。
幼い頃からいつも隣には彼がいるのが当然だった。
そんな当たり前を私は疑問に思うこともなく、受け入れていた。
そう、嫌じゃなかった。
全然嫌じゃなかった、むしろ彼の隣は心地よかった。
うん…?ううん…??
これって、もししや私はライが好きなの??
首を傾げて持っている枕に尋ねてみるが、当然無言を貫いている。
「ねえ、なにか言ってよー」
枕を両手で持ってガクガク揺らしてみるが、結果は同じだった。
『枕は話しませーん』と自分でツッコミを入れたあと、ひとり沈黙が続く。
…………。
私はかなり焦っていた。
自分の気持ちに初めて気づいたからだ。
どうしよう、私ってライのことが好きだったんだ!?
よくよく思い返せば、いつだって私はライアンのことを目で追っていた。
それに私の話には、彼のことが出てくることが昔から多かった気がする。
『ケイレブ、聞いて。今日はライがね、木から落っこちたのよ』
『それは大変でしたね。
ライアンは大丈夫でしたか、姉上』
『大丈夫だったわ。すぐに起き上がって、全然泣かなかったのよ、凄いでしょう!
焦ったから目から汗が出てるけど平気だからなって、ライを心配して泣いている私を慰めてくれたのよ』
『…へぇ、目から汗ですか…。それはある意味すごいですね』
『そうよ、ライは最高にかっこいいのよ!ケイレブもライみたいになれるといいわね』
『…なれる気がしません』
『ふふ、確かにライは特別だからね♪』
毎日のように弟のケイレブにライの勇姿を話して聞かせていた。
今考えると恥ずかしくなる。
だけど私の気持ちには、私だけでなく周りも全然気づいていなかった。
それだけが救いだ。
両親や弟が鈍くて本当に良かったと安堵する。
とにかく気持ちを落ち着かせて、これからの対応を考えていこう。
息を深く吸い込み、心を落ち着かせてから、気持ちと事実を整理してみる。
私はライアンのことが好き。
でも彼は私のことは好きではない。
……はい、終了。
ものの数秒で整理出来てしまった。
つまりは私は詰んでいるということだ。
打つ手なしとはまさにこの事だろう…。
気づけば涙が頬を濡らしていた。
いつもなら私が泣いているとライアンが『ハンカチ持ってないから、これで我慢しろよっ』って自分の袖で拭いてくれていた。
衛生的にはかなり問題があるのは分かっている。結膜炎に何度も罹っているから。
でも今は、それでも彼に拭いてもらいたいと願ってしまう。
きっともう二度とそんな機会はないだろうと思うと『うっうぅ……、ライ…』と声を上げて泣いていた。
ガッゴン!!
物凄い音とともに扉が見事に破壊された。
「ケティ、どうしたー!!」
叫びながらライアンが私の部屋に飛び込んできた。
「扉が壊れた…」
思わずそう言ってしまった。
誰だって自分の部屋の扉がバキバキに壊れたら、言わずにはいられないだろう。だから私は…悪くない。
「…すまん。とりあえず今は一旦扉のことは忘れろ。ケティ、どうしたんだ?誰に泣かされたっ?」
ライアンはまずは小さな声で謝り、また大きな声で聞いてきた。
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