政略結婚の相手に見向きもされません

矢野りと

文字の大きさ
8 / 44

7.魅惑の当番表

あの謁見からわずか3日しか経っていないのに、ギルアの机の上にはあの当番表が置いてある。
厚さ1cmにもなる立派なもので、タイトルは『魅惑の当番表』となっている。
宰相やギルアの側近から事前に一か月間の予定を入手し、側妃達からは排卵日や好きなシチュエーションや必要な夜の道具まで聞き取り調査を行っていたようだ…。

「勝手に国王の予定を漏らすなど、どういうことだ」
ギルアは額に青筋を立てて宰相と側近を怒鳴りつけた。
「謁見時にシルビア様が言っていたことに協力しただけです。あの場にギルア様もいましたが特に反対されてなかったので、了承していると判断しました」
宰相はケロッとした物言いで反論した。 
確かにギルアは側妃達の勢いに負けて何も言えなかった…、でもそこは察して動くのが臣下のあるべき姿だろと言いたいが言えない。 
なぜなら後宮問題は自分で解決しろと宰相からきつく言われていたから。

「兎に角、中身を確認してみましょう。せっかくシルビア様が作ってくれたのですからね」
宰相の一言にしぶしぶギルアも了承し、三人で『魅惑の当番表』なるものを確認し始めた。

シルビアの調査の集大成として作成された当番表はであった。
まずギルアの休みはない、鬼スケジュールである。そして当番の側妃とどのようなプレイする日か詳細に説明されている、それもイラスト付きで。
(((おいおい!このイラストはいらないだろ!)))と顔を赤くする三人。いい歳して経験値は低めのようだ。
必要な道具は各側妃に渡し済みなので手ぶらで良いとある。まさに至れり尽くせりである。
そして備考欄には、道具を追加注文する際に必要な商会の名前・製品番号まで丁寧に明記してある…。
最後のページには作成者『シルビア・オーサン』とサインまで入っている。
……三人は無言で本を閉じた。


「本当に素晴らしい出来ですね。この短期間でこれほどのものを制作するとは驚きです。
是非ともその才能を活かし、オーサン国の文官を指導してもらいたいです」
宰相が大真面目な顔でシルビアを絶賛する、本の内容を丸っと無視しするつもりだ。
「どこがだ!この当番表通りにしたら俺は死ぬぞ いいのか?」
「イヤイヤ大丈夫でしょう。ギルア様の体力・精力なら乗り越えられます」
「そうじゃない!心が死んでしまうんだ!」
「アハハ!骨は拾ってあげます」
宰相は楽し気に告げてくる。

側近ガロンは言い争いをしている二人の横で『魅惑の当番表』を見直し、自分の単純なプレイを猛反省中である。そしてこっそり製品番号もメモしている。(ガロンよ、今やることではない…)

「まさかだが…、この当番表は側妃達には渡していないだろうな!」
「もうすでに配布済みです。後宮の専属侍女にも用意などの関係上配布しているようです」
「馬鹿な…。こんな恥ずかしい内容を侍女達も読んでいるのか」
ギルアは膝から崩れ落ちた。

「ギルア様、事前に侍女達も内容を把握してくれて良かったですよ。
この5ページの『無理矢理はイヤイヤ、大きいの』プレイにはとあるじゃないですか、事前に把握してなっかたらみんなが夜伽の最中に乱入してしまいますよ。ワッハッハー」
空気を読まない側近ガロンがとどめを刺す。

(こんな側近は嫌だ‥)とギルアはガロンの降格を真剣に検討することを誓った。


その頃後宮では、側妃達は夜の道具を片手に『魅惑の当番表』にあるプレイの練習を開始していた。
当番表のスタートは明日からなので、みんな気合が入っている。



あなたにおすすめの小説

愛人を連れて帰ってきた翌朝、名前すら呼ばれなかった私のもとに王太子殿下が迎えに来ました 〜三年間冷遇された妻、今は毎日名前を呼ばれています〜

まさき
恋愛
侯爵家に嫁いで三年。 夫に名前を呼ばれたことは、一度もなかった。 社交の場ではただ隣に立つだけ。 屋敷では「妻」としてすら扱われない。 それでも、いつかは振り向いてもらえると信じていた。 ――けれど、その期待はあっさりと壊れる。 夫が愛人を伴って帰宅した、その翌朝。 私は離縁状を残し、静かに屋敷を出た。 引き止める者は、誰もいない。 これで、すべて終わったはずだった―― けれどその日、私のもとに現れたのは王太子殿下。 「やっと手放してくれたか。三年も待たされました」 幼い頃から、ただ一人。 私の名前を呼び続けてくれた人。 「――アリシア」 その一言で、凍りついていた心がほどけていく。 一方、私を軽んじ続けた元夫は、 “失ってはいけないもの”を手放したことに、まだ気づいていない。 これは、三年間名前を呼ばれなかった私――アリシアが、 本当の居場所と愛を取り戻す物語。

白い結婚のまま、旦那様は薔薇のような美人に夢中になりました

柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢リディアは、美貌で有名な侯爵レオンハルトに嫁いだ。 けれど結婚して二年、夫婦は一度も結ばれないまま――白い結婚だった。 それでも旦那様は優しかった。 冷たいわけではない。気づかいの言葉も、穏やかな笑顔もくれる。 だからリディアは、愛されてはいなくても、いつか少しは夫婦になれるのではないかと信じていた。 そんなある日、彼女は知ってしまう。 旦那様が薔薇の君と呼ばれる絶世の美女に心を奪われていることを。 彼が触れなかったのは私にだけだったのだと。 都合のいい奥方として、役に立っていたと悟る 静かに離縁を決意したリディアは、実家へ戻ったあと、女子学院で働き始める。 すると侯爵夫人時代には当たり前だった実務のすべてが、外では驚くほど必要とされていた。 感謝され、認められ、自分の足で立ち始めた彼女は、少しずつ見違えるほど美しくなっていく

【優秀賞受賞】賭けから始まった偽りの結婚~愛する旦那様を解放したのになぜか辺境まで押しかけて来て愛息子ごと溺愛されてます~【完結】

Tubling
恋愛
無事完結しました^^ 読んでくださった皆様に感謝です! この度、こちらの作品がアルファポリス第19回恋愛小説大賞にて「優秀賞」を受賞いたしました! ありがとうございます!!<(_ _)> ルシェンテ王国の末の王女カタリナは、姉たちから凄惨な嫌がらせをされる日々に王女とは名ばかりの惨めな生活を送っていた。 両親は自分に無関心、兄にも煙たがられ、いっそ透明人間になれたらと思う日々。 そんな中、隣国ジグマリン王国の建国祭に国賓として訪れた際、「鬼神」と恐れられている騎士公爵レブランドと出会う。 しかし鬼とは程遠い公爵の素顔に触れたカタリナは、彼に惹かれていく。 やがて想い人から縁談の話が舞い込み、夢見心地で嫁いでいったカタリナを待っていたのは悲しい現実で…? 旦那様の為に邸を去ったけれど、お腹には天使が―――― 息子の為に生きよう。 そう決意して生活する私と息子のもとへ、あの人がやってくるなんて。 再会した彼には絶対に帰らないと伝えたはずなのに、2人とも連れて帰ると言ってきかないんですけど? 私が邪魔者だったはずなのに、なんだか彼の態度がおかしくて… 愛された事のない王女がただ一つの宝物(息子)を授かり、愛し愛される喜びを知るロマンスファンタジーです。 ●近世ヨーロッパ風ですが空想のお話です。史実ではありませんので近世ヨーロッパはこうだというこだわりがある方はブラウザバックをお願いします。 ●本編は10万字ほどで完結予定。 ●最初こそシリアスですが、だんだんとほのぼのになっていきます^^ ●最後はハッピーエンドです。

旦那様は離縁をお望みでしょうか

村上かおり
恋愛
 ルーベンス子爵家の三女、バーバラはアルトワイス伯爵家の次男であるリカルドと22歳の時に結婚した。  けれど最初の顔合わせの時から、リカルドは不機嫌丸出しで、王都に来てもバーバラを家に一人残して帰ってくる事もなかった。  バーバラは行き遅れと言われていた自分との政略結婚が気に入らないだろうと思いつつも、いずれはリカルドともいい関係を築けるのではないかと待ち続けていたが。

「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚

きぬがやあきら
恋愛
「私に愛まで望むな。褒賞に王子を求めておいて、強欲が過ぎると言っている」 新婚初夜に訪れた寝室で、レオノールはクラウディオ王子に白い結婚を宣言される。 それもそのはず。 2人の間に愛はないーーどころか、この結婚はレオノールが魔王討伐の褒美にと国王に要求したものだった。 でも、王子を望んだレオノールにもそれなりの理由がある。 美しく気高いクラウディオ王子を欲しいと願った気持ちは本物だ。 だからいくら冷遇されようが、嫌がらせを受けようが心は揺るがない。 どこまでも逞しく、軽薄そうでいて賢い。どこか憎めない魅力を持ったレオノールに、やがてクラウディオの心は……。 すれ違い、拗れる2人に愛は生まれるのか?  焦ったい恋と陰謀+バトルのラブファンタジー。

【完結】あなたの隣に私は必要ですか?

らんか
恋愛
政略結婚にて、3年前より婚約し、学園卒業と共に嫁ぐ予定であったアリーシア。 しかし、諸事情により結婚式は延期され、次の結婚式の日取りさえなかなか決められない状況であった。 そんなアリーシアの婚約者ルートヴィッヒは、護衛対象である第三王女ミーアの傍を片時も離れようとしない。 月1回の婚約者同士のお茶会もすぐに切り上げてしまい、夜会へのエスコートすらしてもらった事がない。 そんな状況で、アリーシアは思う。 私はあなたの隣に必要でしょうか? あなたが求めているのは別の人ではないのでしょうかと。 * 短編です。 ご感想欄は都合により、閉じさせて頂きます。

結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください

シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。 国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。 溺愛する女性がいるとの噂も! それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。 それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから! そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー 最後まで書きあがっていますので、随時更新します。 表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。

侯爵令嬢ソフィアの結婚

今野綾
恋愛
ソフィアは希少なグリーンアイを持つヴィンセントと結婚した。これは金が欲しい父の思惑と、高い爵位が欲しいヴィンセントの思惑が一致したからに過ぎない。 そもそもヴィンセントには恋人がいて、その恋人は身分に大きな差があるために結婚することは叶わないのだ。 結婚して早々、ソフィアは実家から連れてきた侍女夫婦とあばら屋に住むように言われて…… 表紙はかなさんのファンアートです✨ ありがとうございます😊 2024.07.05