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25.恋する乙女の実力行使
---謁見終了後、ギルア魂戻る---
「はぁー」
パトア妃との離縁が決まったのに、ギルアのため息が途切れることがない。国王の威厳など一ミリもない、駄目狼が一匹転がっているだけである。
「ギルア様、もっと喜んでください。念願の円満離縁です」
「宰相そう言うなって!シルビア様に『夜の調教を受けていた男』認定されて落ち込んでいるんだ。流石に俺でも立ち直れないぞ、ワッハッハ」
「うるさい!俺は調教とは無縁だ、誤解だ!」
「【魅惑の当番表】通りに公務を行っていた人はどんな認定を受けても耐えるしかありません」
宰相もガロンも慰めるどころか、更にこれでもかと傷口に塩を塗ってくる。ピクニックが途中で中止になった事を根に持っているのだ。
ギルアは今度シルビアと会う時、どんな顔で会えばいいのか分からず、ウジウジしている。
「ギルア様、今更ですよ。三人の側妃と結婚し、夜を共にしていた事実はシルビア様も百も承知です。現に『魅惑の当番表』はシルビア様作です。公務に真摯に取り組む方ですから、その結果もちゃんと把握していたはず。悩んでも意味なしです。それより、これからを大切にするべきです」
「これからか、そうだな…間に合うか…」
「ワッハッハー。今更悩んでも遅いぞ、間に合わなかったら、…ウー」
ボス!ギルアの拳が腹に入りガロンは悶絶しているかと思えば、ニカッと笑い洋服の下から割れた板を二枚取り出して、板を両手で高々と掲げ勝利のポーズをとっている。ガロン28歳、まだまだ成長出来るお年頃のようだ。
そんな時、執務室の扉がトントンとノックされ、シルビアがそっと入室してくる。
「ギルア様。今、お時間大丈夫ですか?」
シルビアはギルアに声を掛けているが、決して目を合わせず様子がいつもと違う。なんか思い詰めた表情をしていて、両手はギュッと握りしめている。
「もちろん、大丈夫だ、問題はない。ここでお茶でも飲みながら話を聞こう」
(なんだ!シルビアが目を合わせてくれない!やっぱり調教が響いているの…)
「あの、話というわけではないのです。人払いをお願い出来ますか?」
シルビアの言葉を受け執務室からみな退室し、ギルアとシルビアの二人だけとなった。なんとも気まずい空気が流れ始めている。
侍女も退出させたので、シルビア自ら手際よくお茶を入れテーブルの上に用意する。さあどうぞと言われたので、ギルアは椅子に座り、対面に座っているシルビアをじっと見つめる。
(どうすればいい?まず調教の誤解を解くのが先か?それともこのワードに触れないのが正解か?)
悶々と一人心の中で問答をするが、ギルアは答えが分からない…。何も言えずにいると、シルビアが少し声を震わせながら話し始める。
「今日は覚悟を決めてきました。ギルア様、目を閉じてくださいますか?そして絶対に動かないでください!」
(やるのよシルビア!当たって砕けろよ)
「あ、あ、分かった。絶対に動かん」
(覚悟ってなんだ!目を閉じて反省すればいいのか?そうすれば調教ワードは水に流されるのか!)
ゴトンと椅子が動く音がして、シルビアが立ち上がったのが気配で分かる、ギルアの方にゆっくりと近づいてくる。
(もしや一発殴って調教ワードを水に流してくれるつもりか?それで消えるなら安いもんだ!)
まだかまだかと本気でシルビアの拳を待っているギルアは、目を閉じながらすぐ近くにいるシルビアの匂いを楽しんでいた。
ギルアの肩にそっと手が置かれる感触がしたら、『チュッ♪』という音がしてギルアの口に柔らかく暖かいものが触れた、驚いて目を開けるとシルビアの顔が間近にある。その目はウルウルとし今にも涙が溢れそうだ。ギルアがこの至福の瞬間に惚けて微動だにせずにいると、
「やっぱり、私では駄目ですね。分かっていましたが、どうしても試してみたかったんです。これですっぱりと諦めがついて前に進めます!」
エヘヘと泣きながら笑っているシルビアが側から離れて行こうとする。
咄嗟に手を伸ばし両手で華奢な身体を優しく抱きしめ、今度はギルアからそっと口づけをする。シルビアが抵抗しないと、角度を変えながら唇を啄むような口づけを始める。長い口づけに苦しくなったシルビアがギルアの肩を叩き、やっとギルアは口を離してくれたが、膝の上に乗せたまま抱き締めるのは止めてくれない。
「これは夢か!シルビアからキスをしてくれるなんて、幸せすぎるぞ」
シルビアを膝に乗せ優しく抱き締めながら、顔に頬擦りをしているその顔は国王の顔ではない、恋する男の顔だ。
シルビアはギルアが口づけを返してくれた事実が嬉しくて堪らない、それが自分の気迫に押されたからかもしれないが…。今が、自分から言うべき時だと思った。
「私、いつの間にかギルア様に恋をしてました。好きです、円満仮面夫婦ですが、恋人に昇格出来ますか?」
勇気を持って人生初の愛の告白をしている。フワフワして、自分がちゃんと言えてるのかも定かではない。ただ真っ直ぐにギルアの漆黒の瞳を見つめている。
ギルアはシルビアからの告白に嬉しさが隠せず尻尾が千切れそうになっている。自分と同じ気持ちでいるとは思ってもみなかったのだ。先程まで悩んでいたが、すべて飛んで行った!
「俺の方が先にシルビアを好きになっていた。スタートがあんな形で、それに後宮がまだある状態だから、しっかり解決してから言おうと思っていたんだ。でも今言わせてくれ!
シルビア、君だけを愛している。アルビー石を身に着けて愛を誓うので一緒に生きて欲しい」
ギルアからの愛の告白に、ただただ頷くシルビアの目からは涙が止まらない。その涙を愛おしそうに拭いまた口づけを始めるギルア、もうシルビアを離せそうにないとぎゅっと抱き締め続けた。
******************************
---執務室前廊下---
今国王執務室前の廊下は厳戒態勢が敷かれ、扉の前には選ばれた猛者達が張り付いている。
ある者は自慢の長い耳を武器に、またある者はコップを手に、それぞれ工夫を凝らし、中の音を聞いている。
「流石は恋する乙女じゃ~。やるの~」
「あのヘタレギルア様もビシッと決めてますね。見直しました」
「いいなー。俺も恋人が欲しいなーワッハッハ」
「ノマエ婆様の恋愛相談はやはり最強ですわ、送り出して正解でした!」
勝手なことを言いいながら楽しく盗み聞きしている猛者達。
…30分経過しても扉は開かない…
焦って常識人侍女サーサが扉をドンドンと叩くことになった。
今日の教訓『飢えた狼には監視が必要です』
「はぁー」
パトア妃との離縁が決まったのに、ギルアのため息が途切れることがない。国王の威厳など一ミリもない、駄目狼が一匹転がっているだけである。
「ギルア様、もっと喜んでください。念願の円満離縁です」
「宰相そう言うなって!シルビア様に『夜の調教を受けていた男』認定されて落ち込んでいるんだ。流石に俺でも立ち直れないぞ、ワッハッハ」
「うるさい!俺は調教とは無縁だ、誤解だ!」
「【魅惑の当番表】通りに公務を行っていた人はどんな認定を受けても耐えるしかありません」
宰相もガロンも慰めるどころか、更にこれでもかと傷口に塩を塗ってくる。ピクニックが途中で中止になった事を根に持っているのだ。
ギルアは今度シルビアと会う時、どんな顔で会えばいいのか分からず、ウジウジしている。
「ギルア様、今更ですよ。三人の側妃と結婚し、夜を共にしていた事実はシルビア様も百も承知です。現に『魅惑の当番表』はシルビア様作です。公務に真摯に取り組む方ですから、その結果もちゃんと把握していたはず。悩んでも意味なしです。それより、これからを大切にするべきです」
「これからか、そうだな…間に合うか…」
「ワッハッハー。今更悩んでも遅いぞ、間に合わなかったら、…ウー」
ボス!ギルアの拳が腹に入りガロンは悶絶しているかと思えば、ニカッと笑い洋服の下から割れた板を二枚取り出して、板を両手で高々と掲げ勝利のポーズをとっている。ガロン28歳、まだまだ成長出来るお年頃のようだ。
そんな時、執務室の扉がトントンとノックされ、シルビアがそっと入室してくる。
「ギルア様。今、お時間大丈夫ですか?」
シルビアはギルアに声を掛けているが、決して目を合わせず様子がいつもと違う。なんか思い詰めた表情をしていて、両手はギュッと握りしめている。
「もちろん、大丈夫だ、問題はない。ここでお茶でも飲みながら話を聞こう」
(なんだ!シルビアが目を合わせてくれない!やっぱり調教が響いているの…)
「あの、話というわけではないのです。人払いをお願い出来ますか?」
シルビアの言葉を受け執務室からみな退室し、ギルアとシルビアの二人だけとなった。なんとも気まずい空気が流れ始めている。
侍女も退出させたので、シルビア自ら手際よくお茶を入れテーブルの上に用意する。さあどうぞと言われたので、ギルアは椅子に座り、対面に座っているシルビアをじっと見つめる。
(どうすればいい?まず調教の誤解を解くのが先か?それともこのワードに触れないのが正解か?)
悶々と一人心の中で問答をするが、ギルアは答えが分からない…。何も言えずにいると、シルビアが少し声を震わせながら話し始める。
「今日は覚悟を決めてきました。ギルア様、目を閉じてくださいますか?そして絶対に動かないでください!」
(やるのよシルビア!当たって砕けろよ)
「あ、あ、分かった。絶対に動かん」
(覚悟ってなんだ!目を閉じて反省すればいいのか?そうすれば調教ワードは水に流されるのか!)
ゴトンと椅子が動く音がして、シルビアが立ち上がったのが気配で分かる、ギルアの方にゆっくりと近づいてくる。
(もしや一発殴って調教ワードを水に流してくれるつもりか?それで消えるなら安いもんだ!)
まだかまだかと本気でシルビアの拳を待っているギルアは、目を閉じながらすぐ近くにいるシルビアの匂いを楽しんでいた。
ギルアの肩にそっと手が置かれる感触がしたら、『チュッ♪』という音がしてギルアの口に柔らかく暖かいものが触れた、驚いて目を開けるとシルビアの顔が間近にある。その目はウルウルとし今にも涙が溢れそうだ。ギルアがこの至福の瞬間に惚けて微動だにせずにいると、
「やっぱり、私では駄目ですね。分かっていましたが、どうしても試してみたかったんです。これですっぱりと諦めがついて前に進めます!」
エヘヘと泣きながら笑っているシルビアが側から離れて行こうとする。
咄嗟に手を伸ばし両手で華奢な身体を優しく抱きしめ、今度はギルアからそっと口づけをする。シルビアが抵抗しないと、角度を変えながら唇を啄むような口づけを始める。長い口づけに苦しくなったシルビアがギルアの肩を叩き、やっとギルアは口を離してくれたが、膝の上に乗せたまま抱き締めるのは止めてくれない。
「これは夢か!シルビアからキスをしてくれるなんて、幸せすぎるぞ」
シルビアを膝に乗せ優しく抱き締めながら、顔に頬擦りをしているその顔は国王の顔ではない、恋する男の顔だ。
シルビアはギルアが口づけを返してくれた事実が嬉しくて堪らない、それが自分の気迫に押されたからかもしれないが…。今が、自分から言うべき時だと思った。
「私、いつの間にかギルア様に恋をしてました。好きです、円満仮面夫婦ですが、恋人に昇格出来ますか?」
勇気を持って人生初の愛の告白をしている。フワフワして、自分がちゃんと言えてるのかも定かではない。ただ真っ直ぐにギルアの漆黒の瞳を見つめている。
ギルアはシルビアからの告白に嬉しさが隠せず尻尾が千切れそうになっている。自分と同じ気持ちでいるとは思ってもみなかったのだ。先程まで悩んでいたが、すべて飛んで行った!
「俺の方が先にシルビアを好きになっていた。スタートがあんな形で、それに後宮がまだある状態だから、しっかり解決してから言おうと思っていたんだ。でも今言わせてくれ!
シルビア、君だけを愛している。アルビー石を身に着けて愛を誓うので一緒に生きて欲しい」
ギルアからの愛の告白に、ただただ頷くシルビアの目からは涙が止まらない。その涙を愛おしそうに拭いまた口づけを始めるギルア、もうシルビアを離せそうにないとぎゅっと抱き締め続けた。
******************************
---執務室前廊下---
今国王執務室前の廊下は厳戒態勢が敷かれ、扉の前には選ばれた猛者達が張り付いている。
ある者は自慢の長い耳を武器に、またある者はコップを手に、それぞれ工夫を凝らし、中の音を聞いている。
「流石は恋する乙女じゃ~。やるの~」
「あのヘタレギルア様もビシッと決めてますね。見直しました」
「いいなー。俺も恋人が欲しいなーワッハッハ」
「ノマエ婆様の恋愛相談はやはり最強ですわ、送り出して正解でした!」
勝手なことを言いいながら楽しく盗み聞きしている猛者達。
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