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第5章 10 向かった先は
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「スカーレット、カール。悪いが先に2人だけでホテルに帰っていてくれないか?俺はもう少し彼と話がしたいんだ」
「え?アリオス様?」
「アリオス兄様。どうかしたんですか?」
「ああ、ちょっとな」
アリオスの態度に、スカーレットはあまり深く追求しない方が良いと瞬時に悟り、返事をした。
「分りました、アリオス様。カール様と先にホテルへ戻っております」
「ああ。頼む」
「はい。では参りましょう、カール様」
「は、はい」
スカーレットはカールの手を取った。
「それでは失礼致します」
頭を下げると、カールを連れてスカーレットは歩き始めた。
「…」
アリオスはその後ろ姿を少しの間、見届けると係員の男に向き直った。
「聞きたい事があるのだが…」
「は、はい!何でしょうか?」
「シュバルツ家に入り込んだと言うスカーレットの義母と義妹の事についてだが…」
アリオスの眼光が鋭くなった―。
****
「ただいま、ブリジット」
「ただいま。ブリジットさん」
「お帰りなさいませ。スカーレット様、カール様」
部屋へ戻ったスカーレットとカールをブリジットは笑顔で出迎えた。そしてアリオスがいないことに気付き、尋ねて来た。
「あの、アリオス様はどうされたのですか?」
「ええ、それが『ふれあい動物広場』に行ったのだけど、そこの係りの男性と話がしたいから先にホテルへ帰るように言われたの。そこでカール様を連れて戻って来たのよ」
「係りの男性と言えば、シュバルツケの使用人に当たりますよね?」
「ええ、そうよ」
「一体、どんなお話があると言うのでしょうね?」
ブリジットは首を傾げる。
「さぁ…私にもよく分らないのだけど、何だか聞いてはいけないような雰囲気だったから何も尋ねなかったの。」
その時…。
「フワアアアア…」
カールが眠そうに欠伸をした。
「カール様。お疲れでは無いですか?」
スカーレットは先ほどから眠そうに何度も目を擦っているカールを覗き込んだ。
「はい…少し眠いです。僕…今日の旅行が楽しみで中々眠れなかったんです…」
「まぁ。そうだったのですか?ではカール様。アリオス様も不在の事ですし、よろしければこちらのお部屋でお休みになって下さい」
ブリジットはカールにベッドを勧めた。
「はい、ありがとうございます」
カールは頭を下げるとブリジットに言われたベッドに潜り込み、すぐに寝息を立ててしまった。
「フフフ‥‥随分お疲れだったのね」
スカーレットがカールを見つめながら言う。
「ええ。そうですね」
「アリオス様が戻られるまでは私達も休んでいましょう」
「はい。スカーレット様」
ブリジットは微笑んだ―。
****
ガラガラガラガラ…
「…」
その頃アリオスは難しい顔で腕組みし、馬車に揺られていた。
(俺はひょっとすると余計な真似をしようとしているのでは無いだろうか?だが…このまま黙って見ているわけにはいかない)
先程広場にいたシュバルツ家の使用人から聞いた話は酷い有様だった。マゼンダ親子はまるでわが物顔であの屋敷の中では目に余る行動を取っていたそうだ。屋敷の中にある重要文化財や絵画などの芸術品…図書室にある貴重な蔵書などを売り払い、自分たちの新しいドレスやアクセサリーを買い漁っているそうだ。しかも屋敷で働く新しい使用人たちは全員派遣されてきており、2人の愚行を咎めるリーダ的存在もいないのだ。
「スカーレットの実家が寄生虫共に食い散らかされるのを防がなくては…!」
アリオスは馬車の中で下唇を噛みしめた―。
「え?アリオス様?」
「アリオス兄様。どうかしたんですか?」
「ああ、ちょっとな」
アリオスの態度に、スカーレットはあまり深く追求しない方が良いと瞬時に悟り、返事をした。
「分りました、アリオス様。カール様と先にホテルへ戻っております」
「ああ。頼む」
「はい。では参りましょう、カール様」
「は、はい」
スカーレットはカールの手を取った。
「それでは失礼致します」
頭を下げると、カールを連れてスカーレットは歩き始めた。
「…」
アリオスはその後ろ姿を少しの間、見届けると係員の男に向き直った。
「聞きたい事があるのだが…」
「は、はい!何でしょうか?」
「シュバルツ家に入り込んだと言うスカーレットの義母と義妹の事についてだが…」
アリオスの眼光が鋭くなった―。
****
「ただいま、ブリジット」
「ただいま。ブリジットさん」
「お帰りなさいませ。スカーレット様、カール様」
部屋へ戻ったスカーレットとカールをブリジットは笑顔で出迎えた。そしてアリオスがいないことに気付き、尋ねて来た。
「あの、アリオス様はどうされたのですか?」
「ええ、それが『ふれあい動物広場』に行ったのだけど、そこの係りの男性と話がしたいから先にホテルへ帰るように言われたの。そこでカール様を連れて戻って来たのよ」
「係りの男性と言えば、シュバルツケの使用人に当たりますよね?」
「ええ、そうよ」
「一体、どんなお話があると言うのでしょうね?」
ブリジットは首を傾げる。
「さぁ…私にもよく分らないのだけど、何だか聞いてはいけないような雰囲気だったから何も尋ねなかったの。」
その時…。
「フワアアアア…」
カールが眠そうに欠伸をした。
「カール様。お疲れでは無いですか?」
スカーレットは先ほどから眠そうに何度も目を擦っているカールを覗き込んだ。
「はい…少し眠いです。僕…今日の旅行が楽しみで中々眠れなかったんです…」
「まぁ。そうだったのですか?ではカール様。アリオス様も不在の事ですし、よろしければこちらのお部屋でお休みになって下さい」
ブリジットはカールにベッドを勧めた。
「はい、ありがとうございます」
カールは頭を下げるとブリジットに言われたベッドに潜り込み、すぐに寝息を立ててしまった。
「フフフ‥‥随分お疲れだったのね」
スカーレットがカールを見つめながら言う。
「ええ。そうですね」
「アリオス様が戻られるまでは私達も休んでいましょう」
「はい。スカーレット様」
ブリジットは微笑んだ―。
****
ガラガラガラガラ…
「…」
その頃アリオスは難しい顔で腕組みし、馬車に揺られていた。
(俺はひょっとすると余計な真似をしようとしているのでは無いだろうか?だが…このまま黙って見ているわけにはいかない)
先程広場にいたシュバルツ家の使用人から聞いた話は酷い有様だった。マゼンダ親子はまるでわが物顔であの屋敷の中では目に余る行動を取っていたそうだ。屋敷の中にある重要文化財や絵画などの芸術品…図書室にある貴重な蔵書などを売り払い、自分たちの新しいドレスやアクセサリーを買い漁っているそうだ。しかも屋敷で働く新しい使用人たちは全員派遣されてきており、2人の愚行を咎めるリーダ的存在もいないのだ。
「スカーレットの実家が寄生虫共に食い散らかされるのを防がなくては…!」
アリオスは馬車の中で下唇を噛みしめた―。
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