私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
47 / 99

2-27 また会いましょう

しおりを挟む
 私の耳元では風がゴウゴウと鳴り響いている。

 すごい!流石はドラゴン!パワーアップしたとときの私の比では無い。いや、比べることすらおこがましい。やはりドラゴンは偉大な存在だ!

 私は頭の中でありとあらゆる賛辞の言葉を思い浮かべながら、あっという間の空の旅を終えた。

**

 森が見えてくるとエメラルドさんはフワリと地面に降り立ち、私を草むらの上に下ろしてくれた。

<はい、到着よ>

「どうもありがとうございます」

 頭を下げると、エメラルドさんはフフフと笑った。

<いいのよ、だって私達はもう友達なんだから。ここから先はもう貴女だけで行ってちょうだい。ドラゴンの姿でこれ以上近づくと人間たちに姿を見られてしまうから。私、あんまり目立ちたくないのよね>

「ええ、その気持よく分かります」
 
 カクカク頭を上下に揺すぶりながら返事をする私。

<それじゃ、そろそろ行くわ。また気が向いたら会いにくるわ>

「そうですね。エメラルドさんから来てくれたほうが助かります。何しろあの山にはハゲタカや狼が彷徨いていますから」

<いえ、そういうつもりで言ったわけじゃないのよ。私って飽きっぽいから一つの住処にとどまれないのよね。今夜にでも別の住処に引っ越しするつもりだから>

「え?そうだったのですか……?それは残念です」

<あら?本当に可愛いこと言ってくれるのね?それにしても……>

 エメラルドさんは辺りをキョロキョロと見渡した。

「どうかしましたか?」

<ええ。アベルの気配が無いわ。あいつ……自分がここにいることが私にバレたものだから、さては逃げたわね……>

「すごい、あの魔法使いの気配まで分かるのですか?!」

<ええ、当然よ。何しろアベルには私の大切な逆鱗を奪われたんだから……。そのせいで私は50年もドラゴンの姿に戻れなかったのよ!お陰で彼に対する愛もすっかり消えてしまったわ!>

 プンプン怒りながらエメラルドさんはズシンズシンと地響きを立てて地団駄をを踏んでいる。

「はぁ……成程、そうだったのですね」

 エメラルドさんの怒りっぷり……恐らく魔法使いは彼女に見つかれば、タダでは済まされないだろう。

<それじゃ私は誰かに見つかる前に山に戻るわね>

 バサリとドラゴンの羽を広げるエメラルドさん。

「はい!ありがとうございます!あ!今度会うときは私、多分人間の姿に戻っていると思います!」

<あら、それは楽しみね。それじゃまた。白フクロウさん>

 それだけ言うと、エメラルドさんはフワリと空中に浮かび……まるでマッハのようなスピードで飛び去って行った。


「よし、それじゃ私もクロードの元へ向かわなくちゃ」

 いつの間にか空は茜色に染まり、遠くに見える城はまるでシルエットのように浮かんで見えた――。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

幽霊じゃありません!足だってありますから‼

かな
恋愛
私はトバルズ国の公爵令嬢アーリス・イソラ。8歳の時に木の根に引っかかって頭をぶつけたことにより、前世に流行った乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまったことに気づいた。だが、婚約破棄しても国外追放か修道院行きという緩い断罪だった為、自立する為のスキルを学びつつ、国外追放後のスローライフを夢見ていた。 断罪イベントを終えた数日後、目覚めたら幽霊と騒がれてしまい困惑することに…。えっ?私、生きてますけど ※ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください(*・ω・)*_ _)ペコリ ※遅筆なので、ゆっくり更新になるかもしれません。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「イザベラ、お前との婚約を破棄する!」「はい?」悪役令嬢のイザベラは、婚約者のエドワード王子から婚約の破棄を言い渡されてしまった。男爵家令嬢のアリシアとの真実の愛に目覚めたという理由でだ。さらには義弟のフレッド、騎士見習いのカイン、氷魔法士のオスカーまでもがエドワード王子に同調し、イザベラを責める。そして正義感が暴走した彼らにより、イザベラは殺害されてしまった。「……はっ! ここは……」イザベラが次に目覚めたとき、彼女は七歳に若返っていた。そして、この世界が乙女ゲームだということに気づく。予知夢で見た十年後のバッドエンドを回避するため、七歳の彼女は動き出すのであった。

悪役令嬢アンジェリカの最後の悪あがき

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【追放決定の悪役令嬢に転生したので、最後に悪あがきをしてみよう】 乙女ゲームのシナリオライターとして活躍していた私。ハードワークで意識を失い、次に目覚めた場所は自分のシナリオの乙女ゲームの世界の中。しかも悪役令嬢アンジェリカ・デーゼナーとして断罪されている真っ最中だった。そして下された罰は爵位を取られ、へき地への追放。けれど、ここは私の書き上げたシナリオのゲーム世界。なので作者として、最後の悪あがきをしてみることにした――。 ※他サイトでも投稿中

悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。 「…私、間違ってませんわね」 曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話 …だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている… 5/13 ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます 5/22 修正完了しました。明日から通常更新に戻ります 9/21 完結しました また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います

処刑された悪役令嬢、二周目は「ぼっち」を卒業して最強チームを作ります!

みかぼう。
恋愛
地方を救おうとして『反逆者』に仕立て上げられ、断頭台で散ったエリアナ・ヴァルドレイン。 彼女の失敗は、有能すぎるがゆえに「独りで背負いすぎたこと」だった。 ループから始まった二周目。 彼女はこれまで周囲との間に引いていた「線」を、踏み越えることを決意した。 「お父様、私に『線を引け』と教えた貴方に、処刑台から見た真実をお話しします」 「殿下、私が貴方の『目』となります。王国に張り巡らされた謀略の糸を、共に断ち切りましょう」 淑女の仮面を脱ぎ捨て、父と王太子を「共闘者」へと変貌させる政争の道。 未来知識という『目』を使い、一歩ずつ確実に、破滅への先手を取っていく。 これは、独りで戦い、独りで死んだ令嬢が、信頼と連帯によって王国の未来を塗り替える――緻密かつ大胆なリベンジ政争劇。 「私を神輿にするのなら、覚悟してくださいませ。……その行き先は、貴方の破滅ですわ」 (※カクヨムにも掲載中です。)

森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。

玖保ひかる
恋愛
[完結] 北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。 ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。 アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。 森に捨てられてしまったのだ。 南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。 苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。 ※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。 ※完結しました。

悪役令嬢が行方不明!?

mimiaizu
恋愛
乙女ゲームの設定では悪役令嬢だった公爵令嬢サエナリア・ヴァン・ソノーザ。そんな彼女が行方不明になるというゲームになかった事件(イベント)が起こる。彼女を見つけ出そうと捜索が始まる。そして、次々と明かされることになる真実に、妹が両親が、婚約者の王太子が、ヒロインの男爵令嬢が、皆が驚愕することになる。全てのカギを握るのは、一体誰なのだろう。 ※初めての悪役令嬢物です。

処理中です...