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第1話 そっけない態度
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「次に式を挙げる新郎新婦がいるそうだから、早くこの教会を出た方がいい。控室ですぐに着がえておいで。僕も着替えて来るから30分後にここで待ち合わせをしよう」
フィリップの言葉に驚いた。
「え…?30分後にこの場所で…なの?」
そんな…。このウェディングドレスを着るのでさえ1時間かかったのに、30分で着換えてこの場所に来るなんて出来るだろうか?
しかしフィリップは私の返事も待たずに踵を返し、着がえをする為に教会へ向かってしまった。
そこで慌てて私もウェディングドレスの裾をたくし上げると着替えをするべく、フィリップの後を追う様に教会へ向かった―。
「お願いです。30分で着がえを終えないといけないのです。教会の門で彼と待ち合わせの約束をしておりますので。申し訳ありませんが急いでいただけますか?」
私はウェディングドレスを着せてくれたドレスコーディネーターの女性にお願いした。
「え?たったの30分でですか…?」
女性は困った顔で私を見たが…。
「かしこまりました、メイクも髪型もこのままでしたら恐らく30分で着替える事は可能でしょう」
「ありがとうございます」
そして女性の手を借り、私は着がえを始めながら思った。
…もっと長くこの美しいウェディングドレスを着ていたかった。そしてフィリップから一言でも「似合っている」「綺麗だよ」のどちらかでも、それが例えお世辞でも構わないので、言葉をかけて貰いたかった…。
私はフィリップの白いタキシード姿を褒めたのに、彼は一度たりとも私を正面から見る事も無く、ウェディングドレス姿について一言も触れてはくれないどころか、すぐに着替えて来るように言って来たのだ。
フィリップ…。
私のドレス姿を見て…何も思うところは無かったの…?
思わず眼尻に涙が浮かびかけた時…。
「お客様?どうされましたか?」
私の様子がおかしいことに気付いたのか、ドレスコーディネーターの女性が声を掛けて来た。
「い、いえ。その…何でもありません。ただ…愛する人の妻になれたことが…そ、その…嬉しくて」
自分の気持に私は嘘をついた。
「お客様…」
「はい?」
「とても…ウェディングドレス姿…お似合いですわ」
女性は優しい笑みを浮かべて私に言った。
「あ、ありがとうございます…」
その言葉に無理して笑うとお礼を述べた―。
30分後―
着がえを終えて、ブラウスにロングスカート姿の私は急ぎ足で待ち合わせ場所である教会の門へ急いだ。するとそこには既に着がえを終えて、いつも通りのスーツ姿のフィリップがすでに待っていた。
「フィリップ!」
大きな声で呼びかけると、フィリップはこちらを振り向いた。
「ご、ごめんなさい…遅くなって…」
するとフィリップは首を振った。
「大丈夫だよ、僕の方が先に着がえを終わらせただけだから。それにまだ25分しか経過していないから気にしなくていいよ」
「あ、ありがとう」
優しい言葉…。それだけでも嬉しかった。
「荷物は…それだけかい?」
フィリップは私が手にしている少し大きめのボストンバッグをチラリと見た。
「ええ、これだけよ」
ひょっとして…持ってくれるのだろうか?
しかし、フィリップが荷物を持ってくれることは無かった。
「よし、それじゃ行こうか?馬車はここから少しだけ離れた場所に停車してあるんだ」
「ええ…」
そして私は荷物の無いフィリップの後を、大きめのボストンバッグを抱えるように持つと、彼の後を追った―。
私たちの乗る馬車は木陰に停めてあった。
「待たせたね、ジェイコブ」
フィリップは御者台に座っていた男性に声を掛けた。
「いいえ、では馬車にお乗りください」
ジェイコブと呼ばれた男性の言葉に頷くとフィリップは馬車の扉を開いて乗り込んだ。
「さぁ、エルザ。君も早く乗りなよ」
座席に座ったフィリップが声を掛けて来た。
「え、ええ…」
そして私はボストンバッグを馬車の床に乗せるとロングスカートをたくしあげて、馬車に乗り込んだ。
私が座席に座るとフィリップが声を掛けて来た。
「エルザ。ドアを閉じ忘れているよ」
「あ、ごめんなさい」
慌ててて席を立って扉を閉めるとフィリップは御者のジェイコブに声を掛けた。
「待たせたな。馬車を出してくれ」
「かしこまりました」
ジェイコブは返事をすると、馬車を走らせた。
私とフィリップの新居を目ざして―。
フィリップの言葉に驚いた。
「え…?30分後にこの場所で…なの?」
そんな…。このウェディングドレスを着るのでさえ1時間かかったのに、30分で着換えてこの場所に来るなんて出来るだろうか?
しかしフィリップは私の返事も待たずに踵を返し、着がえをする為に教会へ向かってしまった。
そこで慌てて私もウェディングドレスの裾をたくし上げると着替えをするべく、フィリップの後を追う様に教会へ向かった―。
「お願いです。30分で着がえを終えないといけないのです。教会の門で彼と待ち合わせの約束をしておりますので。申し訳ありませんが急いでいただけますか?」
私はウェディングドレスを着せてくれたドレスコーディネーターの女性にお願いした。
「え?たったの30分でですか…?」
女性は困った顔で私を見たが…。
「かしこまりました、メイクも髪型もこのままでしたら恐らく30分で着替える事は可能でしょう」
「ありがとうございます」
そして女性の手を借り、私は着がえを始めながら思った。
…もっと長くこの美しいウェディングドレスを着ていたかった。そしてフィリップから一言でも「似合っている」「綺麗だよ」のどちらかでも、それが例えお世辞でも構わないので、言葉をかけて貰いたかった…。
私はフィリップの白いタキシード姿を褒めたのに、彼は一度たりとも私を正面から見る事も無く、ウェディングドレス姿について一言も触れてはくれないどころか、すぐに着替えて来るように言って来たのだ。
フィリップ…。
私のドレス姿を見て…何も思うところは無かったの…?
思わず眼尻に涙が浮かびかけた時…。
「お客様?どうされましたか?」
私の様子がおかしいことに気付いたのか、ドレスコーディネーターの女性が声を掛けて来た。
「い、いえ。その…何でもありません。ただ…愛する人の妻になれたことが…そ、その…嬉しくて」
自分の気持に私は嘘をついた。
「お客様…」
「はい?」
「とても…ウェディングドレス姿…お似合いですわ」
女性は優しい笑みを浮かべて私に言った。
「あ、ありがとうございます…」
その言葉に無理して笑うとお礼を述べた―。
30分後―
着がえを終えて、ブラウスにロングスカート姿の私は急ぎ足で待ち合わせ場所である教会の門へ急いだ。するとそこには既に着がえを終えて、いつも通りのスーツ姿のフィリップがすでに待っていた。
「フィリップ!」
大きな声で呼びかけると、フィリップはこちらを振り向いた。
「ご、ごめんなさい…遅くなって…」
するとフィリップは首を振った。
「大丈夫だよ、僕の方が先に着がえを終わらせただけだから。それにまだ25分しか経過していないから気にしなくていいよ」
「あ、ありがとう」
優しい言葉…。それだけでも嬉しかった。
「荷物は…それだけかい?」
フィリップは私が手にしている少し大きめのボストンバッグをチラリと見た。
「ええ、これだけよ」
ひょっとして…持ってくれるのだろうか?
しかし、フィリップが荷物を持ってくれることは無かった。
「よし、それじゃ行こうか?馬車はここから少しだけ離れた場所に停車してあるんだ」
「ええ…」
そして私は荷物の無いフィリップの後を、大きめのボストンバッグを抱えるように持つと、彼の後を追った―。
私たちの乗る馬車は木陰に停めてあった。
「待たせたね、ジェイコブ」
フィリップは御者台に座っていた男性に声を掛けた。
「いいえ、では馬車にお乗りください」
ジェイコブと呼ばれた男性の言葉に頷くとフィリップは馬車の扉を開いて乗り込んだ。
「さぁ、エルザ。君も早く乗りなよ」
座席に座ったフィリップが声を掛けて来た。
「え、ええ…」
そして私はボストンバッグを馬車の床に乗せるとロングスカートをたくしあげて、馬車に乗り込んだ。
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「エルザ。ドアを閉じ忘れているよ」
「あ、ごめんなさい」
慌ててて席を立って扉を閉めるとフィリップは御者のジェイコブに声を掛けた。
「待たせたな。馬車を出してくれ」
「かしこまりました」
ジェイコブは返事をすると、馬車を走らせた。
私とフィリップの新居を目ざして―。
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