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第8話 結婚前から捨てられていた私
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泣きたい気持ちでいっぱいだったけれど、ここで涙を見せれば益々フィリップから嫌がられてしまう。だから必死で涙を堪えながら私は尋ねた。
「フィリップ…『僕の所へお嫁に来るかい?』と言ったあの言葉は…何だったの?」
「あれは、父と母に説得されてやむを得ず言ったんだよ。エルザが僕との結婚話にうなずかないから、説得するようにって言われてね」
「そ、そんな…」
一瞬目の前が真っ暗になってしまった。フィリップのあの言葉は自分の意思では無かったなんて…。
「両親は何としても僕を結婚させようとしていた。ローズしか愛せないと言う僕の言葉に耳も傾けずにね。それでローズの妹の君なら身代わりになれるんじゃないかと両親は考えて、エルザと僕の結婚話を勝手に進めたんだよ。…僕は最初から嫌だと言っていたのに…。全く迷惑な話だよ」
「迷惑…」
口の中でポツリと呟いた。
「いい加減、断り続けるのも疲れたから…とりあえずエルザと結婚をすれば、もう煩わしい結婚話から開放されると思って、君に結婚の打診をしてみたんだよ。内心断ってくれる事を願っていたけど…まさか承諾するとは思ってもいなかった」
フィリップがため息混じりに言う。
「!」
その言葉に私は自分が酷く浅ましい人間だと言われているような気持ちになって思わず顔が羞恥で赤くなってしまった。
そんな…。フィリップは私がプロポーズを断ってくれることを願っていたなんて…。
「わ、私は…フィリップのプロポーズを…本当は受けるべきじゃ無かった…って事?」
「まぁ、はっきり言ってしまえばそうだね。だけど、君は承諾した。そうなるともう僕達は結婚せざるをえないじゃないか?」
フィリップは肩をすくめた。
「…」
もう駄目だ。今にも涙が出てきそうだ。
何か…他の事を考えてきを紛らわせなければ、少しでも油断すれば涙が頬を伝いそうだ。
私が返事をしないからか…フィリップの話は続く。
「とりあえず、僕と君は結婚したけれども…当然寝室は別々だ。朝と夜の食事はいきなり分けるのは周囲に怪しまれるから少しずつ別々にするようにしていこう。そして預けた離婚届だけど…」
その言葉に肩がビクリと跳ねる。
「エルザだって、こんな生活すぐに嫌気がさすと思うんだ。だから、この結婚を終わらせたくなったらいつでも役所に届けていいよ。幸い君は貴族では無いから…例え離婚しても、そうそう傷物扱いの目で見られる事はないと思うからね。最低…そうだな。2年以内に離婚してくれればそれで僕は構わないよ」
「2年…私は最低でも2年以内に貴方と離婚しなければならないってことなのね?」
「そうだよ。2年も結婚生活を続けていれば離婚しても世間からとやかく言う人達も大分減るかもしれないからね。最もそれまで君の神経が持たないと思うけど…。恐らく両親から子供のことでプレッシャーを与えられてしまうだろからね」
フィリップの言葉を私はまるで他人事のように聞いていた。
こんな話が現実に…自分の身に起こっているとは信じたくなかったからだ。
だけど、確実に分かっていることがある。
私は結婚する前から、フィリップに捨てられていたのだ―と。
「フィリップ…『僕の所へお嫁に来るかい?』と言ったあの言葉は…何だったの?」
「あれは、父と母に説得されてやむを得ず言ったんだよ。エルザが僕との結婚話にうなずかないから、説得するようにって言われてね」
「そ、そんな…」
一瞬目の前が真っ暗になってしまった。フィリップのあの言葉は自分の意思では無かったなんて…。
「両親は何としても僕を結婚させようとしていた。ローズしか愛せないと言う僕の言葉に耳も傾けずにね。それでローズの妹の君なら身代わりになれるんじゃないかと両親は考えて、エルザと僕の結婚話を勝手に進めたんだよ。…僕は最初から嫌だと言っていたのに…。全く迷惑な話だよ」
「迷惑…」
口の中でポツリと呟いた。
「いい加減、断り続けるのも疲れたから…とりあえずエルザと結婚をすれば、もう煩わしい結婚話から開放されると思って、君に結婚の打診をしてみたんだよ。内心断ってくれる事を願っていたけど…まさか承諾するとは思ってもいなかった」
フィリップがため息混じりに言う。
「!」
その言葉に私は自分が酷く浅ましい人間だと言われているような気持ちになって思わず顔が羞恥で赤くなってしまった。
そんな…。フィリップは私がプロポーズを断ってくれることを願っていたなんて…。
「わ、私は…フィリップのプロポーズを…本当は受けるべきじゃ無かった…って事?」
「まぁ、はっきり言ってしまえばそうだね。だけど、君は承諾した。そうなるともう僕達は結婚せざるをえないじゃないか?」
フィリップは肩をすくめた。
「…」
もう駄目だ。今にも涙が出てきそうだ。
何か…他の事を考えてきを紛らわせなければ、少しでも油断すれば涙が頬を伝いそうだ。
私が返事をしないからか…フィリップの話は続く。
「とりあえず、僕と君は結婚したけれども…当然寝室は別々だ。朝と夜の食事はいきなり分けるのは周囲に怪しまれるから少しずつ別々にするようにしていこう。そして預けた離婚届だけど…」
その言葉に肩がビクリと跳ねる。
「エルザだって、こんな生活すぐに嫌気がさすと思うんだ。だから、この結婚を終わらせたくなったらいつでも役所に届けていいよ。幸い君は貴族では無いから…例え離婚しても、そうそう傷物扱いの目で見られる事はないと思うからね。最低…そうだな。2年以内に離婚してくれればそれで僕は構わないよ」
「2年…私は最低でも2年以内に貴方と離婚しなければならないってことなのね?」
「そうだよ。2年も結婚生活を続けていれば離婚しても世間からとやかく言う人達も大分減るかもしれないからね。最もそれまで君の神経が持たないと思うけど…。恐らく両親から子供のことでプレッシャーを与えられてしまうだろからね」
フィリップの言葉を私はまるで他人事のように聞いていた。
こんな話が現実に…自分の身に起こっているとは信じたくなかったからだ。
だけど、確実に分かっていることがある。
私は結婚する前から、フィリップに捨てられていたのだ―と。
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