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第76話 私の嘘
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18時―
コンコン
突然部屋の扉がノックされ、チャールズさんの声が聞こえてきた。
『エルザ様、少々宜しいでしょうか?』
「はい、どうぞ」
扉越しに声を掛けると扉が開かれ、チャールズさんが姿を現した。
「エルザ様、申し訳ございません。本日のお夕食は1人でとって欲しいとフィリップ様から先程伝言を頂きました」
「え…?そうなのですか?」
「ええ、エルザ様に申し訳ないと伝えて欲しいとフィリップ様が申しておりました」
「私の方は構わないけれども…でも、フィリップの体調のほうが心配だわ」
ポツリと呟くと、チャールズさんが頷いた。
「ええ…そうですよね。私もそう思います。薬だって切れてしまうかも知れないというのに…。どうやら旦那様と奥様がどうしても本館で食事を取るように強引にひきとめていたようです。本館の使用人からそう聞いております。それに…フィリップ様の体調が悪そうだったとも話しておりました」
「そんな…!」
どうしよう。
フィリップは体調が悪いのに、無理にお義父様とお義母様に引き止められているなんて…。
「お願い、チャールズさん。フィリップに伝えてもらえる?私の具合が悪くて、フィリップを呼んでいると伝えて貰いたいの。」
「エルザ様…ですが…」
「信じてもらえないなら、バラアレルギーの症状を起こしてしまったと伝えてくれる?それでも駄目なら…もう諦めるしかないけれども…」
嘘をつくのは悪いことだとは分かっているけれども、他に体調が悪いフィリップを呼び寄せる方法が私には他に思いつかなかった。
「…分かりました…。旦那様と奥様がその話を信じてくれるかどうかは分かりませんが…。メッセンジャーに伝言を伝えてきます」
チャールズさんは頷くとすぐに部屋を出て行った。
「万一の為に…準備したほうがいいかも知れないわね…」
そして、私はテーブルの上に置かれた呼び鈴を持って、廊下に出ると鳴らした。
チリンチリン
すると少しの間の後、フットマンのロビンがこちらに向かって歩いてくる姿が見えた。
「エルザ様、お呼びですか?」
「ええ、貴方にお願いがあるの。実は…」
私はロビンにあるお願い事をした―。
****
それから15分程時間が経過した頃…。
コンコンコン
少しだけ焦ったように扉をノックする音が聞こえ、それと同時にフィリップの声が聞こえてきた。
『エルザ?大丈夫なのかい?開けるよ…』
私は万一の事を考え、カウチソファにより掛かるように座った。
ガチャッ!
扉が開かれ、姿を現したのはフィリップ1人だった。彼の顔色は悪く、具合が悪そうに見えた。
「フィリップ…ごめんなさい…」
私は立ち上がると、頭を下げた。
「え…?バラアレルギーを起こしたって聞いたけど…」
「ごめんなさい、貴方の具合がとても悪そうだったと聞かされて…それで嘘をついて貴方を呼び戻そうと思ったの」
「な、何だ…そうだったのか…。良かった…。僕はてっきり…うっ…!」
フィリップが苦しそうにお腹を押さえて、身をかがめた。
「フィリップ!」
私はフィリップに駆け寄った。
「大丈夫?フィリップ」
彼の身体を何とか支えると、私は声を掛けた。
「フィリップ。ソファまで歩ける?」
「…う、うん…歩ける…よ…」
そして私はフィリップの身体を支えながらソファまで連れて行くと横たわらせた。
「う…」
目を閉じ、痛みに必死に耐えているフィリップは見ていてとても辛かった。
「待っていてね。今人を呼んで薬を持ってきてもらうから」
私はフィリップの右手にそっと触れた。
「大丈夫だよ…。もうチャールズに薬を持って来てもらえることになっているから…。それよりも…今はこのまま…側にいてもらえる…かな…?」
フィリップは目を開け…すがるような目を私に向けてきた。
「ええ、ずっと…貴方の側にいるわ…」
「ありがとう…エルザ」
フィリップは弱々しげに私を見て笑みを浮かべた―。
コンコン
突然部屋の扉がノックされ、チャールズさんの声が聞こえてきた。
『エルザ様、少々宜しいでしょうか?』
「はい、どうぞ」
扉越しに声を掛けると扉が開かれ、チャールズさんが姿を現した。
「エルザ様、申し訳ございません。本日のお夕食は1人でとって欲しいとフィリップ様から先程伝言を頂きました」
「え…?そうなのですか?」
「ええ、エルザ様に申し訳ないと伝えて欲しいとフィリップ様が申しておりました」
「私の方は構わないけれども…でも、フィリップの体調のほうが心配だわ」
ポツリと呟くと、チャールズさんが頷いた。
「ええ…そうですよね。私もそう思います。薬だって切れてしまうかも知れないというのに…。どうやら旦那様と奥様がどうしても本館で食事を取るように強引にひきとめていたようです。本館の使用人からそう聞いております。それに…フィリップ様の体調が悪そうだったとも話しておりました」
「そんな…!」
どうしよう。
フィリップは体調が悪いのに、無理にお義父様とお義母様に引き止められているなんて…。
「お願い、チャールズさん。フィリップに伝えてもらえる?私の具合が悪くて、フィリップを呼んでいると伝えて貰いたいの。」
「エルザ様…ですが…」
「信じてもらえないなら、バラアレルギーの症状を起こしてしまったと伝えてくれる?それでも駄目なら…もう諦めるしかないけれども…」
嘘をつくのは悪いことだとは分かっているけれども、他に体調が悪いフィリップを呼び寄せる方法が私には他に思いつかなかった。
「…分かりました…。旦那様と奥様がその話を信じてくれるかどうかは分かりませんが…。メッセンジャーに伝言を伝えてきます」
チャールズさんは頷くとすぐに部屋を出て行った。
「万一の為に…準備したほうがいいかも知れないわね…」
そして、私はテーブルの上に置かれた呼び鈴を持って、廊下に出ると鳴らした。
チリンチリン
すると少しの間の後、フットマンのロビンがこちらに向かって歩いてくる姿が見えた。
「エルザ様、お呼びですか?」
「ええ、貴方にお願いがあるの。実は…」
私はロビンにあるお願い事をした―。
****
それから15分程時間が経過した頃…。
コンコンコン
少しだけ焦ったように扉をノックする音が聞こえ、それと同時にフィリップの声が聞こえてきた。
『エルザ?大丈夫なのかい?開けるよ…』
私は万一の事を考え、カウチソファにより掛かるように座った。
ガチャッ!
扉が開かれ、姿を現したのはフィリップ1人だった。彼の顔色は悪く、具合が悪そうに見えた。
「フィリップ…ごめんなさい…」
私は立ち上がると、頭を下げた。
「え…?バラアレルギーを起こしたって聞いたけど…」
「ごめんなさい、貴方の具合がとても悪そうだったと聞かされて…それで嘘をついて貴方を呼び戻そうと思ったの」
「な、何だ…そうだったのか…。良かった…。僕はてっきり…うっ…!」
フィリップが苦しそうにお腹を押さえて、身をかがめた。
「フィリップ!」
私はフィリップに駆け寄った。
「大丈夫?フィリップ」
彼の身体を何とか支えると、私は声を掛けた。
「フィリップ。ソファまで歩ける?」
「…う、うん…歩ける…よ…」
そして私はフィリップの身体を支えながらソファまで連れて行くと横たわらせた。
「う…」
目を閉じ、痛みに必死に耐えているフィリップは見ていてとても辛かった。
「待っていてね。今人を呼んで薬を持ってきてもらうから」
私はフィリップの右手にそっと触れた。
「大丈夫だよ…。もうチャールズに薬を持って来てもらえることになっているから…。それよりも…今はこのまま…側にいてもらえる…かな…?」
フィリップは目を開け…すがるような目を私に向けてきた。
「ええ、ずっと…貴方の側にいるわ…」
「ありがとう…エルザ」
フィリップは弱々しげに私を見て笑みを浮かべた―。
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