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第175話 夕食会後…
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ルークを抱いて、車椅子に乗ったセシルと2人でエントランスに向かいながら尋ねた。
「セシル、離れの屋敷までは馬車で行くの?」
「いや、車椅子だから乗り降りするのは大変だからな。このまま車椅子に乗って離れに行くつもりだよ」
「え…?大丈夫なの?まさか…1人で行くつもりなの?」
「もちろん、1人で行くさ」
もう夜だというのに大丈夫なのだろうか?
「本当に…大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫だ。骨折が治って歩けるようになるには3ヶ月はかかると言われているんだ。だからなるべく自分一人で移動出来るようにしておかなければいけないからな」
「そう…。私はルークを抱いているから車椅子を押してあげることは出来ないし……」
「俺を心配してくれるのか?ありがとう、エルザ」
セシルが嬉しそうに私を見る。
「ええ、それは当然よ。いくら敷地内とは言っても夜だし……」
屋敷からは離れまでは歩くと5分ほどかかる。夜道を車椅子で移動するのは大変なのではないだろうか?
「夜だと言っても今夜は満月で月明かりもあるし、それに庭にはガス燈が所々灯っているから大丈夫さ。だからエルザは俺のことは気にせずに馬車で先に離へ戻っていてくれよ」
「分かったわ」
私はセシルの言葉に頷いた――。
****
「お帰りなさいませ、エルザ様。お食事会はいかがでしたか?」
馬車が離れに到着し、屋敷に戻るとチャールズさんが出迎えてくれた。
「はい、とても美味しい食事でした。ところでチャールズさん、セシルが今夜からここで暮らすと言う話を聞いたのですけど…」
するとチャールズさんが申し訳なさそうに頭を下げてきた。
「はい。その通りでございます。実はセシル様からエルザ様には自分から離れで暮らすことを告げるので、黙っているようにと口止めされておりましたので…」
「そうだったのですね。チャールズさんは言いつけを守っただけなのですから気になさらないで下さい。それに元々この離れの屋敷もアンバー家のものです。フィリップが亡くなってしまった今となっては、私はこの屋敷の居候のようなものですから…。アンバー家の方々に何も言うことはありません」
「エルザ様……」
「セシルが後ほど車椅子で1人で戻って来ます。私はルークがいるので先に部屋に戻っていますね」
「はい、承知致しました。セシル様の出迎えは私にお任せ下さい」
「よろしくお願いします」
そして私は自室へ戻った――。
****
離れに到着したセシルはすぐにでも、この部屋を訪ねてくるだろうと
自室へ戻り、ルークをベビーベッドに寝かせつけてもまだセシルが来る様子は無かった。
ひょっとすると、セシルはこの部屋に来る気はないのかもしれない。
そこで私はルークがぐっすり眠っている姿を確認すると、入浴する為にバスルームへと向かった――。
「ふぅ…気持ちよかったわ」
入浴を終え、夜着に着替えた私はベビーベッドで眠っているルークの様子を覗いてみた。
「ふふふ……よく眠っているわ」
時刻は22時半になろうとしている。
少しだけ読書をしてから寝ようと思い、ライティングデスクの本を手に取った時…。
コンコン
部屋の扉がノックされる音が聞こえた。
「あら?誰かしら……?」
その時、扉の外で声が聞こえた。
『エルザ。今、ちょっといいか?』
その声はセシルのものだった――。
「セシル、離れの屋敷までは馬車で行くの?」
「いや、車椅子だから乗り降りするのは大変だからな。このまま車椅子に乗って離れに行くつもりだよ」
「え…?大丈夫なの?まさか…1人で行くつもりなの?」
「もちろん、1人で行くさ」
もう夜だというのに大丈夫なのだろうか?
「本当に…大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫だ。骨折が治って歩けるようになるには3ヶ月はかかると言われているんだ。だからなるべく自分一人で移動出来るようにしておかなければいけないからな」
「そう…。私はルークを抱いているから車椅子を押してあげることは出来ないし……」
「俺を心配してくれるのか?ありがとう、エルザ」
セシルが嬉しそうに私を見る。
「ええ、それは当然よ。いくら敷地内とは言っても夜だし……」
屋敷からは離れまでは歩くと5分ほどかかる。夜道を車椅子で移動するのは大変なのではないだろうか?
「夜だと言っても今夜は満月で月明かりもあるし、それに庭にはガス燈が所々灯っているから大丈夫さ。だからエルザは俺のことは気にせずに馬車で先に離へ戻っていてくれよ」
「分かったわ」
私はセシルの言葉に頷いた――。
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「お帰りなさいませ、エルザ様。お食事会はいかがでしたか?」
馬車が離れに到着し、屋敷に戻るとチャールズさんが出迎えてくれた。
「はい、とても美味しい食事でした。ところでチャールズさん、セシルが今夜からここで暮らすと言う話を聞いたのですけど…」
するとチャールズさんが申し訳なさそうに頭を下げてきた。
「はい。その通りでございます。実はセシル様からエルザ様には自分から離れで暮らすことを告げるので、黙っているようにと口止めされておりましたので…」
「そうだったのですね。チャールズさんは言いつけを守っただけなのですから気になさらないで下さい。それに元々この離れの屋敷もアンバー家のものです。フィリップが亡くなってしまった今となっては、私はこの屋敷の居候のようなものですから…。アンバー家の方々に何も言うことはありません」
「エルザ様……」
「セシルが後ほど車椅子で1人で戻って来ます。私はルークがいるので先に部屋に戻っていますね」
「はい、承知致しました。セシル様の出迎えは私にお任せ下さい」
「よろしくお願いします」
そして私は自室へ戻った――。
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離れに到着したセシルはすぐにでも、この部屋を訪ねてくるだろうと
自室へ戻り、ルークをベビーベッドに寝かせつけてもまだセシルが来る様子は無かった。
ひょっとすると、セシルはこの部屋に来る気はないのかもしれない。
そこで私はルークがぐっすり眠っている姿を確認すると、入浴する為にバスルームへと向かった――。
「ふぅ…気持ちよかったわ」
入浴を終え、夜着に着替えた私はベビーベッドで眠っているルークの様子を覗いてみた。
「ふふふ……よく眠っているわ」
時刻は22時半になろうとしている。
少しだけ読書をしてから寝ようと思い、ライティングデスクの本を手に取った時…。
コンコン
部屋の扉がノックされる音が聞こえた。
「あら?誰かしら……?」
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その声はセシルのものだった――。
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