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第29話 これに乗るんですか?
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アダムが先に教会を去って行った理由を、詰め寄って来た両親とドナに説明したソフィア。
ようやく3人は納得し、安心したドナは一足先に帰っていった。
「お父様、お母様。迎えの方が待っているので、私はもう行きますね?」
「ああ、そうだな。待たせるわけにはいかないからな」
最初の頃、アダムとの結婚を猛反対していたムーアが笑顔で頷く。
「行くのはいいけれども……ソフィア、まさかそのウェディングドレス姿で屋敷へ行くのかしら?」
アメリが首を傾げて尋ねた。
「え? 普通は……どうなのでしょうか?」
ソフィアはアメリに指摘されるまで、疑問にも思っていないことに今更ながら気付いた。
「そうねぇ……私の場合は、一応教会で着替えたけれど」
「いや、違うだろう。 アメリ、お前はウェディングドレスのままで私と一緒に家に行ったではないか」
ムーアが口を挟んできた。
「いいえ、違います。私はあの後、水色のデイ・ドレスに着替えました。そのまま、新婚旅行に行ったじゃありませんか」
「お前こそ、何を言っている。新婚旅行は私の仕事が忙しかったので、1カ月日程をずらしただろう?」
「まぁ! あなたこそ何を言っているの? まさか、もうボケが始まったのではないでしょうね?」
「ボケとは何だ! そういうお前こそ、物忘れが激しくなったのではないか? 最近よく何処に物をしまったか忘れがちでは無いか」
段々夫婦の言いあいが険悪な物になってきた。
「何ですって! それは貴方が勝手に物をしまうからでしょう!?」
「私のせいにするな! そもそも出しっぱなしにしておくのが悪い! ただでさえ狭い家なのだから、使った物は片付けろ!」
「まだ使う物だったので、出しておいただけです! 大体、誰のせいで狭い家に住まなくてはならなくなったと思うのです!」
もはや完全に言い争いをしているアメリとムーア。おめでたい結婚式の日に、これ以上ソフィアは両親の口喧嘩を見ていられなくなった。
「お父様、お母様。話し合いなら、どうぞ自宅へ帰ってからなさってください。これ以上迎えの方をお待たせしてはなりませんので、私はもう行きますね?」
未だに口論を続けている両親に告げると、ソフィアはドレスを翻して大通りへ続く門へと向かった。
緑に覆われた教会の敷地を急ぎ足で歩いていると、やがて教会を囲っている門が見えてきた。
扉は大きく開閉され、黒いスーツ姿の男性がこちらを向いて立っている。
(もしかして、あの男性がアダムさんの話していた迎えの人かしら?
近付いていくと、両親と同年代と思しき男性が笑みを浮かべる。
「アダム様の奥様になられたソフィア・ジョンソン様でいらっしゃいますね?」
「は、はい。そうです。私がソフィア・ジョンソンです」
ソフィア・ジョンソンと呼ばれ、思わず顔が赤くなる。
(自分で、ジョンソンと名乗ってしまったわ。私……本当にアダムさんと結婚したのね……!)
「お待ちしておりました。私はアダム様の執事、ノーマンと申します。アダム様より、奥様を新居にお連れするように命令を承っております。御案内いたしますので、どうぞこちらへお越しください」
「はい」
コクリと頷き、門を出たソフィアは目を見張る。
(え……? こ、これで行くと言うの……?)
「さ、どうぞお乗りください」
戸惑うソフィアの背後から、ノーマンが声をかけてきた。
「は、はい。あの……これに……乗るんですか……?」
黒い車輪に、真っ赤な車体。
目の前に止まっていたのは、今迄一度も乗ったことの無い車だったのだ――
ようやく3人は納得し、安心したドナは一足先に帰っていった。
「お父様、お母様。迎えの方が待っているので、私はもう行きますね?」
「ああ、そうだな。待たせるわけにはいかないからな」
最初の頃、アダムとの結婚を猛反対していたムーアが笑顔で頷く。
「行くのはいいけれども……ソフィア、まさかそのウェディングドレス姿で屋敷へ行くのかしら?」
アメリが首を傾げて尋ねた。
「え? 普通は……どうなのでしょうか?」
ソフィアはアメリに指摘されるまで、疑問にも思っていないことに今更ながら気付いた。
「そうねぇ……私の場合は、一応教会で着替えたけれど」
「いや、違うだろう。 アメリ、お前はウェディングドレスのままで私と一緒に家に行ったではないか」
ムーアが口を挟んできた。
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「お前こそ、何を言っている。新婚旅行は私の仕事が忙しかったので、1カ月日程をずらしただろう?」
「まぁ! あなたこそ何を言っているの? まさか、もうボケが始まったのではないでしょうね?」
「ボケとは何だ! そういうお前こそ、物忘れが激しくなったのではないか? 最近よく何処に物をしまったか忘れがちでは無いか」
段々夫婦の言いあいが険悪な物になってきた。
「何ですって! それは貴方が勝手に物をしまうからでしょう!?」
「私のせいにするな! そもそも出しっぱなしにしておくのが悪い! ただでさえ狭い家なのだから、使った物は片付けろ!」
「まだ使う物だったので、出しておいただけです! 大体、誰のせいで狭い家に住まなくてはならなくなったと思うのです!」
もはや完全に言い争いをしているアメリとムーア。おめでたい結婚式の日に、これ以上ソフィアは両親の口喧嘩を見ていられなくなった。
「お父様、お母様。話し合いなら、どうぞ自宅へ帰ってからなさってください。これ以上迎えの方をお待たせしてはなりませんので、私はもう行きますね?」
未だに口論を続けている両親に告げると、ソフィアはドレスを翻して大通りへ続く門へと向かった。
緑に覆われた教会の敷地を急ぎ足で歩いていると、やがて教会を囲っている門が見えてきた。
扉は大きく開閉され、黒いスーツ姿の男性がこちらを向いて立っている。
(もしかして、あの男性がアダムさんの話していた迎えの人かしら?
近付いていくと、両親と同年代と思しき男性が笑みを浮かべる。
「アダム様の奥様になられたソフィア・ジョンソン様でいらっしゃいますね?」
「は、はい。そうです。私がソフィア・ジョンソンです」
ソフィア・ジョンソンと呼ばれ、思わず顔が赤くなる。
(自分で、ジョンソンと名乗ってしまったわ。私……本当にアダムさんと結婚したのね……!)
「お待ちしておりました。私はアダム様の執事、ノーマンと申します。アダム様より、奥様を新居にお連れするように命令を承っております。御案内いたしますので、どうぞこちらへお越しください」
「はい」
コクリと頷き、門を出たソフィアは目を見張る。
(え……? こ、これで行くと言うの……?)
「さ、どうぞお乗りください」
戸惑うソフィアの背後から、ノーマンが声をかけてきた。
「は、はい。あの……これに……乗るんですか……?」
黒い車輪に、真っ赤な車体。
目の前に止まっていたのは、今迄一度も乗ったことの無い車だったのだ――
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