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11話 そして……続く?

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 何これ!

てっきり屋外でのお祭りかとばかり思っていた。広場でやぐらを組んで、大きな焚き火をして、皆で輪になって踊る……
けれど、私がやってきたのは墓場だったのだ。しかも打ち捨てられたかのような墓場。
小高い丘には朽ち果てた教会らしきものが建っている。その姿は満月に照らし出されて不気味な姿を晒していた。
辺は霧に包まれ、地面はぬかるんでいる。

これでは……まるで肝試しだ! 足がすくんで震えてしまう。
引き返したいのに、王子はゆっくりした足取りで……さながら亡者のようにフラフラと教会らしき建物に向かって歩いていく。

そんな……! ついていくのも嫌だけど、こんなところで置き去りにされる方がもっと怖い。

私は覚悟を決めて、王子の後をついていくことにした。

ザッ
ザッ

無言で歩いていると、気付いた。私達以外にも、多くの人々が教会に向かって歩いている。その誰もが、カブのジャックオーランタンを被っている。

うう……怖い怖い怖い……
本当にドクロが歩いているみたいだ。これがカボチャだったら……!まだ、こんなに恐怖を感じかなったに違いない!

その時……

ズボッ!

不意に足元から手が飛び出してきた。

「キャアアアアアー!!」

アレほど声を出してはいけないと言われていたのに、たまらず悲鳴を上げる私。
すると、全員がこちらを振り向き……何故か私の方に向かって近づいてくる。
カブを被った人々の、その恐ろしいことと言ったら言葉にできない。

「いやあああ!! こ、こないでぇー!!」

たまらず駆け出す私。
すると亡者に扮した人々も走って追いかけてくる。ついでに地面からボロボロの服を着た亡者も這い出してきた。

「キャアアアアア!!」

彼らはやはり全員、カブを被っているが……まるでドクロにしか見えない。

「いやああああ!! 誰か、助けてー!」

自分で腰を抜かさなかったことを褒めてやりたい。足場の悪い墓場の中を逃げ惑い……

「あ!!」

突如、足元に落とし穴でもあったのだろうか。私は穴から落下していく。

「キャアアアアア――!!」

私は穴に吸い込まれ……意識を失った――



****

「……里、美里!!」

誰かが私を呼んでいる……

「うぅ~ん……」

唸りながら目を開けて驚いた。何と三人の友人たちが私を囲んで見下ろしているからだ。見ると、彼女たちの目には涙が浮かんでいる。

「あれ……どうしたの? 皆」

ムクリと起き上がると、突然ひかりが抱きついてきた。

「バカ!! どれだけ心配したと思っているのよ!!」

「え? え?」

すると涙ぐみながら七菜が説明してくれた。どうやら私は信号無視した車に突っ込まれて轢かれそうになったらしい。
そこを一人の男性が私を強く突き飛ばしてくれたお陰で、車にぶつからずにそんだそうだ。
ただ、転んだとき脳震盪を起こしたらしく……病院に緊急搬送されてきた……らしい。

「そうだったんだ……ごめんね。皆……せっかくのカボチャパーティー台無しにしちゃって……」

うなだれて謝る。

「いいのよ、それくらい。カボチャパーティーならいつだって出来るもの」

真帆の言葉に皆が頷く。

「ねぇ。そのことなんだけど……私もそのパーティー、参加してもいいかな?」

「ええ!! 嘘でしょう!!」
「だってカボチャだよ!」
「カボチャ、嫌いだったよね!?」

「う~ん……それが……カボチャ、あってもいいかな~って思ったんだよね」

アレは夢だったけれども、カボチャが無いと大変だということが分かった。これから好きになって見るように努力しよう。
そこでふと、あることに気付いた。

「あれ? そう言えば私を助けてくれた人って……」

「うん、その人なら病室の外で待ってるよ。何でも自分が突き飛ばしたせいで脳震盪を起こしたなら、責任を感じるからって」

七菜が教えてくれた。

「あ、そうなんだ……」

「ちょっとまっててね。呼んでくるから」

ひかりが部屋を出ていく。

「ふふふ……その助けてくれた人ってね……とっても素敵な人なんだから」

真帆が笑みを浮かべる。

「ふ~ん……」

そこまで話したとき。

「良かった、目が冷めたのですね?」

部屋の中に現れた人物を見て、私は目を見開いた。

「王子……様……?」

「え?」

怪訝そうに首を傾げるスーツ姿の男性。

その姿は、あの世界にいた王子様その人だったからだ。

「目が覚めて良かったです。それにカボチャも受け入れられるようになったようですね?」

「え……?」

そして彼は意味深な目で私を見つめ……笑みを浮かべるのだった――


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