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第2章 1 オスカーとレイフ
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「アイリス、式が終わった。一緒にクラス編成の掲示板を見に行かないか?」
式が終わり、学生たちがぞろぞろと大聖堂を出て行く様子を見ながらレイフが声を掛けてきた。
「ええ、そうね。」
私は答えたが、本当は自分もレイフもAクラスだと言う事を知っている。そして・・オスカーとタバサも・・・。
2人で一緒に大聖堂を出て渡り廊下を通り、掲示板が張られている校舎へ向かって歩いていると背後から声を掛けられた。
「おい、アイリス・イリヤッ!」
その高圧的な呼び方は・・・。
振り向くとそこに立っていたのは赤く燃えるような髪色のオスカーが腕組みをして立っていた。
「あ・・・貴方は・・・。」
当然私の幼馴染であり、王宮の騎士になるレイフはオスカーの顔を知っている。
「ウィンザード王太子様、お初にお目にかかります。私は・・。」
するとオスカーは言った。
「堅苦しい挨拶などいらん。お前のファーストネームを教えろ。」
「は、はい。レイフと申します。この度、アカデミーに入学と同時に王宮騎士になりました。どうぞよろしくお願い致します。」
「同じクラスメイトなんだからそんな他人行儀な態度を取る必要は無い。大体、俺は王族のはみ出し者だからな。」
フンと鼻を鳴らすと、今度はジロリと私を見ると言った。
「アイリス・イリヤ。行くぞ。」
「え・・?行くとは・・一体何所へ行くのでしょう?」
何の事か分からず首を傾げるとオスカーは苛立ちを隠しながら言った。
「決まっているだろう?今からクラス発表があるんだ。見に行くぞ。」
そしてオスカーはレイフを一瞥すると言った。
「お前も一緒に来るか?」
レイフは一瞬躊躇ったが、相手がこれから自分が仕える王太子なので誘いを断るわけにはいかないと思ったのか、返事をした。
「はい、是非ご一緒させて頂きます。」
そして私たちは一列に並んで歩き始めた。
「・・・。」
前を黙って歩くオスカーの後ろ姿を私は信じられない思いで見つめていた。70年前は血まみれで正門に立っていたオスカーに怯えた私を見て激怒して去って行き、その日は一度も声を掛けて来る事など無かったのに、今回オスカーは私に一緒にクラス発表を見に行こうと声を掛けてきたのだから驚きだ。
その時、不意にオスカーがピタリと足を止め、振り返って私を見た。
「おい、アイリス・イリヤ。」
「はい。」
「何故お前は俺の後ろを歩いているのだ?」
オスカーはじっと私の目を見つめながら尋ねてきた。
「は、はい・・。それはオスカー様の隣を歩くのは失礼かと思いまして・・。」
70年前の私は決してオスカーの隣を歩くことを許された事は無かった。
「何故そう思うのだ?」
オスカーは少し声のトーンを落として尚も尋ねて来る。
「・・・。」
私はオスカーの質問に固まってしまった。今までのオスカーは私の話などまともに聞こうとした事は無かったからだ。
「オスカー様は・・・王族でいらっしゃいますから・・。」
少し考えて私は答えた。するとオスカーは眉をひそめると言った。
「だが、お前は今のところは一応俺の婚約者だろう?」
「はい、そうです。」
「なら俺の隣を歩け。」
「・・・。」
またしても私はオスカーの言葉に驚いた。彼の隣を歩けたのはタバサ・オルフェンだけだったはずなのに・・・。
「どうした?早く俺の隣に来い。」
少し口調をイラつかせたオスカーに私は慌てて隣に行くと、オスカーを見上げた。
(これ以上・・・オスカーを怒らせない方が良さそうね・・・。)
そう思った私は笑みを浮かべた。
「どうした?何故笑う。」
「いえ、オスカー様の隣を歩く許可を頂けたからです。」
私は思ってもいない事を口にした。
「そ、そうか。ならこれからも俺の隣を歩け、分かったな。」
オスカーは私から視線を逸らせると言った。そしてレイフを見た。
「おい、レイフ・・・だったか?」
「はい、ウィンザード王太子様。」
するとオスカーは言った。
「やめろ、俺の事はオスカーと呼べ。・・俺はこの女に用があるから、お前先に行って俺達のクラスを確認して置け。」
「はい、かしこまりました。」
レイフは頭を下げると駆け足で校舎へと向かい、私とオスカーだけがその場に残されてしまった―。
式が終わり、学生たちがぞろぞろと大聖堂を出て行く様子を見ながらレイフが声を掛けてきた。
「ええ、そうね。」
私は答えたが、本当は自分もレイフもAクラスだと言う事を知っている。そして・・オスカーとタバサも・・・。
2人で一緒に大聖堂を出て渡り廊下を通り、掲示板が張られている校舎へ向かって歩いていると背後から声を掛けられた。
「おい、アイリス・イリヤッ!」
その高圧的な呼び方は・・・。
振り向くとそこに立っていたのは赤く燃えるような髪色のオスカーが腕組みをして立っていた。
「あ・・・貴方は・・・。」
当然私の幼馴染であり、王宮の騎士になるレイフはオスカーの顔を知っている。
「ウィンザード王太子様、お初にお目にかかります。私は・・。」
するとオスカーは言った。
「堅苦しい挨拶などいらん。お前のファーストネームを教えろ。」
「は、はい。レイフと申します。この度、アカデミーに入学と同時に王宮騎士になりました。どうぞよろしくお願い致します。」
「同じクラスメイトなんだからそんな他人行儀な態度を取る必要は無い。大体、俺は王族のはみ出し者だからな。」
フンと鼻を鳴らすと、今度はジロリと私を見ると言った。
「アイリス・イリヤ。行くぞ。」
「え・・?行くとは・・一体何所へ行くのでしょう?」
何の事か分からず首を傾げるとオスカーは苛立ちを隠しながら言った。
「決まっているだろう?今からクラス発表があるんだ。見に行くぞ。」
そしてオスカーはレイフを一瞥すると言った。
「お前も一緒に来るか?」
レイフは一瞬躊躇ったが、相手がこれから自分が仕える王太子なので誘いを断るわけにはいかないと思ったのか、返事をした。
「はい、是非ご一緒させて頂きます。」
そして私たちは一列に並んで歩き始めた。
「・・・。」
前を黙って歩くオスカーの後ろ姿を私は信じられない思いで見つめていた。70年前は血まみれで正門に立っていたオスカーに怯えた私を見て激怒して去って行き、その日は一度も声を掛けて来る事など無かったのに、今回オスカーは私に一緒にクラス発表を見に行こうと声を掛けてきたのだから驚きだ。
その時、不意にオスカーがピタリと足を止め、振り返って私を見た。
「おい、アイリス・イリヤ。」
「はい。」
「何故お前は俺の後ろを歩いているのだ?」
オスカーはじっと私の目を見つめながら尋ねてきた。
「は、はい・・。それはオスカー様の隣を歩くのは失礼かと思いまして・・。」
70年前の私は決してオスカーの隣を歩くことを許された事は無かった。
「何故そう思うのだ?」
オスカーは少し声のトーンを落として尚も尋ねて来る。
「・・・。」
私はオスカーの質問に固まってしまった。今までのオスカーは私の話などまともに聞こうとした事は無かったからだ。
「オスカー様は・・・王族でいらっしゃいますから・・。」
少し考えて私は答えた。するとオスカーは眉をひそめると言った。
「だが、お前は今のところは一応俺の婚約者だろう?」
「はい、そうです。」
「なら俺の隣を歩け。」
「・・・。」
またしても私はオスカーの言葉に驚いた。彼の隣を歩けたのはタバサ・オルフェンだけだったはずなのに・・・。
「どうした?早く俺の隣に来い。」
少し口調をイラつかせたオスカーに私は慌てて隣に行くと、オスカーを見上げた。
(これ以上・・・オスカーを怒らせない方が良さそうね・・・。)
そう思った私は笑みを浮かべた。
「どうした?何故笑う。」
「いえ、オスカー様の隣を歩く許可を頂けたからです。」
私は思ってもいない事を口にした。
「そ、そうか。ならこれからも俺の隣を歩け、分かったな。」
オスカーは私から視線を逸らせると言った。そしてレイフを見た。
「おい、レイフ・・・だったか?」
「はい、ウィンザード王太子様。」
するとオスカーは言った。
「やめろ、俺の事はオスカーと呼べ。・・俺はこの女に用があるから、お前先に行って俺達のクラスを確認して置け。」
「はい、かしこまりました。」
レイフは頭を下げると駆け足で校舎へと向かい、私とオスカーだけがその場に残されてしまった―。
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