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第3章 14 恐ろしい情景
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「オスカー様・・・。大丈夫ですか・・・?」
私はオスカーが横たわっているベッドに近付くと声を掛けた。するとオスカーは薄目を開けて私を見た。
「お前には・・・大丈夫そうに・・見える・・か・・?」
「見えません・・・見えるはずありません!」
首を振って答えた。
「そうか・・・お前の目にも・・・俺は・・大丈夫そうには・・見えない・・か・・・。だが・・お前を・・助ける事が出来て・・・良かった・・。」
額に汗を浮かべ、苦し気に口元に笑みを浮かべながらオスカーは言った。
「!」
その言葉を聞いた私は酷く動揺してしまった。何故・・オスカーは・・・そんな事を言うのだろう?70年前・・・婚約式の日に私を閉じ込め、タバサと婚約式を挙げたのに?酷い暴力の挙句・・・私を死ぬまで流刑島へ流したのに・・?
やはりあの時のオスカーは・・・影武者だったのだろうか?私は今のオスカーを・・信じてもいいのだろうか・・?
「オスカー様・・・。」
私は指輪のはめた右手でオスカーの左腕に纏わりつく黒いモヤに触れた。
途端に頭の中に恐ろしい情景が流れ込んできた。
枯れ木だらけの光景・・・空は真っ赤に染まり、カラスがギャアギャアと鳴いている。遠くにシルエットとして浮かび上がるは不気味な印象を醸し出した恐ろしい城・・・。
そして眼前にはどす黒い血だまりの中から人の姿をかたどった真っ黒な靄がゆらゆらと動めいている。
< 呪われろ・・・呪いに蝕まれ・・・狂い死にしろ・・・そして・・・早く・・・その肉体を寄こせ・・!>
まるで心臓を凍り付かせるかのような恐ろしい声が頭の中に響き渡った。
「キャアアアッ!!」
私は思わず悲鳴を上げ、咄嗟にオスカーの身体から手を離した。
途端に先程の映像はブツリと消え、そして先程と同じ部屋の光景が目に入った。
「ど・・・どうし・・た・・?アイ・・リス・・。」
荒い呼吸を吐きながらオスカーが私を見る。
「オスカー様・・・い、今のは・・・?」
「何だ・・?今のは・・と言うのは・・・?何か・・・見えたのか・・・?」
「あ・・・そ、それは・・・。!そんな事よりも・・・オスカー様っ!何故このような事になってしまったのですか?元に戻す方法はあるのですか?!」
黒い靄は又少し大きくなったように見える。先程は左腕の傷を負った部分だけだったのだが、今は傷の大きさを超えた範囲まで黒い靄が広がっている。
「お前を襲おうとした・・・獣・・・。あれは・・・俺の飼い犬達から分裂した・・・呪いに侵された陰だ・・・。あれにやられると・・只では済まない・・と聞かされている・・。」
「え・・・?」
呪い・・?分裂・・?私には何の事かさっぱり分からなかった。それでは・・・あの獣をけしかけたオスカーも・・今目の前にいるオスカーの・・陰なのだろうか・・?
いや、今はそんな事よりも・・・!
「オスカー様、どうすればオスカー様を助ける事が出来るのでしょうかっ?!」
「え・・・俺を・・助け・・・る・・?何故・・?」
オスカーは私の発言が信じられないとでも言わんばかりの顔でこちらを見つめた。
「何故かと尋ねられるのですか?理由なんて簡単です。オスカー様は私を助けて下さいました。そしてこのような傷を負われたのですよ?私のせいで・・・目の前に苦しんでいる方がいれば助けたいと思うのは・・当然の事ではありませんかっ!」
「ア・・アイリス・・・ほ、方法が無い・・・訳ではない・・・だが・・。」
オスカーは苦し気に私を見つめ、言葉を切った。
「方法があるのなら・・・教えて下さいっ!」
私は力強く言うと、ついにオスカーは観念したかのように口を開いた。
「父なら・・・。」
「え?」
「恐らく・・俺の父なら・・・方法を知ってるはず・・・。」
そこまで言うと、オスカーは気を失ってしまった。
「オスカー様・・?オスカー様っ!」
オスカーの顔色はすっかり血の気が失せている。大変だ・・・っ!
「だ、誰かっ!オスカー様がっ!」
私は廊下に転げるように飛び出ると叫んだ。するとどこからともなく数名の兵士達が現れた。
「どうされたのですかっ?!」
1人の兵士が尋ねてきた。
「あ・・・オスカー様が・・・っ!」
「!」
私の言葉に兵士たちは部屋の中へ飛び込んで行った。私は震える肩を抱きしめて、床にペタリと座り込んでしまった。
すると、近くに人の気配を感じて顔を上げた。そこには先程私を案内したメイド長が立っていた。
「!あ、貴女は・・・?」
しかし、メイド長は表情を変えずに廊下に座り込んでしまった私を見降ろして言う。
「陛下がお待ちです・・。いらして頂けますね?」
私は覚悟を決めて、立ち上がると頷いた―。
私はオスカーが横たわっているベッドに近付くと声を掛けた。するとオスカーは薄目を開けて私を見た。
「お前には・・・大丈夫そうに・・見える・・か・・?」
「見えません・・・見えるはずありません!」
首を振って答えた。
「そうか・・・お前の目にも・・・俺は・・大丈夫そうには・・見えない・・か・・・。だが・・お前を・・助ける事が出来て・・・良かった・・。」
額に汗を浮かべ、苦し気に口元に笑みを浮かべながらオスカーは言った。
「!」
その言葉を聞いた私は酷く動揺してしまった。何故・・オスカーは・・・そんな事を言うのだろう?70年前・・・婚約式の日に私を閉じ込め、タバサと婚約式を挙げたのに?酷い暴力の挙句・・・私を死ぬまで流刑島へ流したのに・・?
やはりあの時のオスカーは・・・影武者だったのだろうか?私は今のオスカーを・・信じてもいいのだろうか・・?
「オスカー様・・・。」
私は指輪のはめた右手でオスカーの左腕に纏わりつく黒いモヤに触れた。
途端に頭の中に恐ろしい情景が流れ込んできた。
枯れ木だらけの光景・・・空は真っ赤に染まり、カラスがギャアギャアと鳴いている。遠くにシルエットとして浮かび上がるは不気味な印象を醸し出した恐ろしい城・・・。
そして眼前にはどす黒い血だまりの中から人の姿をかたどった真っ黒な靄がゆらゆらと動めいている。
< 呪われろ・・・呪いに蝕まれ・・・狂い死にしろ・・・そして・・・早く・・・その肉体を寄こせ・・!>
まるで心臓を凍り付かせるかのような恐ろしい声が頭の中に響き渡った。
「キャアアアッ!!」
私は思わず悲鳴を上げ、咄嗟にオスカーの身体から手を離した。
途端に先程の映像はブツリと消え、そして先程と同じ部屋の光景が目に入った。
「ど・・・どうし・・た・・?アイ・・リス・・。」
荒い呼吸を吐きながらオスカーが私を見る。
「オスカー様・・・い、今のは・・・?」
「何だ・・?今のは・・と言うのは・・・?何か・・・見えたのか・・・?」
「あ・・・そ、それは・・・。!そんな事よりも・・・オスカー様っ!何故このような事になってしまったのですか?元に戻す方法はあるのですか?!」
黒い靄は又少し大きくなったように見える。先程は左腕の傷を負った部分だけだったのだが、今は傷の大きさを超えた範囲まで黒い靄が広がっている。
「お前を襲おうとした・・・獣・・・。あれは・・・俺の飼い犬達から分裂した・・・呪いに侵された陰だ・・・。あれにやられると・・只では済まない・・と聞かされている・・。」
「え・・・?」
呪い・・?分裂・・?私には何の事かさっぱり分からなかった。それでは・・・あの獣をけしかけたオスカーも・・今目の前にいるオスカーの・・陰なのだろうか・・?
いや、今はそんな事よりも・・・!
「オスカー様、どうすればオスカー様を助ける事が出来るのでしょうかっ?!」
「え・・・俺を・・助け・・・る・・?何故・・?」
オスカーは私の発言が信じられないとでも言わんばかりの顔でこちらを見つめた。
「何故かと尋ねられるのですか?理由なんて簡単です。オスカー様は私を助けて下さいました。そしてこのような傷を負われたのですよ?私のせいで・・・目の前に苦しんでいる方がいれば助けたいと思うのは・・当然の事ではありませんかっ!」
「ア・・アイリス・・・ほ、方法が無い・・・訳ではない・・・だが・・。」
オスカーは苦し気に私を見つめ、言葉を切った。
「方法があるのなら・・・教えて下さいっ!」
私は力強く言うと、ついにオスカーは観念したかのように口を開いた。
「父なら・・・。」
「え?」
「恐らく・・俺の父なら・・・方法を知ってるはず・・・。」
そこまで言うと、オスカーは気を失ってしまった。
「オスカー様・・?オスカー様っ!」
オスカーの顔色はすっかり血の気が失せている。大変だ・・・っ!
「だ、誰かっ!オスカー様がっ!」
私は廊下に転げるように飛び出ると叫んだ。するとどこからともなく数名の兵士達が現れた。
「どうされたのですかっ?!」
1人の兵士が尋ねてきた。
「あ・・・オスカー様が・・・っ!」
「!」
私の言葉に兵士たちは部屋の中へ飛び込んで行った。私は震える肩を抱きしめて、床にペタリと座り込んでしまった。
すると、近くに人の気配を感じて顔を上げた。そこには先程私を案内したメイド長が立っていた。
「!あ、貴女は・・・?」
しかし、メイド長は表情を変えずに廊下に座り込んでしまった私を見降ろして言う。
「陛下がお待ちです・・。いらして頂けますね?」
私は覚悟を決めて、立ち上がると頷いた―。
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