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第6章 2 現れないオスカー
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結局・・この日は時間になってもオスカーがイリヤ家に現れる事は無かった。
「オスカー様・・・。」
ひょっとすると・・今オスカーは・・『エルトリアの呪い』に侵されたオスカーになっているのだろうか?だから・・女神像を祭っているこのイリヤ家に姿を現す事が出来ない・・?
「アイリス様・・・。」
エントランスでオスカーの迎えを待っている私の背後ではリリーが心配そうに私を見守っている。
私は溜息をつくと言った。
「リリー・・。オスカー様は・・多分もう来られないと思うわ。だから今日はイリヤ家の馬車で行くから用意して貰える?」
「はい、かしこまりました。」
リリーは頭を下げるとパタパタと走り去って行った。リリーが去った後、私はエントランスのドアを開けて、外へと出た。庭園へと続く広々としたアプローチに出て待っていると、やがて1台の馬車がこちらへ向かってくると私の前で止った。
「アイリス様。お待たせ致しました。」
御者台から男性が降りてくると帽子を取り、挨拶をしてきた。
「お迎えありがとう、それではアカデミーまで送って下さる?」
「はい、かしこまりました。アイリス様。」
私は馬車に乗り込むと憂鬱な気分でアカデミーへと向かった。
約40分後―
馬車は走り続け、アカデミーへと到着した。御者の男性が馬車のドアを開けて手を差し伸べてくれる。私は手を取り、降りると彼は言った。
「アイリス様。それでは帰りも御迎えに参りますね。」
「ええ、よろしくお願いするわ。」
そして私は教室へと向かった―。
「・・・。」
教室へ着くと私は中へ入る前にそっと覗き込んだ。・・・オスカーはまだ来ていない。そしてレイフは・・・。
その時、背後から肩をポンと叩かれた。
「キャアッ!」
思わず驚いて悲鳴を上げると、驚いた声が聞こえてきた。
「おいおい、アイリス・・・驚かせるなよ。」
その声に振り向くと、おどけた顔をして立っていたのはエドワードだった。
「あ・・・エ、エドワード・・・お願いだから・・驚かせないで頂戴・・。」
胸を撫で下ろしながらエドワードを見ると彼は不思議そうな顔で私を見る。
「いや・・・教室にも入らずに何をしているかと思って肩を叩いたのだが・・・すまない、アイリス。驚かせてしまったか?」
「え、ええ・・・。ほんの少し・・ね・・。」
エドワードと廊下で会話をしている間にも次々と学生たちが現れて教室の中へと入って行く。
「どうして教室の中へ入らないんだ?」
「え、ええ・・・それは・・。」
その時―
私の背後で聞きなれた声が聞こえた。
「おはよう、エドワード。」
慌てて振り向くとそこには後ろにタバサを伴ったレイフが背後に立っていた。
「お、おはよう・・レイフ。」
私は声を掛けるもレイフは冷たい瞳で私を一瞥するのみだった。そしてレイフの背後には何故か勝ち誇ったような顔つきのタバサがいる。
「あ、ああ。おはよう、レイフ。」
エドワードは心配そうな顔つきで私をチラリと見た。やはりレイフが私を無視しているのが気になったのだろう。
だけど・・こんなことは私は想定無内だった。何故なら70年前にも同じ経験をしていたから・・・。あの時は突然レイフの態度が豹変して、驚きと戸惑いがあったが・・今なら分かる。昨日レイフはタバサの手の甲にキスをし、忠誠を誓っていた。
もうレイフは・・タバサの手に堕ちてしまったのかもしれない。
「教室へ入ろう。エドワード。」
レイフはエドワードに声を掛けると、タバサを連れて私の傍をすり抜けて教室の中へと入って行った―。
「オスカー様・・・。」
ひょっとすると・・今オスカーは・・『エルトリアの呪い』に侵されたオスカーになっているのだろうか?だから・・女神像を祭っているこのイリヤ家に姿を現す事が出来ない・・?
「アイリス様・・・。」
エントランスでオスカーの迎えを待っている私の背後ではリリーが心配そうに私を見守っている。
私は溜息をつくと言った。
「リリー・・。オスカー様は・・多分もう来られないと思うわ。だから今日はイリヤ家の馬車で行くから用意して貰える?」
「はい、かしこまりました。」
リリーは頭を下げるとパタパタと走り去って行った。リリーが去った後、私はエントランスのドアを開けて、外へと出た。庭園へと続く広々としたアプローチに出て待っていると、やがて1台の馬車がこちらへ向かってくると私の前で止った。
「アイリス様。お待たせ致しました。」
御者台から男性が降りてくると帽子を取り、挨拶をしてきた。
「お迎えありがとう、それではアカデミーまで送って下さる?」
「はい、かしこまりました。アイリス様。」
私は馬車に乗り込むと憂鬱な気分でアカデミーへと向かった。
約40分後―
馬車は走り続け、アカデミーへと到着した。御者の男性が馬車のドアを開けて手を差し伸べてくれる。私は手を取り、降りると彼は言った。
「アイリス様。それでは帰りも御迎えに参りますね。」
「ええ、よろしくお願いするわ。」
そして私は教室へと向かった―。
「・・・。」
教室へ着くと私は中へ入る前にそっと覗き込んだ。・・・オスカーはまだ来ていない。そしてレイフは・・・。
その時、背後から肩をポンと叩かれた。
「キャアッ!」
思わず驚いて悲鳴を上げると、驚いた声が聞こえてきた。
「おいおい、アイリス・・・驚かせるなよ。」
その声に振り向くと、おどけた顔をして立っていたのはエドワードだった。
「あ・・・エ、エドワード・・・お願いだから・・驚かせないで頂戴・・。」
胸を撫で下ろしながらエドワードを見ると彼は不思議そうな顔で私を見る。
「いや・・・教室にも入らずに何をしているかと思って肩を叩いたのだが・・・すまない、アイリス。驚かせてしまったか?」
「え、ええ・・・。ほんの少し・・ね・・。」
エドワードと廊下で会話をしている間にも次々と学生たちが現れて教室の中へと入って行く。
「どうして教室の中へ入らないんだ?」
「え、ええ・・・それは・・。」
その時―
私の背後で聞きなれた声が聞こえた。
「おはよう、エドワード。」
慌てて振り向くとそこには後ろにタバサを伴ったレイフが背後に立っていた。
「お、おはよう・・レイフ。」
私は声を掛けるもレイフは冷たい瞳で私を一瞥するのみだった。そしてレイフの背後には何故か勝ち誇ったような顔つきのタバサがいる。
「あ、ああ。おはよう、レイフ。」
エドワードは心配そうな顔つきで私をチラリと見た。やはりレイフが私を無視しているのが気になったのだろう。
だけど・・こんなことは私は想定無内だった。何故なら70年前にも同じ経験をしていたから・・・。あの時は突然レイフの態度が豹変して、驚きと戸惑いがあったが・・今なら分かる。昨日レイフはタバサの手の甲にキスをし、忠誠を誓っていた。
もうレイフは・・タバサの手に堕ちてしまったのかもしれない。
「教室へ入ろう。エドワード。」
レイフはエドワードに声を掛けると、タバサを連れて私の傍をすり抜けて教室の中へと入って行った―。
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