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第7章 4 芽生える気持ち
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「あの・・・私、その女性の事・・・知ってます。」
私は右手をおずおずと上げながら言った。するとその場にいた全員の視線が注がれる。
「アイリス様・・何故その女性の事を・・?まだこちらにはその女性に対しての情報が一切無いと言うのに・・・。」
ヴィンサントが尋ねてきた。
「ええ。水色の髪の女性ですよね?この世界で私は水色の髪の人はその女性しか今までお目にかかった事はありません。彼女の名前はタバサ・オルフェンと言います。私やオスカー様と同じアカデミーの学生なのです。彼女はまだ新入生にも関わらず、聖歌隊のメンバーで・・・そしてオスカー様に・・随分ご執心されていました・・。」
入学式早々、オスカーにまとわりついていたタバサ・・・。そして70年前・・私は目の前で婚約を破棄され・・オスカーとタバサは婚約発表をした・・・。
ズキリ
何故かその事を思い出した時、私の胸が痛んだ。
「え・・?」
何故だろう・・オスカーとタバサ・・2人が一緒にいた姿を思い出しただけで胸がずきずきと痛くなる。・・こんな感覚初めてだ。
「アイリス様・・・いかがされたのですか?」
アルマンゾが心配そうに声を掛けてきてくれた。
「いえ・・・大丈夫です・・。」
しかし、シモンが言った。
「アイリス様、顔色が悪いです・・やはりお疲れなのでしょう。それにお腹もすいていらっしゃるのではないですか?大した食事は用意できませんが・・・スープ位ならご用意できますが、いかがいたしますか?」
「食事・・・。」
言われてみれば今朝の朝食以来水も口にしていないことに気が付いた。だが・・・。
「そうだわ、そう言えば・・オスカー様は?オスカー様はどうなったのですか?!」
私は偵察に行っていたヴィンサントに尋ねた。
「それが・・オスカー様を探したのですが・・。お姿を確認できませんでした。」
「そ、そんな・・・まさか見つけられなかったのですかっ?!それでは無事かどうかも分からないと言う事ですよね?!」
私はつい声を荒げてしまった。
「はい・・その通りでございます。その内・・私の身が危なくなってきたので・・・撤退してしまいました。本当に・・申し訳ございません。」
ヴィンサントは申し訳なさそうに頭を下げた。
「あ・・い、いえ。こちらこそ申し訳ございません。つい・・攻め立てるような口調で・・皆さん、一生懸命頑張っていらっしゃるのに・・・。」
恥ずかしさと申し訳なさで、私は俯いた。
「いえ・・・そんな事はありません。私たちは自分たちの不甲斐なさを恥じています。オスカー様は我らにとって太陽です。世間では酷い言われようをしておりますが・・それは全て『黒いオスカー』の仕業なのです。もう1人のオスカー様だって・・決して悪い方ではありません。」
穏やかな口調でシモンが語る。
「それにしても良かったです。オスカー様とアイリス様は政略結婚相手でしたが・・オスカー様はずっとアイリス様に恋をしておりました。でも今のアイリス様のご様子をみる限りでは・・・オスカー様の片思いでは無かったのですね。アイリス様も・・同じ気持ちだったのですね。」
「え・・?」
アルマンゾが笑みを浮かべながら言う。そしてその言葉に素早くヘルマンとシモンが反応した。
「おい!アルマンゾッ!」
「アイリス様に何て失礼なことを言うのだっ!」
ヘルマンとシモンに交互に責められるアルマンゾ。
「す、すまんっ!つ・つい・・アイリス様のご様子から俺はてっきり・・!大変申し訳ございませんでした!」
アルマンゾは頭を下げてきた。
「い、いえ・・・どうか頭を上げてください。」
何度も頭を下げてくるアルマンゾに私は声を掛けると、やっと彼は顔を上げてくれた。
だけど・・・私はオスカーの事をどう思っているのだろうか?
オスカーに触れられても別に嫌な気分にならなかった。70年前からこの時代に戻ってきたばかりの時はオスカーに怯えていたが・・今ではそんな感情も持っていない。
ひょっとして・・私はオスカーの事を好きなのだろうか・・・?
私は自分の心が分からずにいた―。
私は右手をおずおずと上げながら言った。するとその場にいた全員の視線が注がれる。
「アイリス様・・何故その女性の事を・・?まだこちらにはその女性に対しての情報が一切無いと言うのに・・・。」
ヴィンサントが尋ねてきた。
「ええ。水色の髪の女性ですよね?この世界で私は水色の髪の人はその女性しか今までお目にかかった事はありません。彼女の名前はタバサ・オルフェンと言います。私やオスカー様と同じアカデミーの学生なのです。彼女はまだ新入生にも関わらず、聖歌隊のメンバーで・・・そしてオスカー様に・・随分ご執心されていました・・。」
入学式早々、オスカーにまとわりついていたタバサ・・・。そして70年前・・私は目の前で婚約を破棄され・・オスカーとタバサは婚約発表をした・・・。
ズキリ
何故かその事を思い出した時、私の胸が痛んだ。
「え・・?」
何故だろう・・オスカーとタバサ・・2人が一緒にいた姿を思い出しただけで胸がずきずきと痛くなる。・・こんな感覚初めてだ。
「アイリス様・・・いかがされたのですか?」
アルマンゾが心配そうに声を掛けてきてくれた。
「いえ・・・大丈夫です・・。」
しかし、シモンが言った。
「アイリス様、顔色が悪いです・・やはりお疲れなのでしょう。それにお腹もすいていらっしゃるのではないですか?大した食事は用意できませんが・・・スープ位ならご用意できますが、いかがいたしますか?」
「食事・・・。」
言われてみれば今朝の朝食以来水も口にしていないことに気が付いた。だが・・・。
「そうだわ、そう言えば・・オスカー様は?オスカー様はどうなったのですか?!」
私は偵察に行っていたヴィンサントに尋ねた。
「それが・・オスカー様を探したのですが・・。お姿を確認できませんでした。」
「そ、そんな・・・まさか見つけられなかったのですかっ?!それでは無事かどうかも分からないと言う事ですよね?!」
私はつい声を荒げてしまった。
「はい・・その通りでございます。その内・・私の身が危なくなってきたので・・・撤退してしまいました。本当に・・申し訳ございません。」
ヴィンサントは申し訳なさそうに頭を下げた。
「あ・・い、いえ。こちらこそ申し訳ございません。つい・・攻め立てるような口調で・・皆さん、一生懸命頑張っていらっしゃるのに・・・。」
恥ずかしさと申し訳なさで、私は俯いた。
「いえ・・・そんな事はありません。私たちは自分たちの不甲斐なさを恥じています。オスカー様は我らにとって太陽です。世間では酷い言われようをしておりますが・・それは全て『黒いオスカー』の仕業なのです。もう1人のオスカー様だって・・決して悪い方ではありません。」
穏やかな口調でシモンが語る。
「それにしても良かったです。オスカー様とアイリス様は政略結婚相手でしたが・・オスカー様はずっとアイリス様に恋をしておりました。でも今のアイリス様のご様子をみる限りでは・・・オスカー様の片思いでは無かったのですね。アイリス様も・・同じ気持ちだったのですね。」
「え・・?」
アルマンゾが笑みを浮かべながら言う。そしてその言葉に素早くヘルマンとシモンが反応した。
「おい!アルマンゾッ!」
「アイリス様に何て失礼なことを言うのだっ!」
ヘルマンとシモンに交互に責められるアルマンゾ。
「す、すまんっ!つ・つい・・アイリス様のご様子から俺はてっきり・・!大変申し訳ございませんでした!」
アルマンゾは頭を下げてきた。
「い、いえ・・・どうか頭を上げてください。」
何度も頭を下げてくるアルマンゾに私は声を掛けると、やっと彼は顔を上げてくれた。
だけど・・・私はオスカーの事をどう思っているのだろうか?
オスカーに触れられても別に嫌な気分にならなかった。70年前からこの時代に戻ってきたばかりの時はオスカーに怯えていたが・・今ではそんな感情も持っていない。
ひょっとして・・私はオスカーの事を好きなのだろうか・・・?
私は自分の心が分からずにいた―。
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