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第7章 10 自由都市『リーベルタース』
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「うっ・・・。」
アスターは膝をつくと、ハアハアと荒い息を吐いている。
「アスター、大丈夫?」
膝をついたアスターの身体を支えるようにして私は尋ねた。
「あ、ああ・・・だ、大丈夫だよ・・・。ただ、僕達精霊は・・・暗闇が苦手でね・・・。ある一定以上光の差さない地下にいると・・力が弱まってしまうんだよ。悪魔とは真逆の性質なんだ・・。」
「アスター。それならすぐに地上へ出ないと・・。」
するとアスターが言った。
「アイリス・・・恐らく・・あの様子では・・・暫くの間は・・あの悪魔は姿を現さないと・・思うんだ・・。だから少し僕は休ませてもらう・・ね・・・。」
青ざめたアスターは今にも倒れそうだ。
「ええ。アスター。貴方の言葉を信じるわ。だから・・・今はゆっくり休んで?」
「ありがとう・・・。」
そしてアスターは私の見ている前で身体がスーッと消えうせ・・光の粒のようになると指輪の中に吸い込まれていった。
「え・・?アスター。指輪の中に入って行ったの・・?」
しかし、もう私の問いには答えてはくれなかった・・・。
「う・・・。」
突然背後で倒れていたユリアナのうめき声が聞こえてきた。
「ユリアナっ?!」
私は急いで駆け寄るとユリアナがゆっくり目を開けた。
「あ・・・・アイリス様・・・わ、私は一体・・・?」
そして床に手を置くと、ユリアナはゆっくりと起き上がった。
「ユリアナ・・・何も覚えていないの・・?」
私の問いにユリアナは首を振った。
「は、はい・・申し訳ございません。この地下通路を途中まで歩いていた記憶はあるのですが、そこから先が覚えておりません・・・。」
「そう・・・。」
何も覚えていないのなら黙っていた方が良いだろう。仮にも神に仕える神官でありながら一瞬でも悪魔に身体を乗っ取られてしまった事を知ればユリアナはショックを受けるかもしれない。
「あの?アイリス様、どうされましたか?」
ユリアナが首を傾げて私を見る。
「い、いえ。何でもないの。それじゃ・・早く魔方陣へ向かいましょう。」
「はい、そうですね。」
そして再び私たちは地下通路を進み始めた―。
入り組んだ通路を何度も曲がり、私たちは一つの大きな空間に辿り着いた。そこは地面に大きな魔方陣が描かれており、青白い輝きを放っている。
「着きました。あれが魔方陣でございます。あの魔方陣からもう一つの私たちの隠れ家へと行くことが出来ます。では、参りましょう。」
「ええ・・そうね。行きましょう。」
ユリアナに促され、私たちは魔方陣の上に乗った。すると目の前の景色が一瞬グニャリと歪み、次に現れた景色は何処かの林の中だった。
木々の間からは月が見える。
「ユリアナ・・ここは?」
夜空を見上げながら尋ねるとユリアナが言った。
「ここは、『自由都市リーベルタース』でございます、アイリス様。」
「え・・?あのアカデミーのある・・・?」
「ええ、そうです。ここは何者も攻め入ることが出来ない不可侵条約の都市都市です。いくら国王だろうと、むやみにここを攻める事は不可能です。まさに理想の都市です。」
ユリアナの言葉を私はじっと聞いていた。そう言えば『リオス』は女神像によって守られた土地なのに・・・何故、悪魔に取りつかれたフリードリッヒ3世が姿を・・?ひょっとすると・・あそこは地下で光が届かない場所にある。それでフリードリッヒ3世が現れたのかもしれない。
「あの・・ユリアナ。今度の隠れ家も地下室にあるのかしら?」
「いえ、地上にあります。」
「そう・・なら良かった・・・。」
思わず安堵のため息が出た。地下でなければ再び私は悪魔に襲われることはないかもしれない。
「では、アイリス様。私たちの隠れ家へご案内致します。」
「ええ・・お願いします。」
こうして私はユリアナに導かれ、次の隠れ家へと向かった―。
アスターは膝をつくと、ハアハアと荒い息を吐いている。
「アスター、大丈夫?」
膝をついたアスターの身体を支えるようにして私は尋ねた。
「あ、ああ・・・だ、大丈夫だよ・・・。ただ、僕達精霊は・・・暗闇が苦手でね・・・。ある一定以上光の差さない地下にいると・・力が弱まってしまうんだよ。悪魔とは真逆の性質なんだ・・。」
「アスター。それならすぐに地上へ出ないと・・。」
するとアスターが言った。
「アイリス・・・恐らく・・あの様子では・・・暫くの間は・・あの悪魔は姿を現さないと・・思うんだ・・。だから少し僕は休ませてもらう・・ね・・・。」
青ざめたアスターは今にも倒れそうだ。
「ええ。アスター。貴方の言葉を信じるわ。だから・・・今はゆっくり休んで?」
「ありがとう・・・。」
そしてアスターは私の見ている前で身体がスーッと消えうせ・・光の粒のようになると指輪の中に吸い込まれていった。
「え・・?アスター。指輪の中に入って行ったの・・?」
しかし、もう私の問いには答えてはくれなかった・・・。
「う・・・。」
突然背後で倒れていたユリアナのうめき声が聞こえてきた。
「ユリアナっ?!」
私は急いで駆け寄るとユリアナがゆっくり目を開けた。
「あ・・・・アイリス様・・・わ、私は一体・・・?」
そして床に手を置くと、ユリアナはゆっくりと起き上がった。
「ユリアナ・・・何も覚えていないの・・?」
私の問いにユリアナは首を振った。
「は、はい・・申し訳ございません。この地下通路を途中まで歩いていた記憶はあるのですが、そこから先が覚えておりません・・・。」
「そう・・・。」
何も覚えていないのなら黙っていた方が良いだろう。仮にも神に仕える神官でありながら一瞬でも悪魔に身体を乗っ取られてしまった事を知ればユリアナはショックを受けるかもしれない。
「あの?アイリス様、どうされましたか?」
ユリアナが首を傾げて私を見る。
「い、いえ。何でもないの。それじゃ・・早く魔方陣へ向かいましょう。」
「はい、そうですね。」
そして再び私たちは地下通路を進み始めた―。
入り組んだ通路を何度も曲がり、私たちは一つの大きな空間に辿り着いた。そこは地面に大きな魔方陣が描かれており、青白い輝きを放っている。
「着きました。あれが魔方陣でございます。あの魔方陣からもう一つの私たちの隠れ家へと行くことが出来ます。では、参りましょう。」
「ええ・・そうね。行きましょう。」
ユリアナに促され、私たちは魔方陣の上に乗った。すると目の前の景色が一瞬グニャリと歪み、次に現れた景色は何処かの林の中だった。
木々の間からは月が見える。
「ユリアナ・・ここは?」
夜空を見上げながら尋ねるとユリアナが言った。
「ここは、『自由都市リーベルタース』でございます、アイリス様。」
「え・・?あのアカデミーのある・・・?」
「ええ、そうです。ここは何者も攻め入ることが出来ない不可侵条約の都市都市です。いくら国王だろうと、むやみにここを攻める事は不可能です。まさに理想の都市です。」
ユリアナの言葉を私はじっと聞いていた。そう言えば『リオス』は女神像によって守られた土地なのに・・・何故、悪魔に取りつかれたフリードリッヒ3世が姿を・・?ひょっとすると・・あそこは地下で光が届かない場所にある。それでフリードリッヒ3世が現れたのかもしれない。
「あの・・ユリアナ。今度の隠れ家も地下室にあるのかしら?」
「いえ、地上にあります。」
「そう・・なら良かった・・・。」
思わず安堵のため息が出た。地下でなければ再び私は悪魔に襲われることはないかもしれない。
「では、アイリス様。私たちの隠れ家へご案内致します。」
「ええ・・お願いします。」
こうして私はユリアナに導かれ、次の隠れ家へと向かった―。
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