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第9章 14 女神リオスの過去 ④
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瓦礫の下には地下へ続く階段があり、中は床も壁も天井も全て石造りの巨大な空洞になっていた。壁の至る所には松明が灯され、ぼんやりと何も無い空間を青白く照らしている。そしてその中には老若男女に子供たち・・合わせて数十人の人々が隠れていた。ある者は力なく横たわり・・またある者は壁を背に座り・・しかし、その誰もが疲れと憔悴の色を顔に滲ませている。中には逃げる途中に火傷でもしたのだろうか?赤く水膨れした肌の人物や、火傷で顔がただれてしまった人物もいる。
何て気の毒な・・私は目を伏せた。
「何処のどなたかは存じませぬが・・・瓦礫を取り除き、我らを助けていただいて感謝致します。」
兵士の姿をした若い男性がお礼を述べ、なぜこのような地下室があるのか説明してくれた。
実は、ここ『リーベルタース』は暴君として名高いエルトリア王が度々侵略戦争を行ってきた為に、諸外国から長年に渡り恨みを買っていた。その為、兵士が多く住むこの町は他国から襲われる機会が多く、人々を守る為に町の至る所に地下を掘り、避難所として活用してきたと言う。簡単な説明を終えた兵士は私に尋ねてきた。
「あの・・私の名前はポールと言います。貴女のお名前を教えて頂けないでしょうか?」
「名前?リオスです。」
「リオス・・何様でしょうか?」
「いえ、ただのリオスです。もう地上は先ほど大雨が降って全ての町の火は鎮火しました。外に出ても大丈夫ですよ。」
私が声を掛けると、兵士は笑顔になった。
「本当ですか?ありがとうございました!」
そして彼は振り向くと、背後にいる人々に大声で呼びかけた。
「皆!安心しろ!地上の火は全て消え失せたそうだ!すぐにここから出ようっ!」
兵士の言葉に、人々は立ち上がりぞろぞろと地上へ続く階段を上って行く。怪我を負った人々は無傷だった人々の手を借り・・ようやく全員が地上へ出た時には時間が大分経過していた。
本当なら今すぐにでもオスカーが向かったエルトリア城へ行きたかったが、目の前には多くの怪我人がいる。私にはそんな彼らをおいて愛する人の元へ向かう事は出来なかった。
「怪我をされた方は手を上げて下さい!今から順番に手当をしていきます。」
大きな声で呼びかけると、あちこちで手が挙げられた。私は一番怪我の状態が酷い人の元へ向かった。
「こ、これは・・。」
その人物は高齢男性であった。上半身は炎で焼かれ、服はボロボロになっている。背中は火傷で皮膚がめくれ、赤黒い血があちこちに滲んでいる。
「何て酷い・・・。」
私は呟くと、その老人にそっと手をかざして祈りを捧げた。すると・・老人の身体が光に包まれ・・・徐々に傷が治っていく。
「こ、これは・・・まさに神の奇跡だ・・・!」
集まった人々は私の力に驚き・・そして拝んだ。とうとう・・私は絶対に許されない罪を犯してしまった。それは・・人間の前で神の力を使う事。これで私は酷い罰を受ける事になるだろう。でも・目の前に怪我で苦しんでいる人たちがいる。それをただ黙って傍観するようなことは・・私には出来なかったのだ。
そして、私は全てのけが人を癒し・・・治療が終わった頃には全員が私の前で跪き・・・頭を下げていた―。
何て気の毒な・・私は目を伏せた。
「何処のどなたかは存じませぬが・・・瓦礫を取り除き、我らを助けていただいて感謝致します。」
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「いえ、ただのリオスです。もう地上は先ほど大雨が降って全ての町の火は鎮火しました。外に出ても大丈夫ですよ。」
私が声を掛けると、兵士は笑顔になった。
「本当ですか?ありがとうございました!」
そして彼は振り向くと、背後にいる人々に大声で呼びかけた。
「皆!安心しろ!地上の火は全て消え失せたそうだ!すぐにここから出ようっ!」
兵士の言葉に、人々は立ち上がりぞろぞろと地上へ続く階段を上って行く。怪我を負った人々は無傷だった人々の手を借り・・ようやく全員が地上へ出た時には時間が大分経過していた。
本当なら今すぐにでもオスカーが向かったエルトリア城へ行きたかったが、目の前には多くの怪我人がいる。私にはそんな彼らをおいて愛する人の元へ向かう事は出来なかった。
「怪我をされた方は手を上げて下さい!今から順番に手当をしていきます。」
大きな声で呼びかけると、あちこちで手が挙げられた。私は一番怪我の状態が酷い人の元へ向かった。
「こ、これは・・。」
その人物は高齢男性であった。上半身は炎で焼かれ、服はボロボロになっている。背中は火傷で皮膚がめくれ、赤黒い血があちこちに滲んでいる。
「何て酷い・・・。」
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そして、私は全てのけが人を癒し・・・治療が終わった頃には全員が私の前で跪き・・・頭を下げていた―。
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