14 / 20
第14話 例のアレ
しおりを挟む
「あ! 来てくれたんですね! 待っていましたよ!」
ハンスと2人で店内に入ると、私に声をかけてきた店員が駆け寄ってきた。
「言われた通りに伺いました。よろしくお願いします」
「いえ、こちらの方こそよろしくお願いします。まずはお食事でもいかがですか? そちらのお客様もご一緒に」
男性店員はハンスにも声をかける。
「はい! 是非!」
ちょうどお腹が空いてきた頃だし、無料で食事にありつけるなんて本当にラッキーだ。
「え? ぼ、僕も本当にいいんですか!?」
ハンスは驚いた様子で自分を指差す。
「ええ、勿論です。ではまず席にご案内します」
店員に案内された席は昨夜と同様カウンター席だった。そして好きなメニューを注文して良いと言われたので、私は遠慮するハンスの分まで注文した。
肉料理に魚料理、それに飲み物も忘れずに。
「おまちどうさま!」
テーブルの上に次から次へと料理が並べられていく。
「あの、本当に僕もご馳走になっていいの?」
ハンスは余程悪いと思っているのか、何度も私に尋ねてくる。
「いいに決まってるじゃないですか。ここはお店側の好意をありがたく頂戴しましょうよ」
「うん……そうだね……」
ハンスはようやく納得してくれたのか、料理の皿に手を伸ばした。
「……美味しい、家のシェフが作った料理は格式張った食事が多いけど……こっちの料理のほうが僕の口に合うよ!」
ハンスは目をキラキラさせる。やっぱりハンスはお金持ちのお坊っちゃまなのだ。何しろシェフが家にいるくらいなのだから。
「それは良かったですね。どんどん食べましょう」
「うん!」
私達は会話するのも忘れるくらい、夢中になって料理を食べ続け……あっという間にすべての料理を完食してしまった。
すると、そこへ見たことのない大柄な男性がカウンター越しに声をかけてきた。
「お嬢さんが、昨夜この店でマッチ棒ゲームを披露したお客様ですか?」
「ええ。そうですけど?」
途端に男性は笑顔になる。
「そうでしたか、やはりお嬢さんだったんですね? いや~驚きました。こんなに綺麗だったとは」
「あの、どちらさまですか?」
するとハンスが突然会話に割り込んできた。
「あぁ、これは失礼。私はこの店のオーナーです。昨夜はお嬢さんのお陰で店の売上が大幅にアップしたんですよ。それで今夜もお願いしたのです」
「え? そうだったのですか? す、すみません。失礼な態度を取ってしまって」
ハンスが顔を赤くして謝罪する。
「いえ、いいんですよ。いきなり話しかけられれば誰だって警戒するでしょう。お食事はいかがでしたか?」
「はい、とても美味しかったです。ご馳走になりました」
「僕までありがとうございました。本当に美味しかったです」
私がお礼を述べると、ハンスも続く。
「そう言ってもらえると光栄です。それで? そろそろ例のアレ……やっていただけますか?」
オーナーが意味深なセリフを言う。例のアレ……何だかやばそうな言い方だが、何のことかは分かっている。
「ええ、おまかせください!」
そして私は意気揚々とマッチ箱を取り出した――
ハンスと2人で店内に入ると、私に声をかけてきた店員が駆け寄ってきた。
「言われた通りに伺いました。よろしくお願いします」
「いえ、こちらの方こそよろしくお願いします。まずはお食事でもいかがですか? そちらのお客様もご一緒に」
男性店員はハンスにも声をかける。
「はい! 是非!」
ちょうどお腹が空いてきた頃だし、無料で食事にありつけるなんて本当にラッキーだ。
「え? ぼ、僕も本当にいいんですか!?」
ハンスは驚いた様子で自分を指差す。
「ええ、勿論です。ではまず席にご案内します」
店員に案内された席は昨夜と同様カウンター席だった。そして好きなメニューを注文して良いと言われたので、私は遠慮するハンスの分まで注文した。
肉料理に魚料理、それに飲み物も忘れずに。
「おまちどうさま!」
テーブルの上に次から次へと料理が並べられていく。
「あの、本当に僕もご馳走になっていいの?」
ハンスは余程悪いと思っているのか、何度も私に尋ねてくる。
「いいに決まってるじゃないですか。ここはお店側の好意をありがたく頂戴しましょうよ」
「うん……そうだね……」
ハンスはようやく納得してくれたのか、料理の皿に手を伸ばした。
「……美味しい、家のシェフが作った料理は格式張った食事が多いけど……こっちの料理のほうが僕の口に合うよ!」
ハンスは目をキラキラさせる。やっぱりハンスはお金持ちのお坊っちゃまなのだ。何しろシェフが家にいるくらいなのだから。
「それは良かったですね。どんどん食べましょう」
「うん!」
私達は会話するのも忘れるくらい、夢中になって料理を食べ続け……あっという間にすべての料理を完食してしまった。
すると、そこへ見たことのない大柄な男性がカウンター越しに声をかけてきた。
「お嬢さんが、昨夜この店でマッチ棒ゲームを披露したお客様ですか?」
「ええ。そうですけど?」
途端に男性は笑顔になる。
「そうでしたか、やはりお嬢さんだったんですね? いや~驚きました。こんなに綺麗だったとは」
「あの、どちらさまですか?」
するとハンスが突然会話に割り込んできた。
「あぁ、これは失礼。私はこの店のオーナーです。昨夜はお嬢さんのお陰で店の売上が大幅にアップしたんですよ。それで今夜もお願いしたのです」
「え? そうだったのですか? す、すみません。失礼な態度を取ってしまって」
ハンスが顔を赤くして謝罪する。
「いえ、いいんですよ。いきなり話しかけられれば誰だって警戒するでしょう。お食事はいかがでしたか?」
「はい、とても美味しかったです。ご馳走になりました」
「僕までありがとうございました。本当に美味しかったです」
私がお礼を述べると、ハンスも続く。
「そう言ってもらえると光栄です。それで? そろそろ例のアレ……やっていただけますか?」
オーナーが意味深なセリフを言う。例のアレ……何だかやばそうな言い方だが、何のことかは分かっている。
「ええ、おまかせください!」
そして私は意気揚々とマッチ箱を取り出した――
85
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お妃さま誕生物語
すみれ
ファンタジー
シーリアは公爵令嬢で王太子の婚約者だったが、婚約破棄をされる。それは、シーリアを見染めた商人リヒトール・マクレンジーが裏で糸をひくものだった。リヒトールはシーリアを手に入れるために貴族を没落させ、爵位を得るだけでなく、国さえも手に入れようとする。そしてシーリアもお妃教育で、世界はきれいごとだけではないと知っていた。
小説家になろうサイトで連載していたものを漢字等微修正して公開しております。
聖女は聞いてしまった
夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」
父である国王に、そう言われて育った聖女。
彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。
聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。
そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。
旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。
しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。
ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー!
※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
イジメられっ子は悪役令嬢( ; ; )イジメっ子はヒロイン∑(゚Д゚)じゃあ仕方がないっ!性格が悪くても(⌒▽⌒)
音無砂月
ファンタジー
公爵令嬢として生まれたレイラ・カーティスには前世の記憶がある。
それは自分がとある人物を中心にイジメられていた暗黒時代。
加えて生まれ変わった世界は従妹が好きだった乙女ゲームと同じ世界。
しかも自分は悪役令嬢で前世で私をイジメていた女はヒロインとして生まれ変わっていた。
そりゃないよ、神様。・°°・(>_<)・°°・。
*内容の中に顔文字や絵文字が入っているので苦手な方はご遠慮ください。
尚、その件に関する苦情は一切受け付けませんので予めご了承ください。
醜悪令息レオンの婚約
オータム
ファンタジー
醜悪な外見ゆえに誰からも恐れられ、避けられてきたレオン。
ある日、彼は自分が前世で遊んでいたシミュレーションRPGの世界に転生しており、
しかも“破滅が確定している悪役令嬢の弟”として生きていることに気付く。
このままでは、姉が理不尽な運命に呑まれてしまう。
怪しまれ、言葉を信じてもらえなくとも、レオンはただ一人、未来を変えるために立ち上がる――。
※「小説家になろう」「カクヨム」にも投稿しています。
【完結】 学園の聖女様はわたしを悪役令嬢にしたいようです
はくら(仮名)
ファンタジー
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にて掲載しています。
とある国のお話。
※
不定期更新。
本文は三人称文体です。
同作者の他作品との関連性はありません。
推敲せずに投稿しているので、おかしな箇所が多々あるかもしれません。
比較的短めに完結させる予定です。
※
記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー
コーヒー微糖派
ファンタジー
勇者と魔王の戦いの舞台となっていた、"ルクガイア王国"
その戦いは多くの犠牲を払った激戦の末に勇者達、人類の勝利となった。
そんなところに現れた一人の中年男性。
記憶もなく、魔力もゼロ。
自分の名前も分からないおっさんとその仲間たちが織り成すファンタジー……っぽい物語。
記憶喪失だが、腕っぷしだけは強い中年主人公。同じく魔力ゼロとなってしまった元魔法使い。時々訪れる恋模様。やたらと癖の強い盗賊団を始めとする人々と紡がれる絆。
その先に待っているのは"失われた過去"か、"新たなる未来"か。
◆◆◆
元々は私が昔に自作ゲームのシナリオとして考えていたものを文章に起こしたものです。
小説完全初心者ですが、よろしくお願いします。
※なお、この物語に出てくる格闘用語についてはあくまでフィクションです。
表紙画像は草食動物様に作成していただきました。この場を借りて感謝いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる