18 / 20
第18話 誰!?
しおりを挟む
「本当に、アンナの家にお邪魔してもいいの?」
橋を渡りながらハンスが尋ねてくる。
「ええ。狭くて古くて、汚くて、何にもない掘っ立て小屋の様な家ですけどね」
自分で言ってて、情けなくなってきた。
「いいよ、そんなこと気にしないで。嬉しいよ、僕を家に招いてくれるなんて」
「そう言っていられるのも今のうちかも知れませんよ? もしかするとショックで逃げ出してしまうかも」
少し大げさに話を盛ってみた。
「大丈夫、絶対にそんな気持ちにはならないから」
そんなことを話している内に、帰りたくもない家に到着してしまった。
「……いいですか? それじゃ……開けますよ……?」
まるで今から幽霊の出る家にでも入るような雰囲気でハンスを見る。
「う、うん。僕はいつでも準備出来てるよ」
そしてゴクリと息を呑むハンス。彼も私の雰囲気に飲まれているようだ。
そこで私は頷くと、ノブを掴んで一気に扉を開けた。
すると……。
「アンナッ!! 帰ってきたのか!!」
突然大きな声が響き渡り、見知らぬ男性がこちらに向かって駆け寄ってくる。
「きゃあああああ!? だ、誰!!」
まさか家を間違えてしまったのだろうか? 次の瞬間、私は男性に強く抱きしめられている。
「アンナッ!?」
ハンスの驚く声が響く。
「アンナ! どれだけ心配したと思ってるんだ!! こいつめ!! ふざけるな!」
乱暴な口調で男性は私をギュウギュウに抱きしめる。……く、苦しい……!!
「誰ですか!! アンナを離して下さい!!」
ハンスが男から私を引き離そうとする。
「あぁん!? 誰だ! 俺はアンナの父親だ!」
嘘だ! 私はこんな男知らない!
何故なら私を抱きしめている男は、口は悪いもののイケメン爽やか男なのだから。
アンナの父親はボサボサ頭に無精ヒゲをはやした酒臭い男だ。こんなオーデコロンだってつけていない!
「ハンスさん!! た、助けて!」
「アンナを離せ!!」
「気安く娘の名前を口にするな!!」
「だって助けを求めているじゃないですか!!」
ハンスの言葉に、ようやく男性は抱きしめる腕の力を弱める。
「アンナ。お前、本気で言ってるのか? よーく俺の顔を見てみろ」
ようやく男性は私から離れると、自分の顔を指差す。
「……あれ? もしかして……」
「ああ、そうだ。髭をそって髪を整えた俺だ。ついでに粗末な服も着替えて、久しぶりに湯を沸かしてさっぱりさせた。どうだ? 見違えただろう?」
得意げな父。
でも……確かにうなずける。あのむさ苦しい父親が、実はとんでもないイケメンだったとは……。
「お前がマッチを売ってきてれたからな? ほら、どうだ? 薪だって買って暖炉が使えるようになった。掃除だってしたし、お前のために料理も作ったぞ? 尤もあまり残金が無かったから、殆ど具がないスープだけだがな」
少し照れくさそうに笑う父。
「まさか……」
本当はこの父親……それなりにアンナに愛情を持っていたのだろうか?
「それじゃ、本当にこの人はアンナのお父さんだったんだね」
ハンスが尋ねる。
「ああ、そうだよ。それで? お前さんは何処の誰なんだ? 随分身なりの良いお坊ちゃまみたいだが?」
そこで私は今までの経緯を父に説明することにした――
橋を渡りながらハンスが尋ねてくる。
「ええ。狭くて古くて、汚くて、何にもない掘っ立て小屋の様な家ですけどね」
自分で言ってて、情けなくなってきた。
「いいよ、そんなこと気にしないで。嬉しいよ、僕を家に招いてくれるなんて」
「そう言っていられるのも今のうちかも知れませんよ? もしかするとショックで逃げ出してしまうかも」
少し大げさに話を盛ってみた。
「大丈夫、絶対にそんな気持ちにはならないから」
そんなことを話している内に、帰りたくもない家に到着してしまった。
「……いいですか? それじゃ……開けますよ……?」
まるで今から幽霊の出る家にでも入るような雰囲気でハンスを見る。
「う、うん。僕はいつでも準備出来てるよ」
そしてゴクリと息を呑むハンス。彼も私の雰囲気に飲まれているようだ。
そこで私は頷くと、ノブを掴んで一気に扉を開けた。
すると……。
「アンナッ!! 帰ってきたのか!!」
突然大きな声が響き渡り、見知らぬ男性がこちらに向かって駆け寄ってくる。
「きゃあああああ!? だ、誰!!」
まさか家を間違えてしまったのだろうか? 次の瞬間、私は男性に強く抱きしめられている。
「アンナッ!?」
ハンスの驚く声が響く。
「アンナ! どれだけ心配したと思ってるんだ!! こいつめ!! ふざけるな!」
乱暴な口調で男性は私をギュウギュウに抱きしめる。……く、苦しい……!!
「誰ですか!! アンナを離して下さい!!」
ハンスが男から私を引き離そうとする。
「あぁん!? 誰だ! 俺はアンナの父親だ!」
嘘だ! 私はこんな男知らない!
何故なら私を抱きしめている男は、口は悪いもののイケメン爽やか男なのだから。
アンナの父親はボサボサ頭に無精ヒゲをはやした酒臭い男だ。こんなオーデコロンだってつけていない!
「ハンスさん!! た、助けて!」
「アンナを離せ!!」
「気安く娘の名前を口にするな!!」
「だって助けを求めているじゃないですか!!」
ハンスの言葉に、ようやく男性は抱きしめる腕の力を弱める。
「アンナ。お前、本気で言ってるのか? よーく俺の顔を見てみろ」
ようやく男性は私から離れると、自分の顔を指差す。
「……あれ? もしかして……」
「ああ、そうだ。髭をそって髪を整えた俺だ。ついでに粗末な服も着替えて、久しぶりに湯を沸かしてさっぱりさせた。どうだ? 見違えただろう?」
得意げな父。
でも……確かにうなずける。あのむさ苦しい父親が、実はとんでもないイケメンだったとは……。
「お前がマッチを売ってきてれたからな? ほら、どうだ? 薪だって買って暖炉が使えるようになった。掃除だってしたし、お前のために料理も作ったぞ? 尤もあまり残金が無かったから、殆ど具がないスープだけだがな」
少し照れくさそうに笑う父。
「まさか……」
本当はこの父親……それなりにアンナに愛情を持っていたのだろうか?
「それじゃ、本当にこの人はアンナのお父さんだったんだね」
ハンスが尋ねる。
「ああ、そうだよ。それで? お前さんは何処の誰なんだ? 随分身なりの良いお坊ちゃまみたいだが?」
そこで私は今までの経緯を父に説明することにした――
84
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
醜悪令息レオンの婚約
オータム
ファンタジー
醜悪な外見ゆえに誰からも恐れられ、避けられてきたレオン。
ある日、彼は自分が前世で遊んでいたシミュレーションRPGの世界に転生しており、
しかも“破滅が確定している悪役令嬢の弟”として生きていることに気付く。
このままでは、姉が理不尽な運命に呑まれてしまう。
怪しまれ、言葉を信じてもらえなくとも、レオンはただ一人、未来を変えるために立ち上がる――。
※「小説家になろう」「カクヨム」にも投稿しています。
お妃さま誕生物語
すみれ
ファンタジー
シーリアは公爵令嬢で王太子の婚約者だったが、婚約破棄をされる。それは、シーリアを見染めた商人リヒトール・マクレンジーが裏で糸をひくものだった。リヒトールはシーリアを手に入れるために貴族を没落させ、爵位を得るだけでなく、国さえも手に入れようとする。そしてシーリアもお妃教育で、世界はきれいごとだけではないと知っていた。
小説家になろうサイトで連載していたものを漢字等微修正して公開しております。
公爵閣下のご息女は、華麗に変身する
下菊みこと
ファンタジー
公爵家に突然引き取られた少女が幸せになるだけ。ただのほのぼの。
ニノンは孤児院の前に捨てられていた孤児。服にニノンと刺繍が施されていたので、ニノンと呼ばれ育てられる。そんな彼女の前に突然父が現れて…。
小説家になろう様でも投稿しています。
予言姫は最後に微笑む
あんど もあ
ファンタジー
ラズロ伯爵家の娘リリアは、幼い頃に伯爵家の危機を次々と予言し『ラズロの予言姫』と呼ばれているが、実は一度殺されて死に戻りをしていた。
二度目の人生では無事に家の危機を避けて、リリアも16歳。今宵はデビュタントなのだが、そこには……。
記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー
コーヒー微糖派
ファンタジー
勇者と魔王の戦いの舞台となっていた、"ルクガイア王国"
その戦いは多くの犠牲を払った激戦の末に勇者達、人類の勝利となった。
そんなところに現れた一人の中年男性。
記憶もなく、魔力もゼロ。
自分の名前も分からないおっさんとその仲間たちが織り成すファンタジー……っぽい物語。
記憶喪失だが、腕っぷしだけは強い中年主人公。同じく魔力ゼロとなってしまった元魔法使い。時々訪れる恋模様。やたらと癖の強い盗賊団を始めとする人々と紡がれる絆。
その先に待っているのは"失われた過去"か、"新たなる未来"か。
◆◆◆
元々は私が昔に自作ゲームのシナリオとして考えていたものを文章に起こしたものです。
小説完全初心者ですが、よろしくお願いします。
※なお、この物語に出てくる格闘用語についてはあくまでフィクションです。
表紙画像は草食動物様に作成していただきました。この場を借りて感謝いたします。
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる