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エピソード37 私とフォスティーヌ
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「それにしても・・・酷い話ね。意識の無いリアンナを抱くなんて・・。まるで獣ね。女の子にとっての初めての経験が・・どれ程大事なものかまるで分っていない男のする事だわ。」
はあ~っと溜息をつきながらフォスティーヌが言う。
「ちょ、ちょっと待ってよ!朝っぱらからこんな場所でそういう話をしないでよ。誰かに聞かれちゃったら・・・は、恥ずかしいじゃないの・・・。」
そう、ここは朝のレストラン。皆それぞれテーブルで友人同士・・もしくはカップルで仲良さげに食事をしている朝食の席なのだ。
「あら、そんな事気にしなくて大丈夫よ。誰も互いの話に夢中で私たちの話なんて聞いていないから。」
食後のカフェオレを飲みながらフォスティーヌは言う。
「けど・・・。」
私が言い淀むと、フォスティーヌはガチャンと乱暴にカップを置いた。
「そんな事よりも、王子様よ!後1週間でこのサマースクールは終わってしまうのに・・・どうして突然国へ帰ってしまったのよ!うっうっ・・酷いわ・・やっと恋人同士になることが出来たのに・・・。」
そしてフォスティーヌは泣き崩れた。
「フォスティーヌ・・・。」
そう、彼女は当初の計画通りに2人で競合してフォスティーヌと王子様が2人きりの時だけ悪役令嬢を演じて、私が苛め抜いてあげたお陰で晴れて恋人同士になれたのだ。それなのに肝心な王子様がいなくなっては・・泣くに泣けないだろう。まぁ・・最も私も記憶の無い状態でアレクに抱かれ、状況を問い詰めようにもアレクがいないのだから人の事は言えないけれども。
「「はぁぁ~・・・。」」
2人で深い溜息をついた時・・。
「あら、辛気臭いため息をついていたのが誰かと思えば・・・汚い手を使って王子様を手に入れたフォスティーヌと・・・その下僕のリアンナじゃないの?」
見上げるとそこには最後までフォスティーヌと王子様を奪いあっていた伯爵家のメリンダであった。
下僕・・。
その呼び方に私はカチンと来てしまった。当たらずとも遠からず・・そんな私たちの関係をこんな女に見破られたのが何だか悔しかった。
「ちょっと!リアンナは下僕なんかじゃないわ!私の大切な親友よ?変な言い方はしないで!リアンナに謝りさないよっ!」
ガタンと席を立ったフォスティーヌはメリンダを睨み付けた。
「いやよ!汚い手を使ったのは事実でしょう?王子様の気を引くために・・・わざとリアンナに意地悪させて・・・そんなのただの下僕がする事じゃないの!」
「違うわ。私は・・・フォスティーヌの夢を叶えて上げたかったから協力しただけよ。それに私だけのお陰じゃないわ。フォスティーヌが王子様に選ばれたのは・・それだけ彼女に魅力があったからでしょう?」
私も我慢できずに言い返してやった。
「とにかく・・・下僕と言ったこと・・・リアンナに謝ってよっ!」
フォスティーヌはメリンダに強く言った。
「嫌よっ!何で私が落ちぶれた・・・名ばかりの男爵家の人間に謝らなくちゃならないのよっ!」
私たちの騒ぎを聞きつけてか・・その場にいた全員の視線がこちらに集中する。
フォスティーヌは言った。
「身分なんか・・関係ないわ!リアンナは・・・私の一番の親友よっ!それは彼女がどんな身分だろうとねっ!行きましょ、リアンナ。ここは・・・空気が悪いわ。」
フォスティーヌは立ちあがると私の手を取り、さっそうとレストランを出て行った。
****
「良かったの・・?あんな風に言って・・・。」
私たちは今白い砂浜に座り、エメラルドグリーンの海を2人で眺めていた。
「ええ。いいのよ。」
「だけど・・・あれじゃ他の人達からもフォスティーヌは・・。」
「いいんだってば。私は・・・王子様の事を信じてるから・・あのね、リアンナ。こんな話すれば・・驚くかもしれないけれど・・私、今はたとえ仮にレオナードが本物の王子様じゃなくても・・彼が好き。愛してるの。」
「フォスティーヌ・・・。」
「だからさ、やっぱり・・人を好きになるって身分なんか関係ないって思ったんだ。」
「・・・。」
私は黙ってフォスティーヌの話を聞いていた。
「それに・・ほんとに身分が障害になるなら・・駆け落ちでも何でもしちゃえばいいのよ!」
フォスティーヌは笑顔で私に言った―。
はあ~っと溜息をつきながらフォスティーヌが言う。
「ちょ、ちょっと待ってよ!朝っぱらからこんな場所でそういう話をしないでよ。誰かに聞かれちゃったら・・・は、恥ずかしいじゃないの・・・。」
そう、ここは朝のレストラン。皆それぞれテーブルで友人同士・・もしくはカップルで仲良さげに食事をしている朝食の席なのだ。
「あら、そんな事気にしなくて大丈夫よ。誰も互いの話に夢中で私たちの話なんて聞いていないから。」
食後のカフェオレを飲みながらフォスティーヌは言う。
「けど・・・。」
私が言い淀むと、フォスティーヌはガチャンと乱暴にカップを置いた。
「そんな事よりも、王子様よ!後1週間でこのサマースクールは終わってしまうのに・・・どうして突然国へ帰ってしまったのよ!うっうっ・・酷いわ・・やっと恋人同士になることが出来たのに・・・。」
そしてフォスティーヌは泣き崩れた。
「フォスティーヌ・・・。」
そう、彼女は当初の計画通りに2人で競合してフォスティーヌと王子様が2人きりの時だけ悪役令嬢を演じて、私が苛め抜いてあげたお陰で晴れて恋人同士になれたのだ。それなのに肝心な王子様がいなくなっては・・泣くに泣けないだろう。まぁ・・最も私も記憶の無い状態でアレクに抱かれ、状況を問い詰めようにもアレクがいないのだから人の事は言えないけれども。
「「はぁぁ~・・・。」」
2人で深い溜息をついた時・・。
「あら、辛気臭いため息をついていたのが誰かと思えば・・・汚い手を使って王子様を手に入れたフォスティーヌと・・・その下僕のリアンナじゃないの?」
見上げるとそこには最後までフォスティーヌと王子様を奪いあっていた伯爵家のメリンダであった。
下僕・・。
その呼び方に私はカチンと来てしまった。当たらずとも遠からず・・そんな私たちの関係をこんな女に見破られたのが何だか悔しかった。
「ちょっと!リアンナは下僕なんかじゃないわ!私の大切な親友よ?変な言い方はしないで!リアンナに謝りさないよっ!」
ガタンと席を立ったフォスティーヌはメリンダを睨み付けた。
「いやよ!汚い手を使ったのは事実でしょう?王子様の気を引くために・・・わざとリアンナに意地悪させて・・・そんなのただの下僕がする事じゃないの!」
「違うわ。私は・・・フォスティーヌの夢を叶えて上げたかったから協力しただけよ。それに私だけのお陰じゃないわ。フォスティーヌが王子様に選ばれたのは・・それだけ彼女に魅力があったからでしょう?」
私も我慢できずに言い返してやった。
「とにかく・・・下僕と言ったこと・・・リアンナに謝ってよっ!」
フォスティーヌはメリンダに強く言った。
「嫌よっ!何で私が落ちぶれた・・・名ばかりの男爵家の人間に謝らなくちゃならないのよっ!」
私たちの騒ぎを聞きつけてか・・その場にいた全員の視線がこちらに集中する。
フォスティーヌは言った。
「身分なんか・・関係ないわ!リアンナは・・・私の一番の親友よっ!それは彼女がどんな身分だろうとねっ!行きましょ、リアンナ。ここは・・・空気が悪いわ。」
フォスティーヌは立ちあがると私の手を取り、さっそうとレストランを出て行った。
****
「良かったの・・?あんな風に言って・・・。」
私たちは今白い砂浜に座り、エメラルドグリーンの海を2人で眺めていた。
「ええ。いいのよ。」
「だけど・・・あれじゃ他の人達からもフォスティーヌは・・。」
「いいんだってば。私は・・・王子様の事を信じてるから・・あのね、リアンナ。こんな話すれば・・驚くかもしれないけれど・・私、今はたとえ仮にレオナードが本物の王子様じゃなくても・・彼が好き。愛してるの。」
「フォスティーヌ・・・。」
「だからさ、やっぱり・・人を好きになるって身分なんか関係ないって思ったんだ。」
「・・・。」
私は黙ってフォスティーヌの話を聞いていた。
「それに・・ほんとに身分が障害になるなら・・駆け落ちでも何でもしちゃえばいいのよ!」
フォスティーヌは笑顔で私に言った―。
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