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第3部 第1章 1 狭間の世界のジェシカ
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1
「マシュー・・・マシュー・・・。」
門の前で地面に座り込み、私は泣き続けた。胸を剣で貫かれて、あんなに沢山血を流しては、恐らくマシューは助からない。私の見た悪夢が現実化されてしまったのだ。もうあの穏やかな声で名前を呼ばれる事も無ければ、優しい眼差しを向けてくれる事も・・・。
私が巻き込んでしまったのだ。私に関わりさえしなければ、今もマシューは生きていられたのに・・。いや、マシューだけでは無い。マシューを助けに戻って行ったレオだって、無事かどうかも分からない。
あの時、レオが私の手を引いて門の前まで来ると呆然としていた私を叱咤し、鍵を渡すように言ってきた。そして門を開けると私だけを中に入れて扉を閉めて・・・。
レオはマシューを助けに戻って行った。必ず私に無事に魔界へ辿り着いて絶対にノア先輩を連れて戻って来いと言い残し、レオはマシューの元へ・・・。
ひょっとするとマシューだけではなく、レオも、そしてライアンも・・?
後から後から悪い考えばかりが頭に浮かび、涙が止まらない。
その時・・・。
「ねえ、お姉さん。いつまで泣いてるの?何がそんなに悲しいの?」
背後で小さな子供の声が聞こえた。ま・・まさか魔物?!
一気に緊張が高まり、後ろを振り返る。すると、そこには背中から蝶のように大きな羽を生やした金の長い撒き毛が可愛らしい4~5歳程度の女の子が立っていた。
「あ・・・あなたは・・・?」
涙を拭いながら尋ねた。
「私?私はフェアリーよ。この森は私の家なの。」
「森・・・?」
そこで私は初めて辺りを見回した。『ワールズ・エンド』に残してきた大切な人達の事で頭が一杯で、今自分が何処に居るのか気にも留めていなかったのだ。
そこは鬱蒼とした木々に覆われた森で、色々な鳥の鳴き声が聞こえてくる。空を見上げると、不思議な事に金色に輝いていた。
「い、一体ここは・・・?もしかすると・・・『狭間の世界』・・?」
思わず口に出して呟くと、フェアリーは言った。
「『狭間の世界』って何の事?ここは神獣や妖精達の住む世界だよ?でも時々、神獣達は人間の世界に呼ばれているけど・・・。ねえ。ひょっとしてお姉さんは人間なの?何だかお姉さんの身体には色々な匂いがついていて分かりにくいけど・・?」
「え?に・匂い?」
「そう、匂い。ここの住人と同じ匂いもするし、魔界の匂いもする・・。それに、何だか嗅いだことの無い匂いもするから。」
「う、うん。一応人間だけど・・・。」
「うそーっ!この世界に人間が来るなんて・・・初めてよっ!」
フェアリーと名乗る少女は興奮を隠せない様子で私に人間の世界はどんな所なのかと色々質問をしてきた。そして私がその質問に答える度に目をキラキラさせて話に聞き入ってくれている。私も目の前の少女のお陰で、少しだけ悲しみが癒えたので少女に礼を言った。
「ありがとう・・・。貴女のお陰で・・・少しだけ元気を分けて貰えたわ・・。」
「そう言えば、お姉さん・・・。どうしてそんなに悲しそうな顔をしているの?ほら・・見て。お姉さんの心が泣いているから雨が降って来たよ?」
少女は手の平を空に向けて言った。
「え?」
私は思わず上を見上げると、金色に輝く金の粒が空から地上に向けて降って来た。
「こ・・・これが雨・・?」
まるで光のシャワーのようだ。私は立ち上がって空を見つめた。そうだ、私はいつまでも泣いてばかりではいられない。マシュー・・・そしてレオと約束したのだ。必ずノア先輩を魔界から連れ出して戻って来ると・・・。でも、これからどうすれば良いのだろう?誰に頼めば魔界へ無事に行く手助けをお願い出来るのだろうか?
私は目の前にいる少女に尋ねた。
「ねえ、この世界で一番偉い人って誰なのか教えて貰える?」
「え?一番偉い人・・・?う~ん・・・。そうなると・・・やっぱり国王様かなあ・・?あ、あのね。実は国王様ってずっと不在だったのよ?でもつい最近、ようやく戻って来てくれたの。とっても素敵な方なのよ。」
フェアリーは嬉しそうに話す。
「不在って・・・どの位不在だったの?」
私が尋ねると、少女は指を折って数えていく。
「う~ん・・。500年位かな?」
「500年?!」
これには流石の私も驚いた。もしかするとこの狭間の世界の人達は物凄く長生きなのかもしれない。ちなみに・・・この少女の年齢は幾つなのだろうか?
「あ、あの。貴女は何歳なの?」
「私?私は120歳なの。」
「ひゃ・・・120歳?!」
そ、そんな!どう見ても5歳程度にしか見えないのに・・・。
敬語を使って話す事にしよう・・。
フェアリーに案内されて私は森の中を少女に連れられて歩いている。フェアリーは歩くよりも空を飛んでいる方が楽なのだろうか。蝶のように大きな羽をヒラヒラさせてフワフワと飛ぶ姿はとても可愛らしく、120歳には到底思えない。
「ねえ、そう言えば・・・貴女の名前は何て言うの?」
前を飛んでいるフェアリーが尋ねて来た。
「あ、すみません。そう言えばまだ名乗っていませんでしたよね。私の名前はジェシカ・リッジウェイです。」
「え?何?その話し方?」
前を飛ぶフェアリーは訝し気にこちらを見た。
「え・・だ、だって年齢が120歳と聞いてしまえば・・私よりもずっと年上の方なので・・。」
「私は120歳だけど、まだまだ子供よ。長老なんか2000歳を超えてるんだから。」
20000歳?!もはやそれは樹齢と同じだ!もう開いた口が塞がらなかった。
「そう、だから私がまだまだ子供だって事は分かった?だからそんな口調で話すの辞めてね。ジェシカ。」
「う、うん・・・。分かったわ。所で・・・その国王様のいる場所って、ここから近いの?」
もうかれこれ20分近くは歩いているので、いささか疲れた私はフェアリーに尋ねた。
「う~ん・・・。どうかな?多分後4時間位歩けば着くと思うけど・・・。」
「そうなんだ、後4時間・・え?ええっ?!よ、4時間も歩かないと着かないの?!」
「うん、そうだよ。え?どうしたの?」
その場に座り込んでしまった私にフェアリーが声をかけてきた。
「無理・・・。」
「え?」
「無理、絶対に無理!そんなに沢山歩けないから!」
自分でも我儘を言ってるのは分かっているが、彼女は妖精。かたや私は魔法の1つも使えない、只の人間。しかもジェシカの身体はあまり運動が得意では無いようなので長時間の運動も出来ない身体なのだ。
それに、本来なら今の時間は人間界でいえば真夜中に当たる時間だし・・時差ボケ?もいい所だ。
「あ・・・ああ!そうか、ごめんね。ジェシカ。別に歩く必要も無かったよ。ごめんんね。サークルを使えば良かったんだっけ。」
「サークル・・・?」
私は立ち上がるとフェアリーに尋ねた。
「そう、サークル。見ててね。」
フェアリーは突然右手の人差し指で空中に丸い円を描いた。すると空中に光り輝く穴が空き、そこから立派な白亜の宮殿が見えた。
「うわあ・・・なんて綺麗なお城なの。」
思わず感嘆の声を上げるとフェアリーが私の腕を掴むと言った。
「さあ、行こうよ。ジェシカ。」
「え?ち、ちょっと待ってよ!」
私が制止するのも聞かず、フェアリーは金色に光輝くサークルの中に飛び込んで行った。
ぽん。
輪を潜り抜けた先は・・・城の中だった。あれ?目の前にシャンデリアが見える・・?え?目の前・・?!
「あ、ごめんね。出る場所、ちょっと目測謝っちゃった。そう言えばジェシカは飛べないんだったよね?」
「キャアアアアーッ!!」
フェアリーの言葉を耳にしながら、落下していく私。
駄目だ、ぶつかる―!!ああ・・・こんな形で私は死んでしまうのだろうか・・・?
まだノア先輩も助け出せないうちに・・・。今までの出来事が走馬灯のように蘇る。
私は床にぶつかる寸前、ギュッと目をつぶり・・・・。
身体がピタリと空中で止まるのを感じた。
「待ってたよ、ジェシカ。」
すぐ側で誰かが私に声をかけてくる。え・・・?誰・・・?
私は恐る恐る目を開けた―。
2
え・・・?誰?目を開けた私の目の前には見た事が無い青年が立っている。
その場所は巨大なダンスホールのような場所だった。
大理石の床はピカピカに磨き上げられ、床に敷き詰められた赤いカーペットには金糸で、見事な薔薇の刺繍が施されている。まるで王子様と御姫様が出て来る御伽噺の世界観の様なお城であった。
「全くフェアリーにも困ったものだね。ボクがいなかったら、今頃ジェシカがどうなっていたか・・・。」
青年はため息を付きながらフェアリーを少しだけ睨みつけた。すると怒られるとでも思ったのか、フェアリーは挨拶もしないで姿を消してしまった。
私は目の前に立っている青年を改めて見つめた。
マリウスと同じ白銀の髪は背中まで届く長さ、陶磁器のような白い肌に赤い瞳はまるで宝石のように光り輝いている。そして女性とも見間違うような美しい容姿・・。
一体この人は誰・・・?
「会いたかったよ。ジェシカ。」
青年は私にほほ笑みながら言った。
え、笑顔が眩しすぎる!美しいお城に美しいプリンス・・・。こんなの場面は私の書いた小説には全く出て来ていない。もはや、この世界は私の書いた小説では無く、全くの別物の話になってしまっている。
「あの・・・。私の事、ご存知なのですか?それとも何処かでお会いしたことがありましたっけ?」
私の周りはイケメンだらけだが、この青年は違う。明らかに群を抜いた美しさだ。これ程の美形なら絶対一度でも会えば忘れるはずは無いのに・・・生憎私の記憶の中にはこの青年は存在しない。
すると青年は一瞬キョトンとした表情を見せるが、突然グイッと私の腕を掴んで引き寄せると、顔を近付けてきた。
か・顔が近い・・・・。目が眩みそうだ。
「ねえ、ジェシカ。本当にボクの事・・・分からないの?」
青年が少しだけ悲しそうな表情になる。う・・・な、何だか酷く責められているような気分になってきた。
「は、はい・・・。すみません・・・。」
すると青年が言った。
「あ、もしかしてジェシカなんて呼ぶからボクの事が分からないのかな?それじゃ、こう呼んでみたらボクの事分かるかな?会いたかったよ、ハルカ。」
「え?」
今、この青年は私の事を何と呼んだ?ハルカ・・・?この世界で私の事をそんな風に呼ぶ人は、たった1人しかいない・・。ま、まさか・・・。
「ア・・アンジュ?アンジュなの・・・?」
震える声で青年に呼びかけてみる。すると彼はパアッと笑顔になると、私の両手を強く握りしめて言った。
「そうだよ!やっと思い出してくれたんだね、ハルカ。ボクは・・・アンジュだよ。
君がこの世界にやって来るのを待っていたんだから。」
「ほ・・・本当に・・・?アンジュなの・・?」
私は今も信じられない気持ちでアンジュを見つめた。アンジュと別れて、まだ一月も経過していないのに、どうしてこんなに成長しているのだろう?不思議なのはそれだけでは無い。アンジュは・・・・女の子だったはずでは?!
「アンジュ・・・あ、あなた・・ひょっとして女装癖のある男の子だったのね?!」
私は思わず叫んでしまった。
「え・・・?」
すると露骨に嫌そうな表情を浮かべるアンジュ。うん、でもやはりどんな表情をしても美形は絵になるなあ・・・。
「まあ・・いいよ。立ち話も何だから、座って話しをしよう。」
アンジュがパチンと指を鳴らすと、今まで大ホールの中に居たはずだったのに、突然その場が応接室へと早変わりしていた。嘘?!いつの間に?
「さあ、ハルカ。座って。」
アンジュは嬉しそうに自分の隣の席に座るようにポンポンとソファを叩いた。
う~ん・・でも隣同士だと話しにくい気がするなあ。
そう思った私はアンジュの目の前のソファに座ると、彼は悲しそうに目を伏せた。
「そうなんだ・・・ハルカはボクの隣に座るのは嫌なんだね・・?」
「ち、違うってば!た、ただ話をするなら向かい合わせになった方がいいでしょう?」
「うん・・・。ハルカがそう言うなら別に構わないけど・・・。」
しょんぼりした顔を見せるアンジュ。その姿にはやはりあの当時のアンジュの面影がある。
・・・それにしても・・・私は先程からある違和感を感じていた。
ここはアンジュが教えてくれた『狭間の世界』で間違いは無いだろう。
でも・・何故?どうして私はここにやって来たのだろう?何だか酷く重要な何かを忘れてしまっている気がする。それは絶対に忘れてはいけない大事な事だったような気がするのに・・まるで先程から私の頭に靄がかかっているようだ。
「どうしたの、ハルカ。ぼんやりした顔して。」
不意にアンジュが声をかけてきたので、私は現実に引き戻された。
「う、うううん。何でも無い。でも・・アンジュ。あなたって男の子だったのね。」
するとアンジュからは意外な返事が返って来た。
「違うよ。」
「えええ?!だ、だって今・・・。男の子じゃ無いって・・・。」
「正確に言うとね・・・。あの時、ボクは性別が無かったんだよ。」
アンジュは意味深な笑顔で答えた。
「せ・・性別が無かった・・・の・・?ま、まるで天使みたい・・。ならさっき会ったフェアリーも性別が無いの?」
「違うよ、彼女はれっきとした女の子。性別が決まっていなかったのは、この世界の王になるボクだけだったんだよ。」
え・・・ちょっと待って。今アンジュは何と言った。この世界の王になる人物には性別が無い、そしてアンジュには性別が無かった・・・と言う事は・・・。
「あ・・・アンジュがこの『狭間の世界』の王様って事なの?!」
「うん、そうだよ。ハルカと出会ったのは王になる前、見聞を広げる為に人間界へ勉強に来ていた時だったんだよ。ボクたち、代々王になる者は生れた時は性別が無いんだ。そして、王を引き継ぐときに自分の性別を決める事になっているんだよ。大体、性別は旅の途中で出会った人達の影響を受けて、男か女か分かれるんだけどね・・。ちなみにボクの一つ前の王は女性だったんだよ。」
私は信じられない思いでアンジュの話を聞いていた。あの美少女のアンジュが今は美しい青年になっていたという事実もそうだが、一番驚いたのはアンジュが『狭間の世界の王』であるという事実だ。
「ところで・・・。」
不意にアンジュが立ち上って、私の前に跪くと言った。
「どうしてボクが男性の姿になったか分かる?」
言いながらアンジュは私の両頬に手を添えると瞳を覗き込むように尋ねて来た。
「さ、さあ・・・?な・何故でしょうか・・・?」
何だろう?急にアンジュの雰囲気が変わったような気がする。
「それはね・・・。」
言いながら、アンジュの顔がどんどん近付いてくる。え・・・?
「・・・・。」
気が付くと、私はアンジュに口付けされていた。余りにも突然の出来事で私は身体が固まる。
すると、そんな私の様子に気が付いたのか、アンジュは私から唇を離して妖艶に笑った。
「フフフ・・・驚いているみたいだね。ハルカ?」
一瞬、ボ~ッとしていた私だが、すぐに気を取り直してアンジュに言った。
「な・な・な・・・・いきなり何するの?!」
両手で口元を押さえ、咄嗟にアンジュから距離を取ると私は抗議した。今、私の目の前にいるアンジュは紛れも無い、立派な成人男性だ!
「何って・・・?親愛を込めたキスをしただけだよ?挨拶みたいなものだよ。」
お道化たようにアンジュは言う。
「あ、挨拶・・・。」
私はドキドキする胸元を押さえながら言った。そうか・・・この『狭間の世界』では挨拶はキスなのか。・・・なかなか私にとってはハードルが高い挨拶だ・・・と思っていると、突然アンジュが笑い出した。
「アハハハハ!ねえ・・・挨拶って・・・ハルカ、本当にキスが挨拶だと信じちゃったの?そんなはずないでしょう?ハルカの事が好きだからボクはキスをしたに決まってるじゃないの。ボクが性別を男にしたのはね・・・ハルカ。君をボクのお嫁さんにしたいと思ったからなんだよ?」
アンジュは私にとんでもない事を言って来た—。
「マシュー・・・マシュー・・・。」
門の前で地面に座り込み、私は泣き続けた。胸を剣で貫かれて、あんなに沢山血を流しては、恐らくマシューは助からない。私の見た悪夢が現実化されてしまったのだ。もうあの穏やかな声で名前を呼ばれる事も無ければ、優しい眼差しを向けてくれる事も・・・。
私が巻き込んでしまったのだ。私に関わりさえしなければ、今もマシューは生きていられたのに・・。いや、マシューだけでは無い。マシューを助けに戻って行ったレオだって、無事かどうかも分からない。
あの時、レオが私の手を引いて門の前まで来ると呆然としていた私を叱咤し、鍵を渡すように言ってきた。そして門を開けると私だけを中に入れて扉を閉めて・・・。
レオはマシューを助けに戻って行った。必ず私に無事に魔界へ辿り着いて絶対にノア先輩を連れて戻って来いと言い残し、レオはマシューの元へ・・・。
ひょっとするとマシューだけではなく、レオも、そしてライアンも・・?
後から後から悪い考えばかりが頭に浮かび、涙が止まらない。
その時・・・。
「ねえ、お姉さん。いつまで泣いてるの?何がそんなに悲しいの?」
背後で小さな子供の声が聞こえた。ま・・まさか魔物?!
一気に緊張が高まり、後ろを振り返る。すると、そこには背中から蝶のように大きな羽を生やした金の長い撒き毛が可愛らしい4~5歳程度の女の子が立っていた。
「あ・・・あなたは・・・?」
涙を拭いながら尋ねた。
「私?私はフェアリーよ。この森は私の家なの。」
「森・・・?」
そこで私は初めて辺りを見回した。『ワールズ・エンド』に残してきた大切な人達の事で頭が一杯で、今自分が何処に居るのか気にも留めていなかったのだ。
そこは鬱蒼とした木々に覆われた森で、色々な鳥の鳴き声が聞こえてくる。空を見上げると、不思議な事に金色に輝いていた。
「い、一体ここは・・・?もしかすると・・・『狭間の世界』・・?」
思わず口に出して呟くと、フェアリーは言った。
「『狭間の世界』って何の事?ここは神獣や妖精達の住む世界だよ?でも時々、神獣達は人間の世界に呼ばれているけど・・・。ねえ。ひょっとしてお姉さんは人間なの?何だかお姉さんの身体には色々な匂いがついていて分かりにくいけど・・?」
「え?に・匂い?」
「そう、匂い。ここの住人と同じ匂いもするし、魔界の匂いもする・・。それに、何だか嗅いだことの無い匂いもするから。」
「う、うん。一応人間だけど・・・。」
「うそーっ!この世界に人間が来るなんて・・・初めてよっ!」
フェアリーと名乗る少女は興奮を隠せない様子で私に人間の世界はどんな所なのかと色々質問をしてきた。そして私がその質問に答える度に目をキラキラさせて話に聞き入ってくれている。私も目の前の少女のお陰で、少しだけ悲しみが癒えたので少女に礼を言った。
「ありがとう・・・。貴女のお陰で・・・少しだけ元気を分けて貰えたわ・・。」
「そう言えば、お姉さん・・・。どうしてそんなに悲しそうな顔をしているの?ほら・・見て。お姉さんの心が泣いているから雨が降って来たよ?」
少女は手の平を空に向けて言った。
「え?」
私は思わず上を見上げると、金色に輝く金の粒が空から地上に向けて降って来た。
「こ・・・これが雨・・?」
まるで光のシャワーのようだ。私は立ち上がって空を見つめた。そうだ、私はいつまでも泣いてばかりではいられない。マシュー・・・そしてレオと約束したのだ。必ずノア先輩を魔界から連れ出して戻って来ると・・・。でも、これからどうすれば良いのだろう?誰に頼めば魔界へ無事に行く手助けをお願い出来るのだろうか?
私は目の前にいる少女に尋ねた。
「ねえ、この世界で一番偉い人って誰なのか教えて貰える?」
「え?一番偉い人・・・?う~ん・・・。そうなると・・・やっぱり国王様かなあ・・?あ、あのね。実は国王様ってずっと不在だったのよ?でもつい最近、ようやく戻って来てくれたの。とっても素敵な方なのよ。」
フェアリーは嬉しそうに話す。
「不在って・・・どの位不在だったの?」
私が尋ねると、少女は指を折って数えていく。
「う~ん・・。500年位かな?」
「500年?!」
これには流石の私も驚いた。もしかするとこの狭間の世界の人達は物凄く長生きなのかもしれない。ちなみに・・・この少女の年齢は幾つなのだろうか?
「あ、あの。貴女は何歳なの?」
「私?私は120歳なの。」
「ひゃ・・・120歳?!」
そ、そんな!どう見ても5歳程度にしか見えないのに・・・。
敬語を使って話す事にしよう・・。
フェアリーに案内されて私は森の中を少女に連れられて歩いている。フェアリーは歩くよりも空を飛んでいる方が楽なのだろうか。蝶のように大きな羽をヒラヒラさせてフワフワと飛ぶ姿はとても可愛らしく、120歳には到底思えない。
「ねえ、そう言えば・・・貴女の名前は何て言うの?」
前を飛んでいるフェアリーが尋ねて来た。
「あ、すみません。そう言えばまだ名乗っていませんでしたよね。私の名前はジェシカ・リッジウェイです。」
「え?何?その話し方?」
前を飛ぶフェアリーは訝し気にこちらを見た。
「え・・だ、だって年齢が120歳と聞いてしまえば・・私よりもずっと年上の方なので・・。」
「私は120歳だけど、まだまだ子供よ。長老なんか2000歳を超えてるんだから。」
20000歳?!もはやそれは樹齢と同じだ!もう開いた口が塞がらなかった。
「そう、だから私がまだまだ子供だって事は分かった?だからそんな口調で話すの辞めてね。ジェシカ。」
「う、うん・・・。分かったわ。所で・・・その国王様のいる場所って、ここから近いの?」
もうかれこれ20分近くは歩いているので、いささか疲れた私はフェアリーに尋ねた。
「う~ん・・・。どうかな?多分後4時間位歩けば着くと思うけど・・・。」
「そうなんだ、後4時間・・え?ええっ?!よ、4時間も歩かないと着かないの?!」
「うん、そうだよ。え?どうしたの?」
その場に座り込んでしまった私にフェアリーが声をかけてきた。
「無理・・・。」
「え?」
「無理、絶対に無理!そんなに沢山歩けないから!」
自分でも我儘を言ってるのは分かっているが、彼女は妖精。かたや私は魔法の1つも使えない、只の人間。しかもジェシカの身体はあまり運動が得意では無いようなので長時間の運動も出来ない身体なのだ。
それに、本来なら今の時間は人間界でいえば真夜中に当たる時間だし・・時差ボケ?もいい所だ。
「あ・・・ああ!そうか、ごめんね。ジェシカ。別に歩く必要も無かったよ。ごめんんね。サークルを使えば良かったんだっけ。」
「サークル・・・?」
私は立ち上がるとフェアリーに尋ねた。
「そう、サークル。見ててね。」
フェアリーは突然右手の人差し指で空中に丸い円を描いた。すると空中に光り輝く穴が空き、そこから立派な白亜の宮殿が見えた。
「うわあ・・・なんて綺麗なお城なの。」
思わず感嘆の声を上げるとフェアリーが私の腕を掴むと言った。
「さあ、行こうよ。ジェシカ。」
「え?ち、ちょっと待ってよ!」
私が制止するのも聞かず、フェアリーは金色に光輝くサークルの中に飛び込んで行った。
ぽん。
輪を潜り抜けた先は・・・城の中だった。あれ?目の前にシャンデリアが見える・・?え?目の前・・?!
「あ、ごめんね。出る場所、ちょっと目測謝っちゃった。そう言えばジェシカは飛べないんだったよね?」
「キャアアアアーッ!!」
フェアリーの言葉を耳にしながら、落下していく私。
駄目だ、ぶつかる―!!ああ・・・こんな形で私は死んでしまうのだろうか・・・?
まだノア先輩も助け出せないうちに・・・。今までの出来事が走馬灯のように蘇る。
私は床にぶつかる寸前、ギュッと目をつぶり・・・・。
身体がピタリと空中で止まるのを感じた。
「待ってたよ、ジェシカ。」
すぐ側で誰かが私に声をかけてくる。え・・・?誰・・・?
私は恐る恐る目を開けた―。
2
え・・・?誰?目を開けた私の目の前には見た事が無い青年が立っている。
その場所は巨大なダンスホールのような場所だった。
大理石の床はピカピカに磨き上げられ、床に敷き詰められた赤いカーペットには金糸で、見事な薔薇の刺繍が施されている。まるで王子様と御姫様が出て来る御伽噺の世界観の様なお城であった。
「全くフェアリーにも困ったものだね。ボクがいなかったら、今頃ジェシカがどうなっていたか・・・。」
青年はため息を付きながらフェアリーを少しだけ睨みつけた。すると怒られるとでも思ったのか、フェアリーは挨拶もしないで姿を消してしまった。
私は目の前に立っている青年を改めて見つめた。
マリウスと同じ白銀の髪は背中まで届く長さ、陶磁器のような白い肌に赤い瞳はまるで宝石のように光り輝いている。そして女性とも見間違うような美しい容姿・・。
一体この人は誰・・・?
「会いたかったよ。ジェシカ。」
青年は私にほほ笑みながら言った。
え、笑顔が眩しすぎる!美しいお城に美しいプリンス・・・。こんなの場面は私の書いた小説には全く出て来ていない。もはや、この世界は私の書いた小説では無く、全くの別物の話になってしまっている。
「あの・・・。私の事、ご存知なのですか?それとも何処かでお会いしたことがありましたっけ?」
私の周りはイケメンだらけだが、この青年は違う。明らかに群を抜いた美しさだ。これ程の美形なら絶対一度でも会えば忘れるはずは無いのに・・・生憎私の記憶の中にはこの青年は存在しない。
すると青年は一瞬キョトンとした表情を見せるが、突然グイッと私の腕を掴んで引き寄せると、顔を近付けてきた。
か・顔が近い・・・・。目が眩みそうだ。
「ねえ、ジェシカ。本当にボクの事・・・分からないの?」
青年が少しだけ悲しそうな表情になる。う・・・な、何だか酷く責められているような気分になってきた。
「は、はい・・・。すみません・・・。」
すると青年が言った。
「あ、もしかしてジェシカなんて呼ぶからボクの事が分からないのかな?それじゃ、こう呼んでみたらボクの事分かるかな?会いたかったよ、ハルカ。」
「え?」
今、この青年は私の事を何と呼んだ?ハルカ・・・?この世界で私の事をそんな風に呼ぶ人は、たった1人しかいない・・。ま、まさか・・・。
「ア・・アンジュ?アンジュなの・・・?」
震える声で青年に呼びかけてみる。すると彼はパアッと笑顔になると、私の両手を強く握りしめて言った。
「そうだよ!やっと思い出してくれたんだね、ハルカ。ボクは・・・アンジュだよ。
君がこの世界にやって来るのを待っていたんだから。」
「ほ・・・本当に・・・?アンジュなの・・?」
私は今も信じられない気持ちでアンジュを見つめた。アンジュと別れて、まだ一月も経過していないのに、どうしてこんなに成長しているのだろう?不思議なのはそれだけでは無い。アンジュは・・・・女の子だったはずでは?!
「アンジュ・・・あ、あなた・・ひょっとして女装癖のある男の子だったのね?!」
私は思わず叫んでしまった。
「え・・・?」
すると露骨に嫌そうな表情を浮かべるアンジュ。うん、でもやはりどんな表情をしても美形は絵になるなあ・・・。
「まあ・・いいよ。立ち話も何だから、座って話しをしよう。」
アンジュがパチンと指を鳴らすと、今まで大ホールの中に居たはずだったのに、突然その場が応接室へと早変わりしていた。嘘?!いつの間に?
「さあ、ハルカ。座って。」
アンジュは嬉しそうに自分の隣の席に座るようにポンポンとソファを叩いた。
う~ん・・でも隣同士だと話しにくい気がするなあ。
そう思った私はアンジュの目の前のソファに座ると、彼は悲しそうに目を伏せた。
「そうなんだ・・・ハルカはボクの隣に座るのは嫌なんだね・・?」
「ち、違うってば!た、ただ話をするなら向かい合わせになった方がいいでしょう?」
「うん・・・。ハルカがそう言うなら別に構わないけど・・・。」
しょんぼりした顔を見せるアンジュ。その姿にはやはりあの当時のアンジュの面影がある。
・・・それにしても・・・私は先程からある違和感を感じていた。
ここはアンジュが教えてくれた『狭間の世界』で間違いは無いだろう。
でも・・何故?どうして私はここにやって来たのだろう?何だか酷く重要な何かを忘れてしまっている気がする。それは絶対に忘れてはいけない大事な事だったような気がするのに・・まるで先程から私の頭に靄がかかっているようだ。
「どうしたの、ハルカ。ぼんやりした顔して。」
不意にアンジュが声をかけてきたので、私は現実に引き戻された。
「う、うううん。何でも無い。でも・・アンジュ。あなたって男の子だったのね。」
するとアンジュからは意外な返事が返って来た。
「違うよ。」
「えええ?!だ、だって今・・・。男の子じゃ無いって・・・。」
「正確に言うとね・・・。あの時、ボクは性別が無かったんだよ。」
アンジュは意味深な笑顔で答えた。
「せ・・性別が無かった・・・の・・?ま、まるで天使みたい・・。ならさっき会ったフェアリーも性別が無いの?」
「違うよ、彼女はれっきとした女の子。性別が決まっていなかったのは、この世界の王になるボクだけだったんだよ。」
え・・・ちょっと待って。今アンジュは何と言った。この世界の王になる人物には性別が無い、そしてアンジュには性別が無かった・・・と言う事は・・・。
「あ・・・アンジュがこの『狭間の世界』の王様って事なの?!」
「うん、そうだよ。ハルカと出会ったのは王になる前、見聞を広げる為に人間界へ勉強に来ていた時だったんだよ。ボクたち、代々王になる者は生れた時は性別が無いんだ。そして、王を引き継ぐときに自分の性別を決める事になっているんだよ。大体、性別は旅の途中で出会った人達の影響を受けて、男か女か分かれるんだけどね・・。ちなみにボクの一つ前の王は女性だったんだよ。」
私は信じられない思いでアンジュの話を聞いていた。あの美少女のアンジュが今は美しい青年になっていたという事実もそうだが、一番驚いたのはアンジュが『狭間の世界の王』であるという事実だ。
「ところで・・・。」
不意にアンジュが立ち上って、私の前に跪くと言った。
「どうしてボクが男性の姿になったか分かる?」
言いながらアンジュは私の両頬に手を添えると瞳を覗き込むように尋ねて来た。
「さ、さあ・・・?な・何故でしょうか・・・?」
何だろう?急にアンジュの雰囲気が変わったような気がする。
「それはね・・・。」
言いながら、アンジュの顔がどんどん近付いてくる。え・・・?
「・・・・。」
気が付くと、私はアンジュに口付けされていた。余りにも突然の出来事で私は身体が固まる。
すると、そんな私の様子に気が付いたのか、アンジュは私から唇を離して妖艶に笑った。
「フフフ・・・驚いているみたいだね。ハルカ?」
一瞬、ボ~ッとしていた私だが、すぐに気を取り直してアンジュに言った。
「な・な・な・・・・いきなり何するの?!」
両手で口元を押さえ、咄嗟にアンジュから距離を取ると私は抗議した。今、私の目の前にいるアンジュは紛れも無い、立派な成人男性だ!
「何って・・・?親愛を込めたキスをしただけだよ?挨拶みたいなものだよ。」
お道化たようにアンジュは言う。
「あ、挨拶・・・。」
私はドキドキする胸元を押さえながら言った。そうか・・・この『狭間の世界』では挨拶はキスなのか。・・・なかなか私にとってはハードルが高い挨拶だ・・・と思っていると、突然アンジュが笑い出した。
「アハハハハ!ねえ・・・挨拶って・・・ハルカ、本当にキスが挨拶だと信じちゃったの?そんなはずないでしょう?ハルカの事が好きだからボクはキスをしたに決まってるじゃないの。ボクが性別を男にしたのはね・・・ハルカ。君をボクのお嫁さんにしたいと思ったからなんだよ?」
アンジュは私にとんでもない事を言って来た—。
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日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。
その顔を見て目が覚めた。
なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。
数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
日曜日以外、1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
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2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
2025年1月6日 お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております!
ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします!
2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております!
こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!!
2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?!
なんですと?!完結してからも登録してくださる方が?!ありがとうございます、ありがとうございます!!
こんなに多くの方にお読み頂けて幸せでございます。
どうしよう、欲が出て来た?
…ショートショートとか書いてみようかな?
2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?!
欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい…
2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?!
どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう…
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1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
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追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
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