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第4章 3 アンジュの力
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え・・・?アンジュは一体何を言ってるの?魔界で私が何をしてきたか?そんなのは決まっている。ノア先輩を連れて、ヴォルフとフレアと皆で一緒に人間界へ帰ろうとしている。ただ・・・それだけの事。
「おい、ジェシカから離れろと言ってるだろう?!」
突然ヴォルフは立ち上がると、アンジュは鋭い眼光で睨み付ける。その途端にヴォルフの身体がふわりと宙に浮いて、次の瞬間激しく床に叩きつけられた。
苦しそうに呻くヴォルフ。
「「「ヴォルフッ?!」」
私達、3人がが同時に名前を叫ぶ。
「貴方・・・・。この世界の王だか何だか分からないけど、これはあまりにも酷いんじゃいないかしら?」
「ああ、流石に黙って見てはいられないね。」
フレアとノア先輩がアンジュを睨みつけながら言った。
「煩いな・・・・。今ボクはジェシカと大事な話をしているんだから少し静かにしてくれないかな?ひょっとすると・・・ジェシカの命に関わるような重要な事なのかもしれないっていうのに。」
アンジュが今迄聞いたことが無いほどの凄みの効いた声でノア先輩とフレアに言う。
「命に・・・一体どういう事だ。」
ヴォルフが顔を歪めながら立ち上がった。
「言葉の通りだよ。このままだとジェシカが命を失うか、それに等しい状態になるかもしれない。」
アンジュは恐ろしい事を言うと、私の顔を覗き込んで言った。
「ジェシカ・・・ボクは君を失いたくない。ずっとボクの側にいなよ。人間界になんか戻る必要は無いよ。ボクはこの世界の王だ。ボクの側にいれば、何があっても必ず君を守り抜ける自信があるよ。」
「ア、アンジュ・・・・。」
あまりの突然の申し出に何と答えれば良いか分からない。
「俺だってジェシカを守り抜ける自信はあるつもりだ。」
ヴォルフは言うと、私に手を差し伸べて来た。
「ジェシカ、人間界へ行くんだろう?早く行こうぜ。こんな所にいつまでも居たって仕方が無い。」
「ええ、そうね。早く人間界へ行きましょうか?」
フレアも言う。
しかしノア先輩だけは違った。
「ねえ・・・ひょっとすると、ジェシカが危険だって言うのは・・・人間界へ戻った後の事を指してるんじゃないの・・・・?」
「ノア先輩?」
「だって考えてもみなよ。ジェシカ、君は今迄学院にいた時、何度も危機に陥っただろう?全て・・・あの女のせいで・・・。」
「あの女?」
アンジュがピクリと反応する。
「おい、ノア。あの女って・・・どんな女なんだ?その女のせいでジェシカが危険な目に遭って来たって言うのは本当の話なのか?」
ヴォルフがノア先輩に詰め寄っている。
そんな彼等のやり取りを眺めながら、私は頭の中でめまぐるしく考えを張り巡らせていた。
あの女・・・・。ノア先輩の言ってるあの女とは間違いなくソフィーの事を指しているのだろう。命の危険が迫っている?
だとしたらそれは私が学院に戻った後にソフィーやアラン王子・・・そして公爵に寄って裁きを受け、寒い監獄に閉じ込められる事を指しているのでは無いだろうか?
それこそ凍死してしまうのではと思う程の寒い監獄に・・。
あの夢の中では確かアメリアが出て来て・・・私にこう言った。
<今のままでは、近い未来貴女はこの結末を辿ってしまうわ・・・。だから早く私の本当の名前を呼んで・・・。そして彼の心を・・・・ソフィーよりも早く・・。>
アメリアの本当の名前?そんなの知らないし、心当たりも無い。
彼の心・・・?彼の心って誰の事?アラン王子?それとも公爵・・・?
「ジェシカッ!ジェシカッ!」
不意にアンジュに名前を呼ばれて私は我に返った。
「どうしたの、ジェシカ?急に黙り込んでしまって・・・・。何かあったの?」
目の前には私を心配そうに見つめるアンジュと・・いつの間にかすぐ側にはヴォルフの姿まである。
「ジェシカ!しっかりしろ!」
「ヴォ、ヴォルフ・・・。」
「あ、あの・・・アンジュ・・・。それにヴォルフ・・・。悪いけど、少しだけ1人にさせて貰える。ちょっと考えたい事があるから・・・。」
私のあまりの真剣な表情にアンジュは戸惑っていたようだが、溜息をつくと言った。
「分かったよ・・・。ボク達は席を外すよ。ほら、君達も出るよ。ジェシカがああ言ってるんだから。」
アンジュが言うと、全員が素直に部屋から出て行く。
そして一番最後に部屋を出ようとしたヴォルフが私に声を掛けて来た。
「大丈夫だ、ジェシカ。必ず俺が守るから・・・そんな不安そうな顔するな。」
私の頭を軽くなでるとヴォルフは部屋を出て行った。
パタン・・・。静かにドアが閉じられると、先程までの騒ぎとは打って変わって、辺りはしんと静まり返った空間になった。
溜息をついて、ソファに腰かけると、私は目を閉じ、夢の中で見た事を再度思い出してみる。
私とノア先輩、それにヴォルフ、フレア・・・・。私達は一緒にワールズ・エンドを目指すのでは無かったのか?何故夢の中で私は1人であの森を逃げていたのだろう?
でもそれには理由が存在しているはず。きっと・・・何か・・何かが起こるんだ。それで私は1人で逃げて・・・結局掴まってしまう。
でもノア先輩は私が裁かれるときにあの場にいた。そして・・・。
私はそこで気が付いた。
そうだ・・・夢の中のノア先輩は・・まるで私が『魔界の門』を開けた事を信じていないように見えた・・・。はっきりノア先輩がその事について言及した訳では無いが、少なくともあの時の先輩は魔界にいた時の記憶が無いように思えた・・・。
怖い・・・。一体、この先何が待ち受けているのだろう。
断片的に恐ろしい未来が見えているだけに、それが余計に怖くて怖くてたまらない。。
だけど、だけどそれでも私は人間界に戻る。だってマシューと・・そして皆と約束したのだ。必ずノア先輩を連れて戻って来ると。
あんなに・・・元の世界に帰りたがっていたノア先輩。絶対にノア先輩の願いを叶えてあげたい。
そして私自身も・・・例え掴まってしまってもマシューと過ごした・・・あの世界に戻りたいのだ。マシューを犠牲にして、1人安全な場所に居たいとは思わない。
だってマシューが死んでしまった時、私の心も半分死んでしまったのだから・・。
彼の思い出を胸に、私は流刑島で罪を償って生きていく・・・。
「ジェシカ・・・。もうそろそろいいかい?」
ドアの外でノックの音と共に、アンジュの声が聞こえて来た。
「うん、いいよ。」
返事をすると、中に入って来たのはアンジュ、只一人。
「あれ・・・・?アンジュ。皆は?」
「皆?」
「皆って?ああ・・・彼等の事かい?」
アンジュが何故か微妙な笑みを浮かべる。
「そ、そう。ヴォルフにノア先輩、そしてフレアさん・・・。」
「別に彼等の名前なんてどうでもいいんだけどね。」
何故か冷たく言い放つアンジュ。・・・何だか様子がおかしい。
「ね。ねえ・・・。アンジュ。何だかさっきから様子が変だよ・・?どうしたの?早くヴォルフ達も連れて来て・・・。」
「彼等はここには来れないよ。」
アンジュは突然私が言い終わる前に言葉を被せて来た。
「え?・・・どういう事・・・?」
背筋が一瞬で寒くなる。
「全く・・・彼等にも困ったものだね・・・。ハルカ。」
ハルカ—。アンジュが再びその名前で私を呼ぶ。
「困った事・・・?一体それは・・・。」
「ボクは君さえ無事にこの世界に戻って来てくれれば、どうだって良かったんだけどね。もし戻って来るとしたら、人間のあの男を連れて一緒に来ることは分かり切っていたし・・・。でも、まさか・・・魔族を・・しかも2人も連れて来るとは思ってもいなかった。」
アンジュのあまりにも冷淡な話し方に、思わず背筋がゾクリとした。
「ご、ごめんなさい・・・・。勝手な真似をして・・・。」
そうだった、恐らくこの世界の住人達は・・魔族の事を嫌っている。それなのに私は2人をこの世界に連れて来てしまった・・・。
「ああ、ごめんよ。ハルカ。別に君を責めてるわけじゃ無いんだ。ただボクが言いたかったのはね・・・・。彼等のせいで、とんでもない連中までついてきてしまったんだなって事を1つ言っておきたかっただけで・・・。」
「とんでもない・・・・連中・・・?」
私は声を震わせながら問いかけた。何故だろう、とても嫌な予感がする。
「そう・・・。かなり強力な力を持つ・・・魔族達だよ・・・。」
アンジュは私の目を見つめながら言った―。
2
強力な力を持つ魔族達が『狭間の世界』へ現れた・・・・?聞き間違いでは無いだろうか?だけどアンジュの目が嘘では無い事を雄弁に語っていた。
「ね、ねえ・・・。ひょっとしてあの3人は・・・?」
私は震える声でアンジュに尋ねた。何だか・・・アンジュの言葉を聞くまでもなく、嫌な予感がする。
「うん、ハルカが連れて来た3人はね・・・今『門』にいるよ。君達を追って魔族達が『門』のすぐ外にいるからね。」
アンジュは淡々と話している。やっぱり・・・・!
「お、お願い、アンジュッ!私を・・・『門』まで連れて行ってっ!」
アンジュに必死に縋りつきながら懇願した。
「何故?」
アンジュは首を傾げて私を見た。
「な、何故って・・・・。」
私は声を振り絞りながら言った。
「だ、だって・・・魔族達が『門』の外にいるんでしょう?そして・・ノア先輩達は・・恐らく彼等と戦うために・・『門』に向かったのよね?」
「うん、そうだよ。ハルカの言う通り。」
「だったら!私もそこへ行かないと・・・!」
「だから、行ってどうするのさ?」
アンジュはまるで入口のドアを塞ぐように立つと更に問い詰めて来る。
「だ、だって・・・・。行くのは当然でしょう?」
「こんな言い方するのは・・・酷かもしれないけど・・・。」
アンジュは溜息をつきながら言った。
「ハルカが行ったところで、果たして君に何が出来るの?だってハルカは魔法を使う事が全く出来ないよね?彼等の所へ行っても君に何も出来る事は無いんだよ?いや・・・・むしろ、君が居る事によって、彼等はおもいきいり戦う事が出来ないのは分かるよね?つまり『門』へ行けば、逆に足手まといになるって事だよ?」
確かに・・・アンジュの言ってる事は最もだ。私には何一つ、魔法を使う事が出来ない。そして、相手は強力な力を持つ魔族達。私が行けば彼等は思い切り戦う事等出来ないだろう。
「・・・・。」
私は何も言い返す事が出来なくて黙り込んでしまった。
「そう、ハルカ。君は・・・ここに残るんだ。ボクが・・・行って来るから。」
え?突然のアンジュの話に私は顔を上げた。い、今・・・アンジュは何と言ったの?
「どうしたの?ハルカ。随分驚いた顔をしているけど・・?ひょっとして、あまりにも意外だった?ボクからそんな話をしてくるなんて。」
アンジュの言葉に私は頷いた。
「う、うん。だ、だって・・・アンジュはヴォルフ達に関心を持っていないと思っていたから・・・。」
「そうだね。確かに彼等の事なんかボクにとってはどうでもいいことだよ。」
「え?」
アンジュの冷淡な言葉に思わず反応してしまった。
「だけどね・・・。」
アンジュは私の肩に両手を置くと言った。
「ハルカが彼等と一緒に人間界へ行きたいと言うなら、ボクはその願いを叶えてあげたい。ボクはカトレアと結婚するけど、本当に好きなのは・・・・ハルカ、まだ君だからね・・・。」
「ア、アンジュ・・・・。」
アンジュの告白にただ、私は戸惑うばかりだった。
「それにね・・・ボクはこの国の王だ。この国の平和を乱すような連中を黙って見過ごす事は出来ないよ。魔王がいた頃はね・・・・長い間、魔族達が何度もこの国を侵略しようと襲って来ていたんだよ。結局最終的には人間と手を組んで戦いに勝利する事が出来たけど・・・。」
私は黙ってアンジュの話を聞いていた。
「君達を追って来た魔族達はもしかすると、再びこの国を襲ってくるかもしれない。本当はね・・・。この『狭間の世界』は魔族達には見つからないように封印をしていたんだよ。だけど、君達の後をついて来ていたからね・・。とうとう見つかってしまった。」
アンジュは下唇を噛んで俯きながら言った。
「え・・・!そ、そんな・・・それじゃ私達のせいで・・・?!」
どうしよう・・・知らなかったとは言え、大変な事をしてしまった!
「ハルカはそんな事、気にする必要は全く無いよ。だって魔界を無事出られたら、この世界に来るように言ったのはこのボクなんだから・・・。ハルカ、それじゃボクはそろそろ行かないと。」
そして立ち去ろうとするアンジュの背中に私は声を掛けた。
「ア、アンジュッ!待って!」
「何?」
アンジュは振り向いた。
「お、お願い・・・やっぱり私も連れて行って貰えない?今何が起こっているのか分からない状態で・・・ただ待つのは不安でたまらなくて・・・。」
私は縋るようにアンジュに頼んだ。
「分かったよ、ハルカ。・・・ハルカ、手鏡を・・持っているよね?」
「え・・・?何故、それを・・・?」
「だって、その手鏡を売った老婆は・・・このボクだったからさ。」
「え・・・ええ?!」
何てこと・・・・あの店でマジックアイテムを売っていたのが、アンジュだったなんて・・・。
「その手鏡で、ボク達の様子が分かるよ。大丈夫、ハルカ。ボクの事を信じて。すぐに片付けて来るから。」
そしてニッコリ笑うと、今度こそアンジュは転移魔法を使ったのか、一瞬でその場から姿を消した—。
アンジュが姿を消すと、私はすぐにリュックから手鏡を探すと中を覗き込んだ。
すると、手鏡にはノア先輩、フレア、ヴォルフ・・・そしてここの世界の精霊達だろうか?5人の騎士が映っていた。
彼等はこの『狭間の世界』の門の外で激しい戦いを繰り広げている。
アンジュの話していた通り、今回の魔族達は今迄襲って来た彼等とは比較にならない程の強さだった。ヴォルフはオオカミの姿になり、口からブレスを吐き出している。フレアは炎の魔法で攻撃をしているし、ノア先輩も剣と魔法で必死に戦っていた。そして彼等の背中を守るように5人の騎士達も戦っている。
相手の魔族は8人でこちらの人数と同じではあったが、実力は敵の方が勝っているようにも見える。
徐々に押され気味のヴォルフ達の元へ、ついにアンジュが現れた。
「アンジュッ!」
鏡越しの私の声は聞こえるはずが無いだろうけども、私は必死になってアンジュの名を呼んだ。」
アンジュが現れるのを見ると、敵は明らかに狼狽した表情をしている。・・恐らく彼等は『狭間の世界』の王が直々に現れるとは思いもしなかったのかもしれない。
アンジュは彼等に何かを話しかけているが、それでも身を引こうとしない敵。
そして、敵が動いた。
彼等は何か目配せしあうと、一瞬で全員が身体が2倍ほどの大きさに膨れ上がった巨人の姿に変えたからである。
「!」
私は声にならない悲鳴を上げた。でも、側で見ているノア先輩たちは尚更驚いた事だろう。全員が固まったように身動きできなくなってしまったからだ。・・・いや、違う。ひょっとすると・・・何らかの術を掛けられて身動きが取れなくなってしまったのかもしれない・・・。
そこへ8人の巨人が空中から巨大な剣を出現させると、全員がそれを握りしめ、一斉にアンジュたちの元へ向かって行く―。
「アンジュッ!みんなっ!」
悲鳴のような声で叫ぶ私。
次の瞬間—。
アンジュたちの前にシールドが出現し、巨人たちの攻撃を防いだ。
見るとアンジュの身体が青く光っている。
ひょっとすると、あのシールドはアンジュが・・・?
そして、それと同時に衝撃波でも食らったのか、巨人たちが数メートル後ろに吹っ飛び、巨人の身体から元の姿へ魔族達が戻って行く。
突然鏡の中からアンジュの声が聞こえて来た。
「どうだ?これでもまだ・・・彼等を魔界へ連れ戻そうとするのかな?」
言いながら、アンジュはパチンと指を鳴らすと、一瞬で光の輪に魔族達は身体を拘束されてしまっていた。
そしてアンジュの声が頭の中に響き渡って来た。
<ハルカ、今この場所とハルカのいる場所を繋いだよ。荷物を持って、その部屋のドアを開けてごらん。>
「・・・うん、アンジュ。」
返事をすると私はバックを持って、ドアノブに手を掛けた—。
え・・・?アンジュは一体何を言ってるの?魔界で私が何をしてきたか?そんなのは決まっている。ノア先輩を連れて、ヴォルフとフレアと皆で一緒に人間界へ帰ろうとしている。ただ・・・それだけの事。
「おい、ジェシカから離れろと言ってるだろう?!」
突然ヴォルフは立ち上がると、アンジュは鋭い眼光で睨み付ける。その途端にヴォルフの身体がふわりと宙に浮いて、次の瞬間激しく床に叩きつけられた。
苦しそうに呻くヴォルフ。
「「「ヴォルフッ?!」」
私達、3人がが同時に名前を叫ぶ。
「貴方・・・・。この世界の王だか何だか分からないけど、これはあまりにも酷いんじゃいないかしら?」
「ああ、流石に黙って見てはいられないね。」
フレアとノア先輩がアンジュを睨みつけながら言った。
「煩いな・・・・。今ボクはジェシカと大事な話をしているんだから少し静かにしてくれないかな?ひょっとすると・・・ジェシカの命に関わるような重要な事なのかもしれないっていうのに。」
アンジュが今迄聞いたことが無いほどの凄みの効いた声でノア先輩とフレアに言う。
「命に・・・一体どういう事だ。」
ヴォルフが顔を歪めながら立ち上がった。
「言葉の通りだよ。このままだとジェシカが命を失うか、それに等しい状態になるかもしれない。」
アンジュは恐ろしい事を言うと、私の顔を覗き込んで言った。
「ジェシカ・・・ボクは君を失いたくない。ずっとボクの側にいなよ。人間界になんか戻る必要は無いよ。ボクはこの世界の王だ。ボクの側にいれば、何があっても必ず君を守り抜ける自信があるよ。」
「ア、アンジュ・・・・。」
あまりの突然の申し出に何と答えれば良いか分からない。
「俺だってジェシカを守り抜ける自信はあるつもりだ。」
ヴォルフは言うと、私に手を差し伸べて来た。
「ジェシカ、人間界へ行くんだろう?早く行こうぜ。こんな所にいつまでも居たって仕方が無い。」
「ええ、そうね。早く人間界へ行きましょうか?」
フレアも言う。
しかしノア先輩だけは違った。
「ねえ・・・ひょっとすると、ジェシカが危険だって言うのは・・・人間界へ戻った後の事を指してるんじゃないの・・・・?」
「ノア先輩?」
「だって考えてもみなよ。ジェシカ、君は今迄学院にいた時、何度も危機に陥っただろう?全て・・・あの女のせいで・・・。」
「あの女?」
アンジュがピクリと反応する。
「おい、ノア。あの女って・・・どんな女なんだ?その女のせいでジェシカが危険な目に遭って来たって言うのは本当の話なのか?」
ヴォルフがノア先輩に詰め寄っている。
そんな彼等のやり取りを眺めながら、私は頭の中でめまぐるしく考えを張り巡らせていた。
あの女・・・・。ノア先輩の言ってるあの女とは間違いなくソフィーの事を指しているのだろう。命の危険が迫っている?
だとしたらそれは私が学院に戻った後にソフィーやアラン王子・・・そして公爵に寄って裁きを受け、寒い監獄に閉じ込められる事を指しているのでは無いだろうか?
それこそ凍死してしまうのではと思う程の寒い監獄に・・。
あの夢の中では確かアメリアが出て来て・・・私にこう言った。
<今のままでは、近い未来貴女はこの結末を辿ってしまうわ・・・。だから早く私の本当の名前を呼んで・・・。そして彼の心を・・・・ソフィーよりも早く・・。>
アメリアの本当の名前?そんなの知らないし、心当たりも無い。
彼の心・・・?彼の心って誰の事?アラン王子?それとも公爵・・・?
「ジェシカッ!ジェシカッ!」
不意にアンジュに名前を呼ばれて私は我に返った。
「どうしたの、ジェシカ?急に黙り込んでしまって・・・・。何かあったの?」
目の前には私を心配そうに見つめるアンジュと・・いつの間にかすぐ側にはヴォルフの姿まである。
「ジェシカ!しっかりしろ!」
「ヴォ、ヴォルフ・・・。」
「あ、あの・・・アンジュ・・・。それにヴォルフ・・・。悪いけど、少しだけ1人にさせて貰える。ちょっと考えたい事があるから・・・。」
私のあまりの真剣な表情にアンジュは戸惑っていたようだが、溜息をつくと言った。
「分かったよ・・・。ボク達は席を外すよ。ほら、君達も出るよ。ジェシカがああ言ってるんだから。」
アンジュが言うと、全員が素直に部屋から出て行く。
そして一番最後に部屋を出ようとしたヴォルフが私に声を掛けて来た。
「大丈夫だ、ジェシカ。必ず俺が守るから・・・そんな不安そうな顔するな。」
私の頭を軽くなでるとヴォルフは部屋を出て行った。
パタン・・・。静かにドアが閉じられると、先程までの騒ぎとは打って変わって、辺りはしんと静まり返った空間になった。
溜息をついて、ソファに腰かけると、私は目を閉じ、夢の中で見た事を再度思い出してみる。
私とノア先輩、それにヴォルフ、フレア・・・・。私達は一緒にワールズ・エンドを目指すのでは無かったのか?何故夢の中で私は1人であの森を逃げていたのだろう?
でもそれには理由が存在しているはず。きっと・・・何か・・何かが起こるんだ。それで私は1人で逃げて・・・結局掴まってしまう。
でもノア先輩は私が裁かれるときにあの場にいた。そして・・・。
私はそこで気が付いた。
そうだ・・・夢の中のノア先輩は・・まるで私が『魔界の門』を開けた事を信じていないように見えた・・・。はっきりノア先輩がその事について言及した訳では無いが、少なくともあの時の先輩は魔界にいた時の記憶が無いように思えた・・・。
怖い・・・。一体、この先何が待ち受けているのだろう。
断片的に恐ろしい未来が見えているだけに、それが余計に怖くて怖くてたまらない。。
だけど、だけどそれでも私は人間界に戻る。だってマシューと・・そして皆と約束したのだ。必ずノア先輩を連れて戻って来ると。
あんなに・・・元の世界に帰りたがっていたノア先輩。絶対にノア先輩の願いを叶えてあげたい。
そして私自身も・・・例え掴まってしまってもマシューと過ごした・・・あの世界に戻りたいのだ。マシューを犠牲にして、1人安全な場所に居たいとは思わない。
だってマシューが死んでしまった時、私の心も半分死んでしまったのだから・・。
彼の思い出を胸に、私は流刑島で罪を償って生きていく・・・。
「ジェシカ・・・。もうそろそろいいかい?」
ドアの外でノックの音と共に、アンジュの声が聞こえて来た。
「うん、いいよ。」
返事をすると、中に入って来たのはアンジュ、只一人。
「あれ・・・・?アンジュ。皆は?」
「皆?」
「皆って?ああ・・・彼等の事かい?」
アンジュが何故か微妙な笑みを浮かべる。
「そ、そう。ヴォルフにノア先輩、そしてフレアさん・・・。」
「別に彼等の名前なんてどうでもいいんだけどね。」
何故か冷たく言い放つアンジュ。・・・何だか様子がおかしい。
「ね。ねえ・・・。アンジュ。何だかさっきから様子が変だよ・・?どうしたの?早くヴォルフ達も連れて来て・・・。」
「彼等はここには来れないよ。」
アンジュは突然私が言い終わる前に言葉を被せて来た。
「え?・・・どういう事・・・?」
背筋が一瞬で寒くなる。
「全く・・・彼等にも困ったものだね・・・。ハルカ。」
ハルカ—。アンジュが再びその名前で私を呼ぶ。
「困った事・・・?一体それは・・・。」
「ボクは君さえ無事にこの世界に戻って来てくれれば、どうだって良かったんだけどね。もし戻って来るとしたら、人間のあの男を連れて一緒に来ることは分かり切っていたし・・・。でも、まさか・・・魔族を・・しかも2人も連れて来るとは思ってもいなかった。」
アンジュのあまりにも冷淡な話し方に、思わず背筋がゾクリとした。
「ご、ごめんなさい・・・・。勝手な真似をして・・・。」
そうだった、恐らくこの世界の住人達は・・魔族の事を嫌っている。それなのに私は2人をこの世界に連れて来てしまった・・・。
「ああ、ごめんよ。ハルカ。別に君を責めてるわけじゃ無いんだ。ただボクが言いたかったのはね・・・・。彼等のせいで、とんでもない連中までついてきてしまったんだなって事を1つ言っておきたかっただけで・・・。」
「とんでもない・・・・連中・・・?」
私は声を震わせながら問いかけた。何故だろう、とても嫌な予感がする。
「そう・・・。かなり強力な力を持つ・・・魔族達だよ・・・。」
アンジュは私の目を見つめながら言った―。
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強力な力を持つ魔族達が『狭間の世界』へ現れた・・・・?聞き間違いでは無いだろうか?だけどアンジュの目が嘘では無い事を雄弁に語っていた。
「ね、ねえ・・・。ひょっとしてあの3人は・・・?」
私は震える声でアンジュに尋ねた。何だか・・・アンジュの言葉を聞くまでもなく、嫌な予感がする。
「うん、ハルカが連れて来た3人はね・・・今『門』にいるよ。君達を追って魔族達が『門』のすぐ外にいるからね。」
アンジュは淡々と話している。やっぱり・・・・!
「お、お願い、アンジュッ!私を・・・『門』まで連れて行ってっ!」
アンジュに必死に縋りつきながら懇願した。
「何故?」
アンジュは首を傾げて私を見た。
「な、何故って・・・・。」
私は声を振り絞りながら言った。
「だ、だって・・・魔族達が『門』の外にいるんでしょう?そして・・ノア先輩達は・・恐らく彼等と戦うために・・『門』に向かったのよね?」
「うん、そうだよ。ハルカの言う通り。」
「だったら!私もそこへ行かないと・・・!」
「だから、行ってどうするのさ?」
アンジュはまるで入口のドアを塞ぐように立つと更に問い詰めて来る。
「だ、だって・・・・。行くのは当然でしょう?」
「こんな言い方するのは・・・酷かもしれないけど・・・。」
アンジュは溜息をつきながら言った。
「ハルカが行ったところで、果たして君に何が出来るの?だってハルカは魔法を使う事が全く出来ないよね?彼等の所へ行っても君に何も出来る事は無いんだよ?いや・・・・むしろ、君が居る事によって、彼等はおもいきいり戦う事が出来ないのは分かるよね?つまり『門』へ行けば、逆に足手まといになるって事だよ?」
確かに・・・アンジュの言ってる事は最もだ。私には何一つ、魔法を使う事が出来ない。そして、相手は強力な力を持つ魔族達。私が行けば彼等は思い切り戦う事等出来ないだろう。
「・・・・。」
私は何も言い返す事が出来なくて黙り込んでしまった。
「そう、ハルカ。君は・・・ここに残るんだ。ボクが・・・行って来るから。」
え?突然のアンジュの話に私は顔を上げた。い、今・・・アンジュは何と言ったの?
「どうしたの?ハルカ。随分驚いた顔をしているけど・・?ひょっとして、あまりにも意外だった?ボクからそんな話をしてくるなんて。」
アンジュの言葉に私は頷いた。
「う、うん。だ、だって・・・アンジュはヴォルフ達に関心を持っていないと思っていたから・・・。」
「そうだね。確かに彼等の事なんかボクにとってはどうでもいいことだよ。」
「え?」
アンジュの冷淡な言葉に思わず反応してしまった。
「だけどね・・・。」
アンジュは私の肩に両手を置くと言った。
「ハルカが彼等と一緒に人間界へ行きたいと言うなら、ボクはその願いを叶えてあげたい。ボクはカトレアと結婚するけど、本当に好きなのは・・・・ハルカ、まだ君だからね・・・。」
「ア、アンジュ・・・・。」
アンジュの告白にただ、私は戸惑うばかりだった。
「それにね・・・ボクはこの国の王だ。この国の平和を乱すような連中を黙って見過ごす事は出来ないよ。魔王がいた頃はね・・・・長い間、魔族達が何度もこの国を侵略しようと襲って来ていたんだよ。結局最終的には人間と手を組んで戦いに勝利する事が出来たけど・・・。」
私は黙ってアンジュの話を聞いていた。
「君達を追って来た魔族達はもしかすると、再びこの国を襲ってくるかもしれない。本当はね・・・。この『狭間の世界』は魔族達には見つからないように封印をしていたんだよ。だけど、君達の後をついて来ていたからね・・。とうとう見つかってしまった。」
アンジュは下唇を噛んで俯きながら言った。
「え・・・!そ、そんな・・・それじゃ私達のせいで・・・?!」
どうしよう・・・知らなかったとは言え、大変な事をしてしまった!
「ハルカはそんな事、気にする必要は全く無いよ。だって魔界を無事出られたら、この世界に来るように言ったのはこのボクなんだから・・・。ハルカ、それじゃボクはそろそろ行かないと。」
そして立ち去ろうとするアンジュの背中に私は声を掛けた。
「ア、アンジュッ!待って!」
「何?」
アンジュは振り向いた。
「お、お願い・・・やっぱり私も連れて行って貰えない?今何が起こっているのか分からない状態で・・・ただ待つのは不安でたまらなくて・・・。」
私は縋るようにアンジュに頼んだ。
「分かったよ、ハルカ。・・・ハルカ、手鏡を・・持っているよね?」
「え・・・?何故、それを・・・?」
「だって、その手鏡を売った老婆は・・・このボクだったからさ。」
「え・・・ええ?!」
何てこと・・・・あの店でマジックアイテムを売っていたのが、アンジュだったなんて・・・。
「その手鏡で、ボク達の様子が分かるよ。大丈夫、ハルカ。ボクの事を信じて。すぐに片付けて来るから。」
そしてニッコリ笑うと、今度こそアンジュは転移魔法を使ったのか、一瞬でその場から姿を消した—。
アンジュが姿を消すと、私はすぐにリュックから手鏡を探すと中を覗き込んだ。
すると、手鏡にはノア先輩、フレア、ヴォルフ・・・そしてここの世界の精霊達だろうか?5人の騎士が映っていた。
彼等はこの『狭間の世界』の門の外で激しい戦いを繰り広げている。
アンジュの話していた通り、今回の魔族達は今迄襲って来た彼等とは比較にならない程の強さだった。ヴォルフはオオカミの姿になり、口からブレスを吐き出している。フレアは炎の魔法で攻撃をしているし、ノア先輩も剣と魔法で必死に戦っていた。そして彼等の背中を守るように5人の騎士達も戦っている。
相手の魔族は8人でこちらの人数と同じではあったが、実力は敵の方が勝っているようにも見える。
徐々に押され気味のヴォルフ達の元へ、ついにアンジュが現れた。
「アンジュッ!」
鏡越しの私の声は聞こえるはずが無いだろうけども、私は必死になってアンジュの名を呼んだ。」
アンジュが現れるのを見ると、敵は明らかに狼狽した表情をしている。・・恐らく彼等は『狭間の世界』の王が直々に現れるとは思いもしなかったのかもしれない。
アンジュは彼等に何かを話しかけているが、それでも身を引こうとしない敵。
そして、敵が動いた。
彼等は何か目配せしあうと、一瞬で全員が身体が2倍ほどの大きさに膨れ上がった巨人の姿に変えたからである。
「!」
私は声にならない悲鳴を上げた。でも、側で見ているノア先輩たちは尚更驚いた事だろう。全員が固まったように身動きできなくなってしまったからだ。・・・いや、違う。ひょっとすると・・・何らかの術を掛けられて身動きが取れなくなってしまったのかもしれない・・・。
そこへ8人の巨人が空中から巨大な剣を出現させると、全員がそれを握りしめ、一斉にアンジュたちの元へ向かって行く―。
「アンジュッ!みんなっ!」
悲鳴のような声で叫ぶ私。
次の瞬間—。
アンジュたちの前にシールドが出現し、巨人たちの攻撃を防いだ。
見るとアンジュの身体が青く光っている。
ひょっとすると、あのシールドはアンジュが・・・?
そして、それと同時に衝撃波でも食らったのか、巨人たちが数メートル後ろに吹っ飛び、巨人の身体から元の姿へ魔族達が戻って行く。
突然鏡の中からアンジュの声が聞こえて来た。
「どうだ?これでもまだ・・・彼等を魔界へ連れ戻そうとするのかな?」
言いながら、アンジュはパチンと指を鳴らすと、一瞬で光の輪に魔族達は身体を拘束されてしまっていた。
そしてアンジュの声が頭の中に響き渡って来た。
<ハルカ、今この場所とハルカのいる場所を繋いだよ。荷物を持って、その部屋のドアを開けてごらん。>
「・・・うん、アンジュ。」
返事をすると私はバックを持って、ドアノブに手を掛けた—。
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幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!
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ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。
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その顔を見て目が覚めた。
なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。
数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
日曜日以外、1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
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2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
2025年1月6日 お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております!
ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします!
2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております!
こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!!
2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?!
なんですと?!完結してからも登録してくださる方が?!ありがとうございます、ありがとうございます!!
こんなに多くの方にお読み頂けて幸せでございます。
どうしよう、欲が出て来た?
…ショートショートとか書いてみようかな?
2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?!
欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい…
2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?!
どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう…
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1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
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追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
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