58 / 98
12 ジェイクの演説
しおりを挟む
荷馬車で彼らの元へ駆けつけると、真っ先にエドモントが大きな声で手を振り、声を掛けてきた。
「この刑務所に入れられていた仲間は全員救出しました!」
私はフードを目深に被ったまま、頷いた。
「ありがとう、エドモント。それにラルフ」
エドモントの隣にいるラルフにも礼を述べた。
「ところで、彼らは一体何者なんだ?」
するとそこへ麻布で出来た囚人服を着た大柄な男性がエドモントに声を掛けてきた。彼は……十年の歳月で大分外見も変わってしまったが、私の見知った騎士だった。
よく見ると、やはり集められた彼らは何処かで見たことのある顔ぶればかりである。
「このふたりは我々の新しい仲間だ。我らが主であるベルンハルト公爵家の人々を全員殺害し、無実の罪を押し付けて我々を捕らえた全ての罪ある者たちに報復するために加わった頼もしい仲間なのだ」
「はじめまして、俺はジェイク。そして……彼女はユリアナだ。これからどうぞよろしく」
ジェイクは私の名前を隠すこと無く、紹介した。
すると途端に周囲がざわめく。
「ユリアナだって……?」
「まさかユリアナ様か?」
「生きておいでだったのか!?」
「顔を見せて下さい!」
「どうする? ユリアナ」
ジェイクが小声で尋ねてくる。
「どのみち、ずっと顔を隠したままではいられませんから」
それにジェイクが私をユリアナとして紹介したのには何らかの理由があるに違いない。
そこで私はフードを取った。
途端に今度はざわめきから戸惑いの声が聞こえてくる。
「誰だ……?」
「ユリアナ様じゃないな」
「同じ名前の少女か?」
「みんな! 聞いて下さい!」
突然ジェイクが大きな声を上げた。するとそれまでざわめていた彼らはおとなしくなった。するとジェイクは語りだした。
「この女性……実は『モルス』国の第三王女です。彼女は生まれながらに魔力を持って生まれてきたため、人々から存在を隠されてきたのです」
「え……?」
あまりの突然の話に私は耳を疑った。もしかするとジェイクの作り話だろうか?
「何だって!?」
「『モルス』国の王女だって!?」
「敵国の者じゃないか!」
当然ジェイクの話に彼の騒ぎは大きくなる。勿論、エドモントにラルフも驚いた様子で彼の話を聞いている。
「落ち着いて下さい! 確かこちらの方はこの国にとって、敵だと思わても仕方ありませんが、ユリアナ様はずっと自分の力を戦争に使われるのを嫌がっていたのです! そのために、高い塔の上に幽閉されてきました! 唯一塔から出られる時は戦場に連れて行かれるときだけでした」
ジェイクの話と、夢に出てきた光景が何となく被ってしまう。
「けれど、ユリアナ様はずっと戦争に反対し続けてきました。そして『モルス』国を捨てて、この国へ逃げてきたのです。言わばあなた方の同士と言えるでしょう!」
ジェイクの話が響き渡った――
「この刑務所に入れられていた仲間は全員救出しました!」
私はフードを目深に被ったまま、頷いた。
「ありがとう、エドモント。それにラルフ」
エドモントの隣にいるラルフにも礼を述べた。
「ところで、彼らは一体何者なんだ?」
するとそこへ麻布で出来た囚人服を着た大柄な男性がエドモントに声を掛けてきた。彼は……十年の歳月で大分外見も変わってしまったが、私の見知った騎士だった。
よく見ると、やはり集められた彼らは何処かで見たことのある顔ぶればかりである。
「このふたりは我々の新しい仲間だ。我らが主であるベルンハルト公爵家の人々を全員殺害し、無実の罪を押し付けて我々を捕らえた全ての罪ある者たちに報復するために加わった頼もしい仲間なのだ」
「はじめまして、俺はジェイク。そして……彼女はユリアナだ。これからどうぞよろしく」
ジェイクは私の名前を隠すこと無く、紹介した。
すると途端に周囲がざわめく。
「ユリアナだって……?」
「まさかユリアナ様か?」
「生きておいでだったのか!?」
「顔を見せて下さい!」
「どうする? ユリアナ」
ジェイクが小声で尋ねてくる。
「どのみち、ずっと顔を隠したままではいられませんから」
それにジェイクが私をユリアナとして紹介したのには何らかの理由があるに違いない。
そこで私はフードを取った。
途端に今度はざわめきから戸惑いの声が聞こえてくる。
「誰だ……?」
「ユリアナ様じゃないな」
「同じ名前の少女か?」
「みんな! 聞いて下さい!」
突然ジェイクが大きな声を上げた。するとそれまでざわめていた彼らはおとなしくなった。するとジェイクは語りだした。
「この女性……実は『モルス』国の第三王女です。彼女は生まれながらに魔力を持って生まれてきたため、人々から存在を隠されてきたのです」
「え……?」
あまりの突然の話に私は耳を疑った。もしかするとジェイクの作り話だろうか?
「何だって!?」
「『モルス』国の王女だって!?」
「敵国の者じゃないか!」
当然ジェイクの話に彼の騒ぎは大きくなる。勿論、エドモントにラルフも驚いた様子で彼の話を聞いている。
「落ち着いて下さい! 確かこちらの方はこの国にとって、敵だと思わても仕方ありませんが、ユリアナ様はずっと自分の力を戦争に使われるのを嫌がっていたのです! そのために、高い塔の上に幽閉されてきました! 唯一塔から出られる時は戦場に連れて行かれるときだけでした」
ジェイクの話と、夢に出てきた光景が何となく被ってしまう。
「けれど、ユリアナ様はずっと戦争に反対し続けてきました。そして『モルス』国を捨てて、この国へ逃げてきたのです。言わばあなた方の同士と言えるでしょう!」
ジェイクの話が響き渡った――
37
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ決定】愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
【コミカライズ決定の情報が解禁されました】
※レーベル名、漫画家様はのちほどお知らせいたします。
※配信後は引き下げとなりますので、ご注意くださいませ。
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
婚約破棄のその場で転生前の記憶が戻り、悪役令嬢として反撃開始いたします
タマ マコト
ファンタジー
革命前夜の王国で、公爵令嬢レティシアは盛大な舞踏会の場で王太子アルマンから一方的に婚約を破棄され、社交界の嘲笑の的になる。その瞬間、彼女は“日本の歴史オタク女子大生”だった前世の記憶を思い出し、この国が数年後に血塗れの革命で滅びる未来を知ってしまう。
悪役令嬢として嫌われ、切り捨てられた自分の立場と、公爵家の権力・財力を「運命改変の武器」にすると決めたレティシアは、貧民街への支援や貴族の不正調査をひそかに始める。その過程で、冷静で改革派の第二王子シャルルと出会い、互いに利害と興味を抱きながら、“歴史に逆らう悪役令嬢”として静かな反撃をスタートさせていく。
奪う人たちは放っておいて私はお菓子を焼きます
タマ マコト
ファンタジー
伯爵家の次女クラリス・フォン・ブランディエは、姉ヴィオレッタと常に比較され、「控えめでいなさい」と言われ続けて育った。やがて姉の縁談を機に、母ベアトリスの価値観の中では自分が永遠に“引き立て役”でしかないと悟ったクラリスは、父が遺した領都の家を頼りに自ら家を出る。
領都の端でひとり焼き菓子を焼き始めた彼女は、午後の光が差す小さな店『午後の窓』を開く。そこへ、紅茶の香りに異様に敏感な謎の青年が現れる。名も素性も明かさぬまま、ただ菓子の味を静かに言い当てる彼との出会いが、クラリスの新しい人生をゆっくりと動かし始める。
奪い合う世界から離れ、比較されない場所で生きると決めた少女の、静かな再出発の物語。
婚約破棄したその場から、ざまぁは始まっていました
ふわふわ
恋愛
王国随一の名門、アルファルド公爵家の令嬢シャウラは、
ある日、第一王子アセルスから一方的に婚約を破棄される。
理由はただ一つ――
「平民出身の聖女と婚約するため」。
だが、その“婚約破棄したその場”で、ざまぁはすでに始まっていた。
シャウラは泣かず、怒らず、抗議もしない。
ただ静かに席を立っただけ。
それだけで――
王国最大派閥アルファルド派は王子への支持を撤回し、
王国最大の商会は資金提供を打ち切り、
王太子候補だったアセルスは、政治と経済の両方を失っていく。
一方シャウラは、何もしていない。
復讐もしない。断罪もしない。
平穏な日常を送りながら、無自覚のまま派閥の結束を保ち続ける。
そして王国は、
“王太子を立てない”という前代未聞の選択をし、
聡明な第一王女マリーが女王として即位する――。
誰かを裁くことなく、
誰かを蹴落とすことなく、
ただ「席を立った」者だけが、最後まで穏やかでいられた。
これは、
婚約破棄から始まる――
静かで、上品で、取り返しのつかないざまぁの物語。
「私は何もしていませんわ」
それが、最強の勝利だった。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!
山田 バルス
ファンタジー
王宮大広間は春の祝宴で黄金色に輝き、各地の貴族たちの笑い声と音楽で満ちていた。しかしその中心で、空気を切り裂くように響いたのは、第1王子アルベルトの声だった。
「ローゼ・フォン・エルンスト! おまえとの婚約は、今日をもって破棄する!」
周囲の視線が一斉にローゼに注がれ、彼女は凍りついた。「……は?」唇からもれる言葉は震え、理解できないまま広間のざわめきが広がっていく。幼い頃から王子の隣で育ち、未来の王妃として教育を受けてきたローゼ――その誇り高き公爵令嬢が、今まさに公開の場で突き放されたのだ。
アルベルトは勝ち誇る笑みを浮かべ、隣に立つ淡いピンク髪の少女ミーアを差し置き、「おれはこの天使を選ぶ」と宣言した。ミーアは目を潤ませ、か細い声で応じる。取り巻きの貴族たちも次々にローゼの罪を指摘し、アーサーやマッスルといった証人が証言を加えることで、非難の声は広間を震わせた。
ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。
その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。
そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる